LINEログインの利用者が急増! ECサイトが実装するメリットとは?
昨年まではソーシャルログインといえば、FacebookログインやTwitterログイン、日本ではYahoo! JAPAN IDログインが主流でした。特にFacebookとYahoo!はログイン時に取得できる情報が多く、新規会員登録時のフォーム項目のほぼすべてを自動で埋めることができます。
Yahoo! JAPAN IDログインは、ヤフオク!やYahoo!ショッピングで利用されている正確な住所が取得できるため、多くのECサイトで利用されていました。ところが、この1年でLINEが大きくシェアを伸ばしてきています。その理由と背景、ECサイトが実装するメリットなどを解説します。
スマートフォンシフトでLINEログイン利用者が拡大
スマートフォンシフトが進み、メッセンジャーアプリも一般的になってきています。ユーザーとのコミュニケーション方法に変化が現れてきていた2016年末から、本格的にLINEログインが展開されました。
次の図は、筆者の所属会社フィードフォースが提供するソーシャルログイン機能「ソーシャルPLUS」導入サイトの利用状況です。
さらに、2017年に調査したのが次の図です。2016年の調査から1年ほどの間で、LINEログインの利用率が10ポイント以上増加し、Yahoo!ログインに迫る勢いです。
2016年当時は、Facebookが4月の開発者カンファレンス「F8」でチャットボットのプラットフォームを発表し、海外でもFacebook Messangerでユーザーとのコミュニケーションを開始する企業が徐々に現れ始めていたタイミングです。
しかし、メッセンジャーアプリというと、日本国内ではLINEが圧倒的なシェアを占めていたこともあり、日本ではFacebook Messangerよりも、まずLINEでのコミュニケーションを始めてみようという企業が多かった印象です。
- 月間のアクティブユーザー7,300万人以上(日本の人口の57.6%)
- 毎日利用している日本国内のユーザー84%
(LINE Account Media Guide April 2018 - June 2018より)
また、LINEは2014年2月にビジネスコネクトをリリースしており、ユーザーの会員IDとLINEアカウントを連携(ID連携)することで、企業とユーザーとのOne to Oneコミュニケーションが実現できる環境は事前に浸透している状況でした。
LINEのID連携が実現したコミュニケーション
今までのソーシャルログインとLINEログインの大きな違いは、新規会員登録の離脱や再訪問の際のPW忘れを防ぎ、ログイン作業のストレスを抑え利便性を高めることに加え、ID連携によってユーザーとコミュニケーションが取れる点です。またスマートフォンでの挙動に最適化されているのも特徴です。
次の図は、実際にLINEログインの認知度が高まった2017年度のプラットフォーム別の利用割合です。前述までの調査とは異なり、「5種類のソーシャルログイン機能すべてを導入するサイトが対象」であることに注意が必要ですが、LINEログインの利用率が高いことがわかります。
ECサイトにLINEログインがもたらす利点
LINEの利用者は、日本の人口の57.6%とされています。シェアの高さは、LINEログイン普及の大きな要因の1つですが、ECサイトのオーナーにとって、他のソーシャルログインと異なる大きな利点があります。
それは、LINEとID連携することで、メールに代わるユーザーとのコミュニケーション手段を手に入れられるという点です。
メールを代替するLINEのコミュニケーション
昨年から、「メールの開封率が下がっているのでチャネルを増やしたい」という相談が増えています。また、メールアドレスを持ってない、もしくは自分のメールアドレスを知らないといった若年層が増えているというニュースも目にするようになりました。
今までは当たり前のように利用していたメールや電話でのコミュニケーションが、メッセージングツールに変わりつつあります。皆さんも仕事を除けば、家族や友人と連絡を取る際に電話やメールよりもLINEやFacebook Messangerを利用するケースが増えていると思います。
メッセージングツールが一般的になり、若者に限らず年配の方まで、全年代をカバーしているLINEをメールの次のチャネルに企業が選択することは必然的な流れです。
LINEログインであれば、ユーザーが新規会員登録やログインをする流れで、自然にLINEでコミュニケーションできる会員を増やせることもあり、LINEでのコミュニケーションニーズが高まると同時にLINEログインが普及してきました。
LINE連携のマーケティングツール、独自のチャットボットが普及
また、メールに加えてLINEに対応した各種マーケティングツールが増えてきたことも1つの要因です。LINE ビジネスコネクトの登場によって、連携機能の開発が加速しました。
たとえば、マーケティングオートメーションツールでは、見込客に向けたLINEのメッセージ配信に対応するツールが増えています。
LINEのチャットボットを独自開発する企業も増加しました(LINE ビジネスコネクトのなかでも、主にMessaging APIという機能を活用)。コールセンターやQ&Aサイトなど、問い合わせ窓口としてLINEチャットボットを活用したLOHACOやヤマト運輸など多数の事例がでてきています。
メッセージングツールと相性の良いチャットボットがより使いやすく、安価に利用できるようになったことで、ユーザーとのコミュニケーション方法を大きく変えると同時に、ID連携のニーズが幅広い企業で高まりLINEログインのシェアが伸びていくことになったのです。
スマートフォンへの最適化
LINEログインは他のソーシャルログインと異なり、スマホでの利用を重視しています。オートログインと呼ばれる機能があり、iOSのSafari、AndroidのChromeまたはLINEアプリ内ブラウザ上でLINEログインをすると、スマホにインストールされているLINEアプリと連動して、ユーザーはID/PWを入力することなく、サイトにログインできます。
このように、LINEアプリと連動してワンタッチでログインできることは、サイトの利便性を大きく向上させます。スタンプやクーポンなどの即効性が高いインセンティブとは異なり、自社サイトと親和性が高いユーザーをサイトへ定着させる大きな武器になります。ロイヤルカスタマーのLTVを最大化させることにも貢献できます。
ユーザー1人ひとりとのコミュニケーションが進化した
日本の人口の半数近くにまで普及し、圧倒的なアクティブ率を誇るLINEと連携するLINEログインの登場により、サイトへのログインだけでなく、IDを連携してユーザーと最適なコミュニケーションを取るという一歩進んだ使い方が浸透し始めました。
また、ユーザーとのコミュニケーション方法において、メッセージングツールの一般化やマーケティングオートメーションツールとチャットボットの進化が大きな影響を与えています。
次回は実際にLINEログインによるID連携を活用したユーザーとのOne to Oneコミュニケーションを実現している事例をご紹介したいと思います。