2017年9月29日に『医薬品等適正広告基準』が15年ぶりに改正され、そのおよそ1年後の2018年8月8日、厚生労働省医薬・生活衛生局 事務連絡『医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)』が発表されました。この中で、公表当時話題になった「大学との共同研究」という訴求の考え方について解説します。

“推薦”に関する制限とは?

はじめに、薬機法の制限を受ける化粧品などの商品の場合、どのようなルールに基づいて考えていくのかを復習してみましょう。『医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について』には、下記のように記載されています。

10 医薬関係者等の推せん

 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。
 ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。


<共通>

(1)医薬関係者の推せんについて

  本項は、医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とする趣旨である。 
  「公認」には、法による承認及び許可等も含まれる。
  また、「特別の場合」とは、市町村がそ族昆虫駆除事業を行うに際して特定の殺虫剤等の使用を住民に推せんする場合である。
  なお、本項は美容師等が店頭販売において化粧品の使用方法の実演を行う場合等を禁止する趣旨ではない。

つまり、医薬関係者や理美容師が商品を推薦する内容の広告には注意が必要なのです。

「大学との共同研究」についての考え方

従来、「薬局」と「学会」については明記されていませんでしたが、「記載されていないから不可とされるものではない」という考え方が優先されていたことを憂慮したのか、昨年の改定ではしっかり明記されました。

では「大学」はどう考えるべきなのでしょうか? 『医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)』には、下記のようにあります。

Q3 いわゆる健康食品や化粧品等の広告において、「○○大学との共同研究」や「○○大学との共同研究から生まれた成分」等、大学との共同研究について広告しているものが多々見受けられるが、このような大学との共同研究に関する標榜は認められるか。

 

A 健康食品の広告に関する事例については、広告全体から判断することとなるが、広告全体の効能効果(暗示を含む。)の標榜が無いのであれば、未承認医薬品の広告と見なさなれないことから、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による指導対象とはならない。

また、化粧品等の広告に関する事例については、医薬品等適正広告基準第4の10の医薬関係者等の推せんに抵触するため、「大学との共同研究」との記載は認められない。

さらに、「大学との共同研究」と記載することにより広告全体として効能効果の逸脱となる場合は、医薬品等適正広告基準第4の3(1)若しくは3(2)に抵触することとなる。

─厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」(平成30年8月8日)

前半は「健康食品」について、後半は「化粧品等」についての回答が記載されています。「化粧品等」を先に見ていきましょう。

化粧品等……×

化粧品等については、「大学との共同研究」の記載は「認められない」と明確に記載されています。かつては「医師との共同開発」といった表現は、強調して用いたりせず、いわゆる「保証表現」にならない限りは、医薬関係者等の推せんにはあたらないと言われていましたが、ここ数年雲行きが怪しくなってきて、ついに事務連絡という形で発表されてしまった……という印象です。

事務連絡の中では「大学との共同研究」というフレーズを使っていますが、医薬品等適正広告基準の第4の10上では「医薬関係者、及び世人の認識に相当の影響を与える団体」が対象だと読み取れますので、「医薬関係者、及び世人の認識に相当の影響を与える団体」のすべてがこの対象であり、かつ「共同研究」と類似する「共同開発」といった表現もこれに準ずると捉えるべきでしょう。

ストレートに「大学との共同研究」などと表現することは、たとえ事実であっても広告では使用できないと考える……というのが正しい判断ではありますが、これらが看板フレーズになっている商品は世に多数あり、「すぐさま対応するのは死活問題!」という企業もあるでしょう。まずはルールをしっかりと把握し、その上で周りの様子をうかがい、足並みを揃えていく……というのも一考かと思います。

健康食品……○

健康食品については薬機法の制限を受けるものではありませんので、「医薬関係者等の推せん」のルールは関係がなく、「大学との共同研究」といったフレーズも不可という事はありません。広告全体として効能効果を明示・暗示することがなく、かつ事実であれば使用可能と判断することができますので、上手に使用していきましょう。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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