視覚から「触覚」へ進化するAmazonの物理的AI。アマゾンの次世代フルフィルメント最前線
Amazonは、触覚センサーを備えた物流ロボット「Vulcan」を発表した。視覚に加えて“触れる”ことで力加減を調整しながら商品を扱えるのが特徴で、高所・低所作業の負担軽減や物流効率の向上につなげる。
7:00
米Amazonが開発した触覚センサーを備えた物流ロボット「Vulcan(バルカン)」。商品に触れた感覚をもとに力加減を調整しながら、物流拠点で商品の保管やピッキングを行うのが特長だ。従来は人手に頼る場面が多かった高所や低所での作業を担い、作業者の身体的負担の軽減と物流効率の向上につなげている。

「Vulcan」は、Amazonが2025年にドイツ・ドルトムントで催した「Delivering the Future」で初公開した。Amazonによると、同ロボットは同社初の「触覚を持つロボット」で、視覚だけでなく、対象物や周囲の物体に触れた際の力のかかり方を認識しながら動作できる。
Amazonの物流拠点では、布張りの収納ポッド内に多数の商品を保管。1つの区画には平均約10点の商品が収納されており、限られたスペースに商品を収めたり、狙った商品だけを取り出したりするには繊細な制御が求められる。「Vulcan」は、アーム先端の機構と力覚フィードバックセンサーを組み合わせることで、商品や周囲の在庫を傷つけないよう押し分けたり、つかんだりできるという。
保管作業では、既に収納されている商品を押してスペースを確保し、新たな商品を適切な力で保持して棚へ収納する。ピッキングでは、カメラと吸着機構を使って対象商品を識別し、誤って別の商品を一緒に取り出さないよう確認しながら取り出す。Amazonによると、「Vulcan」は物流拠点で扱う商品の約75%に対応し、作業速度は現場スタッフと同程度という。対応が難しい商品は人に引き継ぐ設計としており、人とロボットの協働を前提としている。
「Vulcan」の導入先は、米ワシントン州スポケーンとドイツ・ハンブルクの物流拠点。主に、作業者が脚立を使って対応していた収納棚の上段や、かがむ必要がある下段での商品保管・ピッキングを担う。Amazonは、作業者が身体的負担の大きい姿勢を避け、より作業しやすい高さで業務に取り組めるようになるとしている。
Amazonは過去12年間で75万台超のロボットを物流拠点に導入してきた。これらのロボットは顧客注文の75%に関与しているほか、ロボットの保守や運用監視といった新たな職種も生み出してきたという。「Vulcan」もその延長線上にある取り組みで、今後数年をかけて欧州と米国の物流拠点に展開する計画だ。

