瀧川 正実 2023/12/25 10:00

イオンは2024年春から、全国約3300店舗を対象に物流効率改善を前提とした店舗配送方式へと順次移行する。社会課題としてあがっている物流2024年問題の解決に率先して取り組むのが目的。

仕入、物流、販売の各ステップを一連の連続したプロセスと捉え、サプライチェーン全体のオペレーションを物流効率の視点で再設計。グループ共通施策として配送に必要な車両数の削減、ドライバーの負荷軽減を図り、物流リソース不足の解消をめざす。

グループで取り組む共通施策は4つ。最大約10%の配送効率改善を期待する。

① 車両効率を前提とした納品時間枠の設定、日別物量の平準化による積載率の改善

「朝便」「昼便」の区分を廃止、1つの枠として車両は満載状態で走ることを前提とする。曜日ごとの物量の平準化を前提とする方式へ移行し、車両積載率を改善する。

② AIを活用した配送計画の最適化による必要車両数の効率化

交通状況や店舗別物流状況などからAIで最適ルートを計算、少ない車両での配送をめざす。

③ 店舗荷下ろし時のドライバー付帯作業の削減

ドライバーが商品を売場まで引き込む納品方式を採用している店舗に対し、店舗荷受場での荷渡しを原則とするルールへと変更する(夜間納品などの例外を除く)。

④ モーダルシフトやエリア単位での共同配送のさらなる推進

長距離輸送においてドライバーの負荷軽減と脱炭素に貢献するモーダルシフト(鉄道貨物の利用など)をさらに強化。地域単位で小売各社の車両の余剰をシェアする取り組みを推進し、各地域の物流リソース不足の解消に努める。

◇◇◇

小売業は開店前や特売日前に物量が集中し、日別の物量差が最大2倍になるといった物量波動が生じやすく、物流面の負荷要因となっている。

イオンは物流と仕入れ、販売のオペレーションを一体設計することで物流効率を改善するプロジェクトを各地域で進めてきた。各プロジェクトにおける成果の検証や分析を通じて、物流課題解決に必要な効率改善の手応えを得たことから、グループ共通の配送方式として展開する方針を固めた。

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