ソーシャルログインとは? ECオーナーが知っておきたい基本

LINEログインの利用者が急増! ECサイトが実装するメリットとは?

ソーシャルログインのなかでもLINEログインが大きく成長しています

岡田 風早

2018年5月16日 8:00

昨年まではソーシャルログインといえば、FacebookログインやTwitterログイン、日本ではYahoo! JAPAN IDログインが主流でした。特にFacebookとYahoo!はログイン時に取得できる情報が多く、新規会員登録時のフォーム項目のほぼすべてを自動で埋めることができます。

Yahoo! JAPAN IDログインは、ヤフオク!やYahoo!ショッピングで利用されている正確な住所が取得できるため、多くのECサイトで利用されていました。ところが、この1年でLINEが大きくシェアを伸ばしてきています。その理由と背景、ECサイトが実装するメリットなどを解説します。

スマートフォンシフトでLINEログイン利用者が拡大

スマートフォンシフトが進み、メッセンジャーアプリも一般的になってきています。ユーザーとのコミュニケーション方法に変化が現れてきていた2016年末から、本格的にLINEログインが展開されました。

次の図は、筆者の所属会社フィードフォースが提供するソーシャルログイン機能「ソーシャルPLUS」導入サイトの利用状況です。

「ソーシャルPLUS」を導入する国内サイトのソーシャルログイン利用アカウントの割合。いずれかの機能を導入するサイトが対象(期間2016年9月1日~2016年9月30日)。
https://www.feedforce.jp/release/9100/

さらに、2017年に調査したのが次の図です。2016年の調査から1年ほどの間で、LINEログインの利用率が10ポイント以上増加し、Yahoo!ログインに迫る勢いです。

「ソーシャルPLUS」を導入する国内サイトのソーシャルログイン利用アカウントの割合。いずれかの機能を導入するサイトが対象(期間2017年2月~2018年1月)。
https://www.feedforce.jp/release/13167/

2016年当時は、Facebookが4月の開発者カンファレンス「F8」でチャットボットのプラットフォームを発表し、海外でもFacebook Messangerでユーザーとのコミュニケーションを開始する企業が徐々に現れ始めていたタイミングです。

しかし、メッセンジャーアプリというと、日本国内ではLINEが圧倒的なシェアを占めていたこともあり、日本ではFacebook Messangerよりも、まずLINEでのコミュニケーションを始めてみようという企業が多かった印象です。

LINEの利用状況
  • 月間のアクティブユーザー7,300万人以上(日本の人口の57.6%)
  • 毎日利用している日本国内のユーザー84%
    LINE Account Media Guide April 2018 - June 2018より)

また、LINEは2014年2月にビジネスコネクトをリリースしており、ユーザーの会員IDとLINEアカウントを連携(ID連携)することで、企業とユーザーとのOne to Oneコミュニケーションが実現できる環境は事前に浸透している状況でした。

LINEのID連携が実現したコミュニケーション

今までのソーシャルログインとLINEログインの大きな違いは、新規会員登録の離脱や再訪問の際のPW忘れを防ぎ、ログイン作業のストレスを抑え利便性を高めることに加え、ID連携によってユーザーとコミュニケーションが取れる点です。またスマートフォンでの挙動に最適化されているのも特徴です。

次の図は、実際にLINEログインの認知度が高まった2017年度のプラットフォーム別の利用割合です。前述までの調査とは異なり、「5種類のソーシャルログイン機能すべてを導入するサイトが対象」であることに注意が必要ですが、LINEログインの利用率が高いことがわかります。

「ソーシャルPLUS」を導入かつ5種類のログイン機能を実装する国内サイトのソーシャルログイン利用アカウントの割合(期間2017年12月~2018年1月)。
https://socialplus.jp/report/2018

ECサイトにLINEログインがもたらす利点

LINEの利用者は、日本の人口の57.6%とされています。シェアの高さは、LINEログイン普及の大きな要因の1つですが、ECサイトのオーナーにとって、他のソーシャルログインと異なる大きな利点があります。

