アドビ(Adobe)は12月4日、今年のサイバーマンデーやブラックフライデーを含むホリデーシーズンにおける米国のオンラインショッピング動向に関する調査結果を発表した。
2025年のホリデーシーズン(11月1日〜12月31日)を対象にオンラインショッピングデータを分析。「サイバーウィーク」と呼ばれる、感謝祭(11月27日)からブラックフライデー(11月28日)、サイバーマンデー(12月1日)までの5日間を含む。Adobe Analyticsによる1兆回以上の小売サイト訪問・1億SKU・18カテゴリーのデータを基にした米国eコマースを包括的に示すレポートになっている。
AIとソーシャルメディアの活用
「サイバーウィーク」はAIとソーシャルメディアの活用が購買拡大を後押ししたという。米国の小売サイトへのAIトラフィック(リンクをクリックした訪問客数)は感謝祭が前年比725%増、ブラックフライデーは同805%増、サイバーマンデーは同670%増を記録。11月1日~12月1日の期間では760%増と伸び、ビデオゲーム、家電、エレクトロニクス、玩具、パーソナルケア製品といったカテゴリーで多く利用された。
ソーシャルメディア経由の売り上げも拡大し、サイバーマンデーの売上比率は前年比1.3ポイント増の3.6%。売上高は同56.5%増と大幅に増加した(前年は4.5%増)。インフルエンサーを含む「アフィリエイト/パートナー経由」の収益シェアは同1.5ポイント増の21.8%、売り上げは同7.4%増だった(前年は6.8%増)。Adobeは「有料検索やメールなど主要チャネルの重要性は変わらないが、商品発見の場としてソーシャルメディアの存在感が高まっている」と分析している。
サイバーマンデーの消費額
サイバーマンデーのオンライン消費額は前年比7.1%増の142億5000万ドルと、Adobeの当初予測である前年比6.3%増の142億ドルを上回った。当日は午後8〜10時のピーク時間帯に毎分1600万ドルが消費されたという。エレクトロニクス(最大31%オフ)、玩具(最大28%オフ)、アパレル(最大25%オフ)、コンピューター(最大23%オフ)、テレビ(最大22%オフ)など主要カテゴリーで大幅な値引きが行われ、購買意欲を強く刺激した。
サイバーマンデーの売り上げの57.5%はモバイル経由で、支出額は前年比8.0%増の82億ドル。モバイル比率は2020年の41.4%から大きく伸長した。また感謝祭では61.6%と初めて6割を突破。モバイルによる衝動買いの増加も、ホリデーシーズンの成長を後押ししたとされる。
サイバーマンデーのカテゴリー別売上では、エレクトロニクス(37億ドル、前年比12.8%増)、アパレル(26億ドル、同5.2%増)、家具(18億ドル、同5.4%増)の3領域がオンライン支出の57%を占めた。化粧品(5億ドル、同7.0%増)、スポーツ用品(6億ドル、同6.0%増)も堅調だった。
人気商品はBluetoothヘッドホン・スピーカーで、10月の平均支出比で1850%増と爆発的に伸長。他にも、ビデオゲーム機(同1800%増)、冷蔵庫・冷凍庫(同1700%増)、ホームセキュリティシステム(同1500%増)、スマートホーム機器(同1450%増)、スマートウォッチ/フィットネストラッカー(同1400%増)、掃除機(同1300%増)、小型キッチン家電(同1250%増)など幅広い商品で需要が急増した。
サイバーウィーク・ホリデーシーズン全体の消費額
サイバーウィーク全体のオンライン消費額は前年比7.7%増の442億ドル。ブラックフライデーのオンライン支出は同9.1%増の118億ドルで、2年連続でサイバーマンデーの成長率を上回ったという。また感謝祭(11月27日)に同5.3%増の64億ドル、週末(11月29日と11月30日)は同8.7%増の118億ドルと過去最高の支出を記録した。
11月1日~12月1日のオンライン支出は前年比7.2%増の1374億ドル。モバイル経由が売上の52.8%を占め、支出額は同7.2%増の737億ドル。後払い決済(BNPL)は同9.0%増の101億ドルとなった。こうした結果を踏まえ、Adobeは2025年ホリデーシーズン(11月1日~12月31日)のオンライン支出は前年比5.3%増の2534億ドルと予測している。
BNPLの利用が拡大
BNPLの利用も大きく伸びている。サイバーマンデーの利用額は前年比4.2%増の10億3000万ドルと過去最高を記録。79.4%がモバイル経由だったという。Adobeが11月に実施した米国消費者1000人超への調査では、エレクトロニクス、アパレル、玩具、家具の購入での利用意向が高い傾向が示されている。
アメリカの小売業者は、このホリデーシーズンにオンライン需要を牽引(けんいん)するための値引きに注力した。サイバーウィーク期間中の競争的かつ持続的なセールが消費者に早期購入を促し、サイバーマンデーだけでなくブラックフライデーでもオンライン支出が伸びた。買い物客にとって最もお得な値引きと適切な商品を見つける方法が拡大し、2年連続で生成AI搭載のチャットサービスやブラウザツールを活用している。(Adobe Digital Insights 主席アナリスト Vivek Pandya氏)
- この記事のキーワード