帝国データバンクが12月9日に公表した2025年冬季賞与(ボーナス)の支給動向に関する調査結果によると、支給額が「増加」した企業は22.7%、業界別の増加割合では「運輸・倉庫」が33%でトップ、「小売」は15%だった。
2025年冬にボーナスや一時金など何らかの形で賞与を支給する予定の企業は80.5%。従業員1人あたりの平均支給額が「増加」する企業は前年比0.3ポイント減の22.7%と微減だった。「減少」する企業は同0.7ポイント減の13.2%、賞与が「変わらない」企業は同1.4ポイント増の44.7%と増加傾向にある。
業界別に見ると、「運輸・倉庫」業界で賞与が「増加」する企業が33.6%と最も高く、自動車関連の回復やEC需要の拡大が追い風になっている。「農・林・水産」は前年比9.6ポイント増の32.5%と高い伸びを示した。鶏卵やコメ、食肉価格の高止まりによる需給引き締まりが背景となっているという。「小売」の増加割合は15.2%となった。
冬季賞与が2年連続で増加した企業は11.8%と前年並み。3年連続で増加した企業は前年比1.3ポイント増の7.6%とやや増加したが、継続的に増額できる企業とそうでない企業の二極化が鮮明になった。
賞与増額の背景には「乗務員不足が慢性化しているが、仕事量は減らない」(運送業)、「米価の高値販売が続くが、来年以降の動向が懸念材料」(農業)、「インバウンド客の定着で売上が順調」(小売業)など、各業界の実情が反映されている。
TDBは最低賃金の引き上げやインフレ圧力の継続による中小企業の収益改善の遅れが、ボーナス増額の勢いを抑えていると分析。今後も生活必需品の値上げが続くと予想されるなか、企業がボーナスの原資を確保し家計の購買力を下支えできるかが、消費活性化のカギとなると指摘している。
調査概要
- 調査期間:2025年11月14~30日
- 調査対象:全国2万4531社
- 有効回答企業数:1万207社(回答率41.6%)