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AIが生む消費行動のジレンマ。AIの“お薦め”に86%が懸念、その一方で高まるオンラインレビューの信頼度

AI時代が到来している昨今、AIによる商品のお薦めに懸念を抱いたり、商品レビューが「AI生成による偽物ではないか」と疑いをもつ消費者は少なくありません。調査結果から、消費者によるAIの利用や信頼の実態を解説します

Digital Commerce 360

8:00

米国の消費者を対象に実施した調査によると、AIによるお薦め商品に対して86%が何らかの懸念を抱いていることがわかりました。AIが表示する情報の「偏り」や、広告商品を表示しているのではないかといった疑いがあるようです。調査レポートから、消費者によるAIの信頼の実態を解説します。

米国消費者、オンラインレビューを84%が「信頼している」

マーケティングオートメーションプラットフォームを手がけるOmnisendが公表した調査(調査機関は調査プラットフォームのCint、米国消費者1000人以上から過去1年間の買い物習慣について回答を得た)によると、AIによる粗悪なコンテンツが広まる一方で、消費者によるオンラインの商品レビューに対する信頼が高まっていることがわかりました。

2026年1月に実施した調査では、オンラインレビューを「信頼している」と84%が回答。さらに、33%が「2年前よりもオンラインレビューを信頼するようになった」と答えています。

偽レビューが増加している実態

金融サービス持株会社のCapital Oneが2026年3月に発表した調査では、消費者の82%が過去1年間に少なくとも一度は「偽レビュー」に遭遇していることが示されました。そして、偽レビューと特定されたレビューの46%が“星5つ”の満点評価を付けていたのです。

Capital Oneはさらに、オンラインレビューの平均30%が「偽物または不誠実なもの」であると指摘。偽レビューの増加スピードは、レビュー全体の増加速度よりも12.1%速いこともわかりました。

偽レビューの46%は“星5つ”の満点評価だった(画像はCapital Oneのコーポレートサイトから編集部がキャプチャして追加)
偽レビューの46%は“星5つ”の満点評価だった(画像はCapital Oneのコーポレートサイトから編集部がキャプチャして追加)

偽レビューが事業者にもたらす影響

Capital Oneによると、偽レビューは公開後の2週間で商品の売り上げを12.5%押し上げると指摘。また、米国連邦取引委員会(FTC)のデータを引用し、企業が偽レビューを活用した場合の投資収益率(ROI)は1900%に達する可能性がある一方で、悪意のある偽レビューは売り上げを25%減少させると説明しています。

OmnisendのECエキスパートであるマーティー・バウアー氏は次のように話しています。 

AIの時代において、人々は安心を求めて「生身の人間」の声であるレビューに目を向けています。商品説明から画像まで、AIで瞬時に生成できてしまう今、レビューはブランド側のメッセージよりも本物に感じられるのです。しかし、本物に感じられるからといって、それが本当に人間が書いたレビューだとは限りません。人間が書いたように見えても、鵜呑みにせず細心の注意を払い、常識に照らし合わせて考えることが重要です。(バウアー氏)

Omnisend ECエキスパート マーティー・バウアー氏(画像はLinkedInから編集部がキャプチャして追加)
Omnisend ECエキスパート マーティー・バウアー氏(画像はLinkedInから編集部がキャプチャして追加)

消費者のAI活用

Omnisendは、「AIによってオンラインコンテンツの信頼性が揺らいでいる現在、消費者は現実の検証手段としてユーザーレビューに引きつけられる」と分析しています。

Omnisendが公表した調査結果によると、米国消費者の63%がオンラインショッピングでAIを利用しており、そのうち47%が商品リサーチに活用しています。 

一定数はAIの“お薦め”に懸念

しかし、依然として回答者の86%はAIが薦める商品に懸念を抱いています。28%はAIに偏りがあることを心配し、「AIをこれ以上信頼することはない」と回答約2割の回答者はスポンサー商品をお薦めされている可能性があると考えています