それは、LINEとID連携することで、メールに代わるユーザーとのコミュニケーション手段を手に入れられるという点です。

メールを代替するLINEのコミュニケーション

昨年から、「メールの開封率が下がっているのでチャネルを増やしたい」という相談が増えています。また、メールアドレスを持ってない、もしくは自分のメールアドレスを知らないといった若年層が増えているというニュースも目にするようになりました。

今までは当たり前のように利用していたメールや電話でのコミュニケーションが、メッセージングツールに変わりつつあります。皆さんも仕事を除けば、家族や友人と連絡を取る際に電話やメールよりもLINEやFacebook Messangerを利用するケースが増えていると思います。

メッセージングツールが一般的になり、若者に限らず年配の方まで、全年代をカバーしているLINEをメールの次のチャネルに企業が選択することは必然的な流れです。

LINEログインであれば、ユーザーが新規会員登録やログインをする流れで、自然にLINEでコミュニケーションできる会員を増やせることもあり、LINEでのコミュニケーションニーズが高まると同時にLINEログインが普及してきました。

LINE連携のマーケティングツール、独自のチャットボットが普及

また、メールに加えてLINEに対応した各種マーケティングツールが増えてきたことも1つの要因です。LINE ビジネスコネクトの登場によって、連携機能の開発が加速しました。

たとえば、マーケティングオートメーションツールでは、見込客に向けたLINEのメッセージ配信に対応するツールが増えています。

LINEのチャットボットを独自開発する企業も増加しました(LINE ビジネスコネクトのなかでも、主にMessaging APIという機能を活用)。コールセンターやQ&Aサイトなど、問い合わせ窓口としてLINEチャットボットを活用したLOHACOやヤマト運輸など多数の事例がでてきています。

ヤマト運輸のLINE公式アカウント。話しかける感覚で配達状況や受取日時を確認できる。
http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/campaign/renkei/LINE/

メッセージングツールと相性の良いチャットボットがより使いやすく、安価に利用できるようになったことで、ユーザーとのコミュニケーション方法を大きく変えると同時に、ID連携のニーズが幅広い企業で高まりLINEログインのシェアが伸びていくことになったのです。

スマートフォンへの最適化

LINEログインは他のソーシャルログインと異なり、スマホでの利用を重視しています。オートログインと呼ばれる機能があり、iOSのSafari、AndroidのChromeまたはLINEアプリ内ブラウザ上でLINEログインをすると、スマホにインストールされているLINEアプリと連動して、ユーザーはID/PWを入力することなく、サイトにログインできます。

LINEアプリと連動したスマートフォンのログイン画面(画像はゴルフダイジェスト・オンラインの例)

このように、LINEアプリと連動してワンタッチでログインできることは、サイトの利便性を大きく向上させます。スタンプやクーポンなどの即効性が高いインセンティブとは異なり、自社サイトと親和性が高いユーザーをサイトへ定着させる大きな武器になります。ロイヤルカスタマーのLTVを最大化させることにも貢献できます。

ユーザー1人ひとりとのコミュニケーションが進化した

日本の人口の半数近くにまで普及し、圧倒的なアクティブ率を誇るLINEと連携するLINEログインの登場により、サイトへのログインだけでなく、IDを連携してユーザーと最適なコミュニケーションを取るという一歩進んだ使い方が浸透し始めました。

また、ユーザーとのコミュニケーション方法において、メッセージングツールの一般化やマーケティングオートメーションツールとチャットボットの進化が大きな影響を与えています。

次回は実際にLINEログインによるID連携を活用したユーザーとのOne to Oneコミュニケーションを実現している事例をご紹介したいと思います。

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00 B向けEC担当者必見。BtoBビジネスを成功に導くサイト内検索の最適化戦略 9月3日 8:00 クリック率3倍、セッション数2.3倍を実現したECサイトの取り組みとは? リアル店舗のような“ワクワク感”を再現するPLAZAの事例 9月2日 7:00