主に基礎化粧品の広告などでよく目にする「ターンオーバー」という言葉。肌の健康的な新陳代謝を表す言葉ですが、最近は一部で問題視されている動きもあるようです。今回は「ターンオーバー」という表現について解説します。
「着目」が問題視
肌における「ターンオーバー」とは、表皮の新陳代謝や生まれ変わりを指しますが、化粧品もしくは配合している成分がこのターンオーバーに作用するかのような標榜は、化粧品の効能効果の逸脱とされ使用不可となります。
効果としてターンオーバーと言えないということは良く知られておりますので、
ターンオーバーに着目した○○
というように、“あくまで着目しているだけで効果ではない”という立ち位置で表現していることもあります。
ただ、近年は「○○に着目」という標榜について「“あくまで着目しているだけで効果ではない”との言い訳で化粧品効能効果を逸脱する標榜をしている事例が多いのは好ましくない」と問題視されており、「着目」とすれば免罪符になるということではありません。
とは言え、ターンオーバーは印象的なワードであると同時に、化粧品が持つ機能を述べる上では鍵となる表現でもあり、可能であれば使用していきたい所です。
「ターンオーバー」と効果効能を切り離す
そこで、化粧品が持つ効果とは切り離して表現する方法を考えてみましょう。“効果には絡めない”のであれば、ワードそのものが否定されるというものではありません。
暑い夏から寒い冬へ季節が動くこの時期は、ターンオーバーが乱れやすくなります。 こんな時期こそ、○○美容液。
角質層のすみずみまで美容保湿成分△△が浸透し、かさつきや乾燥が気になる肌をなめらかに整えます。
例えば上記のように、ターンオーバーを季節的な気がかりを指すものとし、商品としては化粧品の効能に留める範囲にすれば、「ターンオーバー」という表現すべてが不可ということにはならない印象です。
また
肌が本来持っているターンオーバーという機能を邪魔しない(妨げない)お手入れ方法
という切り口でも表現はできるものと考えます。
当然“事実に基づき”という前提が必要となりますが、「ターンオーバー」という言葉そのものは工夫次第で広告に生かせますので、色々と表現を研究してみましょう。
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この記事の筆者
東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。
数々のサイトや広告物を見てきた経験を基に、“ルールを正しく理解し、味方につけることで売り上げにつなげるアドバイス”をモットーとし、行政の動向及び市場の変化に対応する薬事広告コンサルタントとして活動中。日々、大型セミナーから企業内の勉強会まで、多数の講演をこなしている。
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