社長自らが最高物流責任者に。当日配送の36%を翌日移行などカウネットが進める物流改革
カウネットが社長自らCLOに就任し、物流改革を経営の最優先課題に据えた。当日配送の36%を翌日配送へ移行したほか、共同配送、AI需要予測、新物流拠点の整備など15の施策を全方位で推進。荷主企業による持続可能な物流体制づくりの具体策が見えてきた。
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コクヨグループでBtoB-ECや購買管理システムを展開するカウネットは8月20日、代表取締役社長の宮澤典友氏がCLO(Chief Logistics Officer、最高物流責任者)に就任したと発表した。社長自らが物流改革の責任者を担うことで、物流改革を経営の最重要課題として全社で推進する。

背景には、ドライバー不足や労働時間規制の強化など、物流業界を取り巻く構造的な課題がある。CLOは、2023年に政府が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」で荷主企業に選任が求められる役職。カウネットは今回の選任を、制度対応にとどまらず、荷主企業として持続可能な物流体制を再設計する取り組みの一環と位置付けている。同日には、CLO選任について経済産業省への届け出を完了した。
CLO選任に先立ち15の物流改革施策を推進
カウネットは、CLO選任に先立ち15に及ぶ物流改革施策を進めてきた。配送タイミングの見直し、受注の平準化、現場作業の効率化、共同配送や物流インフラの統合、AIによる需要予測と在庫最適化、新拠点整備まで、物流の上流から下流まで一体で改革を進めているのが特長だ。
当日配送の36%を翌日へ。まず「配送の集中」を解消
配送面では、2025年に導入した「当日選択式サービス」によって、従来一律で当日配送していた物量の約36%が翌日配送へ移行した。夕方15~18時台の配送集中は9.4ポイント緩和され、配達完了時間の前倒しや庫内作業の平準化につながった。一部では配送ドライバーの労働時間が1時間短縮される効果も確認している。
「当日選択式サービス」は、当日配送エリアで前日18時から当日11時までに注文した場合、通常の配送予定日を翌日とし、利用者が希望すれば当日配送を選択できる仕組み。利便性を維持しながら、物流側の物量集中を緩和する狙いがある。
配送料の負担基準も3500円以上へ引き上げ
あわせて、2026年6月1日からは、配送料を同社が負担する注文金額の基準を税込3500円以上に変更した。物流業界の人手不足やコスト上昇を踏まえた措置で、各種セールやキャンペーン、まとめ買いの推奨によって、利用者の利便性と物流効率の両立を図っている。
注文後10分以内のキャンセルで不要な配送を削減
注文後の無駄な配送を減らす取り組みとしては、2023年2月からWebでの注文後10分以内であれば、利用者自身がキャンセルできる機能を導入。入力ミスや購入内容の変更に対応しやすくすることで、不要な配送を未然に防ぎ、物流現場の手戻りや作業負荷の削減につなげている。
「いつ買うとお得か」を可視化し、受注を平準化
受注の平準化では、2026年1月に「カウ得!ポイントUPカレンダー」を導入した。特価対象カテゴリーの特価日をカレンダー形式で事前公開し、利用者が「いつ、何がお得か」を把握しながら購買計画を立てられるようにすることで、特定日への注文集中を緩和する。
Googleカレンダーへの登録機能や当日対象商品のポップアップ表示など、導入後も機能改善を続けている。
「べんりねっと」では分散していた購買を集約
購買の集約による物流効率化も進めている。間接材購買管理サービス「べんりねっと」は、複数の購買先に分散していた注文を一元管理・集約することで、物流コストの低減と環境負荷の軽減につなげている。
パレット入荷・バース予約で「荷待ち・荷役」を効率化
物流センターや入荷現場では、パレット入荷を推進している。仕入れ先からの入荷をパレット単位へ切り替え、入荷ガイドラインの整備と合わせてバラ積み荷降ろしを削減。対象サプライヤー5社では、2時間を超える荷降ろし件数が1年間で17件から1件へ減少し、約94%削減した。
