流通総額5000億円超めざす「Qoo10」の今後の戦略は? 国内ブランド支援の強化、レビュー活用AI、体験型店舗で販路・顧客接点を拡大
「Qoo10」は国内ブランド支援を強化し、レビューを活用したAIや体験型店舗を通じて販路拡大と顧客接点の強化を進める。若年層との接点を強みに、オンラインとオフラインの両面からブランドの成長を支援する方針だ。
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ECモール「Qoo10」」を運営するeBay Japanは、8月25日に開いた「「Qoo10」 Seller Conference 2026」で、「Qoo10」の成長戦略に加え、国内ブランド支援の具体策を公表した。2029年に年間流通総額(GMV)5000億円超をめざす「Qoo10」は今後、レビューを活用したAI、体験型のオフライン拠点、発見型の購買体験を組み合わせながら、国内ブランドの販路拡大とファン獲得を後押しする方針だ。
「Qoo10」が国内ブランド支援を強化
「Qoo10」は、これまで強みとしてきたビューティー領域に加え、食品、ファッション、ライフスタイル、家電、エンターテインメントなどへ取り扱い領域を拡大していく。
そのなかで、国内ブランドの販路拡大や顧客獲得を支援する施策として、レビューを活用したAI、オフライン拠点、販促プログラムなどを強化する。
国内公式ブランドは前年比47%成長
カンファレンスでは、「Qoo10」に出店する国内公式ブランドの成長についても説明した。「Qoo10」によると、「メガ割」期間における国内公式ブランドの前年比売上成長率は47%。国内セラー全体の22%増を上回り、韓国公式ブランドの成長率も超えたという。
eBay Japanのグ・ジャヒョン社長は、日本ブランドの販路拡大に向け、これまで韓国ブランドの支援で培ってきた知見を生かしていく考えを示した。
日本ブランドの素晴らしい価値をもっと多くのお客さまに届ける。そして、次の世代のお客さまとの新しい出会いを皆様と一緒に作っていく。「Qoo10」は、そのためのパートナーでありたいと思っています。(グ・ジャヒョン社長)
「Qoo10」は、幅広い商品を扱う総合ECモールをめざすのではなく、若年層を中心とした利用者の需要に合うカテゴリーやブランド、商品を強化していく方針も示した。
これまで主力としてきたビューティー領域の強みを維持しながら、食品やファッション、ライフスタイル、家電、エンターテインメントなどへ対象領域を広げる。
利用者の変化に合わせ、カテゴリーも拡大
グ・ジャヒョン社長は、「Qoo10」のサービス開始から約15年が経過し、利用者の年齢やライフスタイルも変化していることにも言及した。
例えばサービス開始当初に20歳だった利用者は現在35歳になる。若年層を中心としたサービスという特徴を維持しながら、既存利用者のライフステージの変化にも対応し、取り扱うブランドやカテゴリーを広げていく必要があるとの考えを示した。
レビュー活用AI、体験型店舗、販促の戦略
国内ブランドの支援については、販促施策に加え、AIやレビューを活用した新たな仕組みも導入する。
大量のレビューをAIで分析、購入支援と商品改善に活用
「Qoo10」が新たな取り組みのひとつとして紹介したのが、レビューを活用したAI戦略だ。購入者向けの「AI購入アシスタント」と、ブランド・セラー向けの「AI商品レポート」を開発している。いずれも「Qoo10」に蓄積されたレビューを分析に活用する。
「Qoo10」によると、ベイン・アンド・カンパニーが2024年に実施した調査では、「Qoo10」のビューティーカテゴリーにおけるレビュー数は、日本の主要ECサイトの7倍に達するという。
「Qoo10」は、このレビューを単なる評価情報として蓄積するだけでなく、購入判断や商品企画、販促施策に活用する考えだ。

「最後のためらい」に対応するAI購入アシスタント
キム・ソックンCTOは、AI時代のECにおいて重要なのは、保有するデータを使ってどのような課題を解決するかだと説明した。「Qoo10」では、購入直前のユーザーが感じる「最後のためらい」に着目したという。
「Qoo10」のデータを使って、購入直前の顧客の最後のためらいに焦点を当てることにしました。(キムCTO)
講演するキム・ソックンCTO
