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洗顔商材の魅力を伝える広告で、「メラニン」「美白」「透明感」「明るく」「白く」は使用できる?

洗顔せっけんや洗顔フォームなど、洗顔商材の広告表現はどこまで可能?(連載第39回)

稲留 万希子

2018年2月26日 8:00

洗顔料は「洗浄し、汚れを落とす」ことが目的であるため、化粧水や美容液などとは違い「差別化しにくい」と言われています。最近ではメラニンへの効果や「美白」「透明感」「くすみ」「肌が明るく」「肌を白く」……など、さまざまな切り口で商品の魅力を伝える広告を目にします。

これらの標ぼうはOKなのでしょうか? どこまで標ぼうできるのか、整理してみましょう。

医薬品等適正広告基準を参照すると、化粧品としての洗顔料の効能効果は、

(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を洗浄する
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)

だけでなく、

(19)肌を整える
(20)肌のキメを整える
(21)皮膚をすこやかに保つ
(22)肌荒れを防ぐ
(23)肌をひきしめる
(24)皮膚にうるおいを与える
(26)皮膚の柔軟性を保つ
(29)肌を柔らげる
(30)肌にはりを与える
(32)肌を滑らかにする

なども、事実である事を前提に標ぼう可能と考えられます。

しかし、これだけでは他製品との差別化は難しいのが現実。なんとか訴求の強いワードで商品をアピールしたいところです。洗顔商材の広告でよく見受ける表現をどう考えるべきか、下記にまとめます。

① 「メラニン」……×

「メラニン」についてはシミ予防の暗示となるので、これだけでは「化粧品の効能効果からの逸脱」や「医薬品的な効能効果の暗示」などとして不可となる恐れがあります。

メラニンを含む古い角層を落とす(or 洗い流す)」といった表現も見かけますが、景品表示法の措置命令対象となった商品で使用されており、「合理的な根拠の認められない不当表示」と判断された事例があるので、避けた方が良いでしょう。

一方、「酸化」であれば使い方次第で可能と言えるでしょう。本来、「酸化」だけでは即不可となる可能性があるNGワードですが、「肌の酸化」への効果ではなく、「メイクや皮脂などの(皮膚の上で)酸化(した)汚れを落とす(or 洗い流す)」という文脈であれば使えそうです。

② 「美白」……×

医薬部外品でない限り、洗顔で美白は不可と言わざるを得ないでしょう。「白」という言葉を使うのであれば、「泡が白い」という所に落とし込む必要があります。

③ 「透明感」……○

「透明感」は通常、化粧水や美容液などでは不可となる恐れがありますが、洗顔商材については「物理的な汚れ落ち」の効果の範疇として使用できると考えます。

ただし、「透明感」だけが一人歩きし、「透明感」という効果が得られると解釈されてしまうと、効能効果の逸脱になる可能性がありますので、「透明感とは、汚れが落ちキメの整った肌印象のこと」と明記しておくと良いでしょう。

④ 「くすみ」……○

化粧水や美容液などと同様、「過剰な期待や誤認を与えないよう化粧品の効能効果の範囲内」で「くすみ」の定義を注釈などで明記すれば標ぼう可能です。

洗顔商材の場合は「くすみとは古い角層や汚れなどのこと」と明記しましょう。

⑤ 「肌が明るく」or「肌が白く」……△

「肌が明るく」については「透明感」と同じく、「物理的な汚れ落ち」による効果と解釈できなくはないため、化粧水や美容液とは異なり、即不可となることはないと考えます。

ですが、「肌が明るくなる」「肌色が明るくなる」などといった、肌色の改善は明らかなNG表現です。できれば「肌印象が明るく」に留める方が良いでしょう。

一方、「肌が白く」については「いくら汚れを落としたからといっても、洗顔で肌の色が白くなることはありえない」という見解があるため、不可と言わざるを得ません。

⑥ 「毛穴への効果」「リセット」……△ 

「毛穴への効果」については化粧水や美容液などでは不可ですが、「毛穴汚れを洗浄する」的な意味であれば、標ぼうは可能です。「毛穴すっきり」「毛穴がクリア」といった表現も可能と判断できる範囲でしょう。

ただし、「広がった毛穴を引き締める」「毛穴を小さくする」など「毛穴の形状変化」を想起させる表現になると、化粧品の効能効果からの逸脱となるので、せめて「毛穴がキュッ」程度に留めた方が良いと考えます。

そして「リセット」は「初期状態に戻す/すべてを元に戻す」といった意味になるので、化粧品では「お肌を修復する」かのような印象を与える可能性があります。しかし、洗顔商材であれば「汚れを落とす」効果の範疇と考えられるので、「洗顔で汚れをリセット」などであれば使える範囲と言えるでしょう。

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