オンラインショッピングでAIをより信頼できるようになる要素(米国消費者の回答/複数選択可。出典:2026 Omnisend AI Shopping Report / グラフ作成:『Digital Commerce 360』)
オンラインショッピングでAIをより信頼できるようになる要素(米国消費者の回答/複数選択可。出典:2026 Omnisend AI Shopping Report / グラフ作成:『Digital Commerce 360』)

また、回答者のほぼ全員(93%)が、「購入を完了する前にAIのお勧めを再度確認する」と答えており、27%は「常に最初に確認する」と回答しています。 バウアー氏は、こうした調査結果を受けて「消費者は、完全には信頼できないデジタル世界を何とか渡り歩こうとしている」と見ています。

人々はAIに対して高い不信感を抱きながらも、一方でAIを簡単に利用できてしまうコンテンツに依存している。一種のループ状態にあるのです。(バウアー氏)

約半数が商品リサーチに利用

4か国4000人の消費者を対象とした別の調査では、消費者がオンラインレビューを読み解くためにどのようにAIを使っているかについて、さらなる知見が得られました。2025年下半期に実施した調査結果によると、米国消費者の47%が商品リサーチやおすすめの確認にAIを利用していました。

オンラインショッピングの際、どのような目的で生成AIを利用したか(米国消費者の回答/出典:2026 Omnisend AI Shopping Report / グラフ作成:『Digital Commerce 360』)
オンラインショッピングの際、どのような目的で生成AIを利用したか(米国消費者の回答/出典:2026 Omnisend AI Shopping Report / グラフ作成:『Digital Commerce 360』)

大手企業の偽レビュー低減に向けた取り組み

Capital Oneが引用したデータによると、各プラットフォームは偽レビューへの対策を強化しています。

  • 口コミサイト「TrustPilot」:2024年に約450万件(全体の7%)の消費者レビューを削除
  • Google:ポリシー違反(偽物を含む)を理由に、2024年に全世界で2億4000万件のレビューをブロックまたは削除
  • Amazon:2024年に2億7500万件以上の偽レビューをブロックまたは削除。偽レビュー対策のために年間5億ドル以上を投じ、8000人の従業員を雇用

Omnisendが提唱する偽レビュー対策

「最近では、レビューの数よりも、どれだけ信頼できるかが重要視されています」とバウアー氏は言います。 

消費者はレビューが本物かどうかを見分けるための「シンプルなシグナル」を探しています。それは、本当に購入済みであることの証明、購入した商品についての具体的なフィードバック、レビュー収集の透明性です。(バウアー氏)

Omnisendは、AIが作った偽レビューに対抗するための3つの対策を提唱しています。

  1. レビューの数の多さを重視するのではなく、重要な情報を際立たせること
  2. レビューが信頼できるエビデンスを明示すること
  3. 可能な限り第三者の検証機関を利用すること

消費者から信頼されるレビューのポイント

Omnisendは、消費者に対して誠実なレビューにはメリットだけでなくデメリットの記載も含まれ、「最も役立つフィードバック」が強調されるべきだと提唱しています。

また、人間とAIの両方が理解しやすい「構造化された形式」にすることも重要です。さらに、内容の薄い「“5つ星”の満点評価」が何百件もあるよりも、詳細で意見の分かれる少数のレビューがある方が、高い信頼を得られるとしています。

小売事業者はレビュー掲載の際、実際に購入したことが確認できている顧客のレビューの優先表示、投稿日時の表示、投稿者によるこれまでのレビュー投稿履歴、さらに写真・動画などのメディアを表示できるようにすることで、レビューにさらなる文脈を加えることができます。

また、サードパーティが提供するレビュープラットフォームや外部の検証機関を利用することで、信頼性がさらに高まり、消費者が抱く「表示されているレビューには偏りがあるのではないか」という不安を軽減できる――とOmnisendは結んでいます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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