ソーシャルログインとは? ECサイトにもたらす超基本のメリット3つをおさらい
ソーシャルログイン(ソーシャルサインイン)とは、ユーザーが利用している既存のSNSアカウントを利用して、Webサイトやサービスにログインできる機能です。
ソーシャルログインは、今も進化を続けています。スマートフォンシフトが進むなかで、ソーシャルログインはユーザーの利便性を高めるUXの側面だけでなく、企業のOne to Oneマーケティングの起点になる非常に重要な接点の1つとなりました。
LINEの参入で注目を集めるソーシャルログイン
ソーシャルログイン機能は当初、FacebookやTwitterから始まりました。その後、GoogleやYahoo! JAPANが加わり、2017年にはLINEが本格的に参入して注目を集めています。
一般的なWebサービスは、会員登録時にIDとパスワード(PW)を設定して登録しますが(メールアドレスがそのままIDになるケースが多い)、ソーシャルログインに対応したWebサービスであれば、すでに使い慣れているSNSアカウントを使ってログインできます。
新しくWebサービスやアプリの利用登録をするときに、次のような登録画面を見たことはないでしょうか。
ユーザーは、わずらわしい会員登録の手間を省き、簡単にサービスを利用できて、新しくIDやPWを覚える必要もありません。ユーザー視点で見れば、この手軽さが一番のメリットだと言えるでしょう。
ECサイトでは、「情報入力する手間が省けるサイト」が支持される傾向があります。ユーザーは個人情報の入力に抵抗がありますし、登録するID/PWをやみくもに増やしたくありません。
ソーシャルログインでユーザーが得られるメリット
改めてソーシャルログインのメリットを整理しましょう。ユーザーへのメリットは非常にわかりやすく、次の3点。導入することでサイトの利便性を高めることができます。
- 会員登録時に登録フォームの情報を埋めてくれる
- 再ログイン時に使い慣れたID/PWでログインできる
- 二段階認証を利用できる
1. 会員登録時に登録フォームの情報を埋めてくれる
ソーシャルログインに対応したサイトであれば、各SNSプロバイダから取得できる情報で登録フォームの内容を埋めることができるので、ユーザーは会員登録作業のほとんどをタップ操作で進めることができます。
スマートフォンシフトが進み、ユーザーが利用するデバイスの画面は小さくなりました。PCよりも小さくなった画面上で、PC感覚で会員登録フォームに個人情報を入力させることは、ユーザーにとって苦痛でしかありません。
スマホの小さな画面では、PCと比べてフォームの入力に手間がかかります。
会員登録フォームでは必要最低限の情報を取得するにとどめ、企業はユーザーとの接点を持つことに注力するべきです。タップ操作だけで進められるようにしたり、入力項目を少なくしたりするなど、ユーザーのストレスを減らすことができれば、登録完了にたどり着く確率が高くなります。それが、ソーシャルログインで実現できるのです。
ただし、取得できる情報はSNSプロバイダごとに差があります。次の図を登録フォームの必須項目を決める判断材料に活用ください。
2. 再ログイン時に使い慣れたID/PWでログインできる
ソーシャルログインには、ID/PWの管理が楽になるというメリットもあります。
世の中には数えきれないくらいのWebサービスやアプリが存在し、生活者1人当たりが利用するWebサービスの数は増えつつあるため、それぞれのID/PWを覚えることは年々、難しくなっています。
「1Password」のようなPW管理アプリを利用したり、PWをブラウザ上に保存することで覚えないという方法もありますが、前者はまだまだ一般的ではなく、後者の場合は端末やブラウザが変わるとPWがまったくわからなくなってしまいます。
毎週のように利用するサイトならPWを思い出せそうなものですが、年に数回といったサイトもあります。
- 頻繁に訪問するサイト(週1回)
- たまに訪問するサイト(月1回)
- まれに訪問するサイト(年数回)
ID/PWがすべて同じであれば、訪問周期は関係ないでしょう(セキュリティ的には望ましくありません)。しかし、少しでも違うPWで管理していた場合は、週1回の訪問では数サイトを覚えるのが限界です。月1回の訪問になると、恐らくPWを思い出せないケースが出てくるはずです。
特に最近は、セキュリティレベルが厳しい複雑なPW設定をデフォルトとするサイトも増えています。訪問するたびにPWを再設定するといった経験はないでしょうか。
ソーシャルログインに対応したサイトなら、使い慣れているSNSプラットフォームのアカウントでログインできます。訪問するたびにPWを思い出すなど、無駄な時間を過ごすこともなく、簡単にログインできるのです。
3. 二段階認証を利用できる
二段階(二要素)認証とは、「ID/PW」に別の要素を加えた、2つの要素で認証を行うことです。具体的には、次の3つの要素のうち2つを組み合わせた認証の仕組みをいい、セキュリティを強化できます。
- ユーザー本人だけが知り得る要素(ID/PWなど)
- ユーザー本人だけが所有する物(キャッシュカードなど)
- ユーザー本人の特性(指紋、顔認証など)
代表的な手法に「ワンタイムパスワード」があります。これは、本人だけが所持する認証デバイス(セキュリティトークン)に届くパスワードを利用するものです。
最近は、トークンではなくスマホアプリでワンタイムパスワードを発行するサイトもあります。認証アプリとしては、「Google Authenticator」や「Authy」などが有名です。
最近ではGoogleやFacebookのように、スマートフォンに届く通知に対し「はい」をタッチするだけのものもあり、利便性も損ないません。
ソーシャルログインで企業が得られるメリット
ソーシャルログインの導入で企業が得られるメリットは、ユーザーが得られるメリットを逆の視点から見たものになります。
- 会員登録時に登録フォームの情報を埋めてくれる
- 再ログイン時に使い慣れたID/PWでログインできる
- 二段階認証を提供できる
上記の3つから企業には下記のようなメリットをもたらします。
- 会員登録時の離脱率が減る
- 詳しいユーザー情報を得られる(SNSプロバイダによる)
- 再訪率が上がる
- PW再発行やログインできないという問い合わせが減る
- セキュリティ対策へのコストが減らせる
特に「会員登録時の離脱率が減る」「再訪率が上がる」という点はニーズが高いです。EC企業からのニーズも同様ですが、自社のサービス/商品がどのプラットフォームと相性が良いか(どのSNSアカウントでログインしているのか)、判断材料にもなることも支持されています。
実際、弊社のソーシャルログインサービスを利用する企業のなかには、新規会員登録率が38%上がった例や、ソーシャルログインで登録したユーザーの再訪率が70%を超えるといった事例もあります。
今回は昨年までの一般的なソーシャルログインについてまとめました。次回は今年に入って大きく変わったソーシャルログインのトレンドと、ソーシャルログインの新しい活用方法について紹介します。