また、2024年からは物流センターへのトラック到着時間を事前予約できる「バース予約システム」を導入した。これまで把握が難しかった接車時間を可視化し、「早い者勝ち」になりがちだった納品車両の受け入れを公平化。輸送会社との改善交渉にもデータを活用し、物流センター全体のオペレーション最適化につなげている。
異業種との共同配送で年間2000台のトラック運行を削減
配送網の効率化では、異業種との共同配送も進めている。2024年から大阪市内で、配送の繁閑パターンが異なる異業種パートナーとの共同配送を開始。共同配送後、パートナー企業の積載効率は平日に約15%、カウネットは週末に約28%向上した。さらに、年間約2000台分のトラック運行を削減し、CO₂排出量を年間5.8トン削減したという。
オリコンへの切り替えで梱包資材も削減
梱包面では、2023年から一部サプライヤーからの詰め合わせ納品で、段ボールをオリコン(折り畳みコンテナ)へ切り替えた。繰り返し使用できる資材に変更することで、段ボール資材の使用量を減らし、サプライチェーン全体の環境負荷低減を図っている。
卸配送をカウネットの物流インフラへ統合
配送インフラの統合にも取り組む。従来の文具卸ルートで行っていた配送を、通販カウネットの一般路線・宅配モデルへ切り替えた。
早朝納品、オリコン納品、納品書手渡しといった卸特有の運用を販売店も含めて見直し、自社通販の配送インフラへ統合することで、積載効率の向上を図っている。
AIで需要予測・在庫配置を最適化、別送を減らす
品ぞろえの面では、在庫商品数の拡充によって一括配送率を高める施策を継続している。必要な商品をまとめて注文しやすくすることで、配送回数の削減と物流効率化につなげる考えだ。
AIの活用は、需要予測と在庫配置の両面で進める。2022年からは飲料品やオフィス家具など、季節や天候による需要変動が大きいカテゴリーを中心にAI需要予測を導入。需要を先読みして在庫を補充することで欠品を抑え、別送や再配送の発生を未然に防いでいる。
サプライヤー58社と在庫・廃番情報を連携
さらに、メーカー直送品などを対象に、サプライヤーと在庫状況、廃番、受注情報をリアルタイムに近い形で連携する仕組みも構築した。2026年上期時点で58社との情報連携を実現しており、欠品や廃番商品の販売継続を防ぐ体制を広げている。
AIで物流センターごとの在庫配置を最適化
加えて、AIを活用した在庫配置の最適化にも取り組む。どの物流センターに何を置くかを見直し、複数拠点からの分割配送を減らして一括配送率を高める考えだ。
2026年10月稼働予定の「東北IDC」(カウネットにおける名称:北日本物流センター)をはじめ、各拠点への最適な在庫配置を検討している。
最新鋭「東北IDC」が10月稼働、最大27万SKUを高密度保管
東北IDCは、2026年2月に宮城県仙台市泉区で竣工したコクヨグループの最新鋭物流拠点。現在は設備構築とテストフェーズにあり、10月の稼働開始を予定している。
日立製作所の次世代マテハンシステムを導入し、庫内生産性は既存主要拠点比で約40%向上する見通し。最大27万SKUの高密度保管を実現し、棚卸業務の工数も50~70%削減する計画だ。東北・北海道エリアの配送リードタイム短縮と品ぞろえ拡充を支える重要拠点として位置付けている。

物流を「経営課題」に。社長自らCLOとして改革を指揮
カウネットは、ドライバー不足や労働時間規制の強化など、物流業界が直面する構造的課題に対し、経営課題として捉え、荷主企業としての責任を果たすべく、引き続き物流改革を推進していく。CLO主導のもと、サプライヤーや物流パートナーとの連携をさらに深め、テクノロジーの活用と業務プロセスの最適化を通じて、持続可能な物流体制の構築をめざす。(カウネット 宮澤典友社長)
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