セブン&アイがニッセンHDを売却、医療品通販の歯愛メディカルが41億円で取得

ピーク時は2000億円を超えたニッセンホールディングスの売上高は2024年2月期に395億7100万円へと縮小。かつて通販最大手と言われたニッセンHDの株式はセブン&アイから、歯愛メディカルへと移る

瀧川 正実

2024年5月10日 8:30

セブン&アイ・ホールディングスは5月9日、グループのニッセンホールディングスを、医療品通販の歯愛メディカルに売却すると発表した。

セブン&アイ・ネットメディアが保有するニッセンHDの全発行済株式を、歯愛メディカルが41億円で譲り受ける。株式譲渡実行日は7月1日の予定。

ニッセンHDは2024年2月期まで、負債が資産を上回る「債務超過」状態が続いており(2024年2月期の純資産は237億円のマイナス)、外部金融機関からの借入ではなく、グループ内からの借り入れで事業を継続してきた。歯愛メディカルによるニッセンHD買収は、グループ内貸付の全額返済、債務超過の解消が前提としている。

株式譲渡実行日までに、セブン&アイ・ネットメディアがニッセンHDが実施する第三者割当増資を引き受け、グループ内貸付の全額返済、債務超過を解消する。

歯愛メディカルは歯科医院や歯科技工所を中心に、各種医療機関への通信販売が主力事業で、女性医療従事者へアプローチしやすい環境がある。ニッセンHDの商品開発力を合わせることで、働く女性の持つ潜在ニーズに対応した事業を協働で展開できると判断した。

ニッセンHDは2014年12月期に連結売上高2000億円を突破。その後、業績不振に陥り、2016年にセブン&アイ・ホールディングスグループの傘下に入った。「ゼロベースで経営全体の『選択と集中』を推進し、早期黒字化を実現する」(セブン&アイ)とし、「総合カタログ依存モデルからの脱却」「EC主体型への戦略転換」などを進めた。

ピーク時は2000億円を超えた売上高は2024年2月期に395億7100万円へと縮小。一方で、営業利益は2億1100万円、当期純利益は1億1500万円。利益を計上できる経営体質へ改善している。

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