AI購入アシスタントは、ユーザーが商品について質問すると、レビューを分析して回答する仕組みだ。
発表では化粧品カテゴリーを例に、9352件のレビューの中から敏感肌の購入者1284件分の内容を抽出し、使用感や刺激、乾燥感などを整理して提示する事例を紹介した。
商品スペックや価格だけでは判断しにくい情報を、実際の購入者によるレビューから抽出・整理することで、購入前の疑問や不安の解消につなげる。ビューティーカテゴリーで2026年中の提供をめざしており、薬機法に配慮した回答表現などを調整している。今後は他のカテゴリーにも広げる構想だ。

ブランドが伝えたい価値と顧客の反応の差も分析
ブランド・セラー向けに開発しているAI商品レポートでは、レビューを基に商品や顧客に関する情報を分析する。
分析項目として、年齢層、肌タイプ、肌トーン、肌悩み、ポジティブ/ネガティブキーワード、ブランドの訴求意図と顧客の反応の差、競合商品との比較など8項目を想定している。
単純にレビューを要約するだけでなく、ブランド側が訴求している価値と、実際の顧客が評価しているポイントの違いを把握できるようにする。
「Qoo10」は、こうした分析結果を商品企画や商品改善、販促施策などに活用できるようにする考えだ。
キムCTOは、AIの競争力はモデルそのものの性能だけではなく、どのようなデータを持っているかも重要になるとの認識を示した。
「最終的に差を生み出すのは、どのようなデータで顧客を理解しているかだと考えています」(キムCTO)
現在は一部出店者を対象にトライアルを実施中で、有償提供とするかどうかを含めて検討しているという。
「Qoo10」は大量のレビューをAIで分析、購入支援と商品改善に活用する
渋谷・原宿のオフライン拠点は「販売」より体験を重視
AI施策と並び、「Qoo10」はリアルな顧客接点の拡大も進める。
渋谷や原宿で展開する常設店や旗艦店について、売り上げを直接生み出す販売拠点というより、商品やブランドを体験する場として位置付ける考えを示した。10月1日以降には渋谷のライブ配信スタジオを「サンプルハウス」としてリニューアル。11月20日には原宿・キャットストリート沿いに「メガポップアップ」を開設予定。さらに2027年9月末には、原宿駅前に約2500平方メートルの旗艦店を開業する計画だ。
背景には、EC化が進む一方で、実店舗での商品購入や体験を重視する消費者も多いことがある。オンラインで多くの利用者を持つ「Qoo10」が、リアルな場でも商品との接触機会を提供することで、ブランドと顧客の接点を広げる。
「当社の旗艦店、フラッグシップストアは何よりも販売よりは体験型のポジションを取りたい」(グ・ジャヒョン社長)
「発見型」の購買体験を強化
「Qoo10」がリアル店舗や新たなUI・UX施策で重視するのが、商品の「発見」だ。
検索して目的の商品を探し、短時間で購入するだけでなく、レビューや話題の商品、比較などを通じて新たな商品と出会う購買体験を特徴の1つとしている。
その具体例として紹介したのが、カラーコンタクトレンズのVR試着機能だ。「Qoo10」はカラーコンタクトレンズのオンライン市場で国内シェア1位としており、アプリ上で自分の目元に色や柄を重ねて確認できる機能を導入した。商品の見た目や自分に似合うかどうかが購入判断に大きく影響するカテゴリーにおいて、オンライン上での体験を補完する施策として位置付けている。
販促プログラムやライブコマースも強化
国内ブランド向けの支援策については、すべてのブランドが活用できる共通施策として展開を強化する方針も示した。初登場ブランドの認知獲得や販売初期の立ち上がりを支援する「メガデビュー」、既存ブランドの売上拡大や新商品の訴求を支援する「メガコラボ」、選抜ブランドを「Qoo10」内外で集中的に露出し、話題化やファン獲得をめざす「メガ推し」を展開している。
また限定品や先行販売商品に公式マークを付与する「Q ONLY」や、ライブコマース「「Qoo10」ライブ」なども通じ、ブランドの露出や販売機会を広げる。
「Qoo10」は、販促だけでなく、AIによるレビュー分析、オンラインとオフラインの顧客接点、ライブコマースなどを組み合わせ、国内ブランドの販売や顧客獲得を支援していく方針だ。
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