矢野経済研究所が発表した国内化粧品市場に関する最新調査結果によると、2024年度の国内化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比4.1%増の2兆5800億円と推計した。2025年度は同2.7%増の2兆6500億円に拡大すると予測している。
市場成長の背景として、外出機会の増加による化粧品需要の回復に加え、プレミアム製品の人気やインバウンド需要の本格的な回復をあげた。また、2022年以降の訪日外国人受け入れ再開が、市場を押し上げる要因になっているとした。
製品カテゴリー別の市場構成比は、スキンケア市場が構成比46.3%の1兆1950億円。次いでメイクアップ市場が19.7%の5070億円、ヘアケア市場が19.5%の5030億円と続く。以降、男性用化粧品市場が5.2%の1330億円、フレグランス市場が1.5%の380億円だった。2023年度からはメイクアップ市場がヘアケア市場を上回った。
矢野経済研究所では、今後の化粧品産業において次の3つのトレンドが加速すると指摘している。
- ① OMOマーケティングの定着
- デジタルとリアルを融合した顧客中心のマーケティング戦略が主流になると見込む。
- ② アジア新興国からの輸入拡大による競争激化
- 韓国に加え、中国、タイ、ベトナム、台湾などからの化粧品輸入が増加し、国内市場の競争はより激しくなる。
- ③ AI活用の本格化
- 研究開発から生産、流通・小売まで、各プロセスでAIの導入が進み、産業構造の変革が加速する。
将来展望として、SDGsへの関心の高まりや生活者の環境意識の向上を背景に、「クリーンビューティー」への取り組みが業界全体で進展すると予測。環境や社会に配慮した製品・サービスが今後のキーワードになるとまとめている。
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