シードが実施した「AIによる検索行動の変化に関する意識調査」によると、生成AI利用者の約44%が「検索エンジン利用頻度が減った」と回答しており、Webサイトへの訪問頻度についても30.5%が「減った」と答えた。
調査対象は日本在住の10〜70代以上の男女1504人。調査期間は2025年10月28日~11月6日。
AI利用者の4割で検索エンジン利用頻度が減少
AIを使うようになってからの検索エンジン利用頻度を聞いたところ、「かなり減った」が14.7%、「少し減った」が23.5%で、合計38.2%のユーザーに検索頻度の減少が見られた。「ほとんど使わなくなった」という6.0%を含めると、約44%が情報収集の行動を検索からAIにシフトしている。
Webサイトへの訪問頻度を聞いたところ、「大幅に減った」が6.9%、「やや減った」が23.6%で合計30.5%が「減った」と回答。シードは「従来の“検索エンジンで集客し、サイト内でコンバージョンさせる”というWebマーケティングの前提が、ユーザー行動の変容により揺らいでいる」と指摘している。
約半数が「個別のWebサイトを開かずに済ませることがある」と回答
検索エンジン上のAI回答を見て、個別のWebサイトを開かずに済ませることがあるかを聞いたところ、「よくある」が13.5%、「たまにある」が35.3%で、合計48.8%がAIの回答だけで目的を果たしていることがわかった。
AIの回答に対する信頼度は、「まあまあ信頼できる」の53.8%と、「非常に信頼できる」の6.8%を合わせると60.6%に達した。シードは「ユーザーは“完璧な正解”よりも、AIによる“手っ取り早い要約(タイムパフォーマンス)”を選好する傾向にある」と考察している。
主な商品検索は3大ECモール
商品を探す際、主にどこで探すかを聞いたところ、最も多かったのは「Amazon」で49.7%、続いて「楽天」が25.7%、「Yahoo!ショッピング」が8.9%で、検索エンジン「Google」の利用率は5.3%だった。
シードは「“購買意欲の高い検索”はECモールへ、“情報検索”はAIへと分散が進んでおり、『Google』検索一辺倒のSEO対策ではリーチできない層が拡大している」と解説している。
SNS検索は10代が最多
SNS検索の利用率は、「10代」が4.12%、「20代」が1.45%、「30代」が1.70%だった。シードは、デジタルに慣れ親しんだ世代にとってはハッシュタグ検索を指す“タグる”や“動画で探す”行動が当たり前の選択肢となっていると解説。「企業はAI対策と同時に、若年層向けのSNS検索対策も迫られている」と提唱している。
よく使う生成AIは「ChatGPT」が最多
よく使う生成AIツールは、最多が「ChatGPT」で71.2%、続いて「Gemini」が39.4%、「Copilot」が15.2%だった。シードは「『Gemini』や『Copilot』は既存の検索や業務環境に統合されているケースが多いため、ユーザーが意識せずに日常的に利用するケースが増えている」と解説している。
SEOから「GEO(生成エンジン最適化)」へ
今後、わからないことを調べる際、主に何を使うかを聞いたところ、「検索エンジン」が最多で45.0%、続いて「使い分ける」が22.8%、「生成AI」が15.0%だった。
「検索エンジンとAIを使い分ける」「生成AIをメインにする」と意向している人は合計で約4割にのぼることから、シードは「マーケティング業界では従来のSEO(検索エンジン最適化)に加え、GEO(生成エンジン最適化)や、AIO(AI最適化)と呼ばれる新たな対策が急務となっている」と指摘している。
調査概要
- 調査対象:日本在住の10代〜70代以上の男女1504人(回答者の年代:10代 6.4%/ 20代 13.8%/30代 15.6%/40代 20.1%/50代 18.2%/60代 16.8%/70代以上 9.1%)
- 調査期間:2025年10月28日~11月6日
- 調査機関:シード(自社調査)
- 調査方法:インターネットによる回答
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