矢野経済研究所が発表した国内アパレル市場に関する最新調査結果によると、2024年の国内アパレル総小売市場規模は前年比1.7%増の8兆5010億円と推計、4年連続でプラス成長を記録した。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年比では約93%まで回復している。
紳士服・洋品、婦人服・洋品、ベビー・子供服・洋品を含むアパレル全体の小売市場を対象に調査を実施して分析した。
2024年は、百貨店や専門店などリアル店舗の堅調な推移が市場をけん引。特に百貨店では、インバウンド(訪日外国人)需要の回復が売上増加に寄与したという。
EC市場も安定した需要を維持。コロナ禍で急伸した後も、アパレル各社がリアル店舗とECを連携させるOMO戦略を強化したことで、オンライン販売の定着と浸透が進んだと分析している。
今後の市場見通しについて、矢野経済研究所は「2030年頃までは2024年比で微増水準で推移する」と予測。少子高齢化や人口減少の影響で長期的には市場の縮小が見込まれるものの、原材料費や物流費、人件費の上昇により商品単価が上がることで、販売数量の減少を一定程度カバーできる可能性があるとした。
調査概要
- 調査期間:2025年7~9月
- 調査対象:アパレルメーカー(総合アパレル、メンズアパレル、レディスアパレル、ベビー・子供アパレル他)、小売業(百貨店、量販店、専門店、その他)、商社・卸その他
- 調査方法:矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、郵送によるアンケート調査、ならびに文献調査併用