ECプラットフォーム市場規模(2025年度)は前年度比5.8%増の約2398億円、リプレースやBtoB向け案件の増加が寄与
矢野経済研究所によると、2025年度の国内ECプラットフォーム市場規模は前年度比5.8%増の約2398億円となったようだ。新規ECサイト構築需要が一巡するなか、既存サイトのリニューアルやBtoB向け案件が市場成長を支え、生成AIやAIエージェント対応も新たな競争軸として浮上している。
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矢野経済研究所は7月16日、ECプラットフォーム市場に関する調査結果を発表した。2025年度の国内ECプラットフォーム市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比5.8%増の2397億5000万円と推計。EC利用の定着や企業のDX推進を背景に市場は拡大を続ける一方、新規ECサイト構築需要は一巡しつつあり、成長の中心は既存サイトのリニューアルや機能高度化へ移行しているという。

近年はSaaS型ECプラットフォームの普及に加え、オムニチャネル対応、越境EC支援、データ活用支援など、提供サービスの領域が拡大している。さらに、生成AIを活用した商品情報の作成や顧客対応、顧客データや販売データを活用したマーケティング支援機能の実装も進み、EC事業者による業務効率化や顧客体験(CX)の向上に向けた投資が活発化している。
一方で、新型コロナウイルス禍を契機とした新規ECサイト構築需要は落ち着き、市場は成熟局面に入りつつある。そのため、今後は新規導入よりも、既存ECサイトのリニューアルや機能強化、データ活用によるマーケティング支援が成長を支えるとみている。特に、中堅・大手企業を中心としたリプレース案件やBtoB向け案件の増加が、EC事業者1社あたり売上高(ARPU)の向上を通じて市場拡大を後押ししているという。
AI・MCP対応が新たな競争軸に
調査では、生成AIやAIエージェントの進展により、ECプラットフォーム市場の競争軸が変化しつつある点も指摘している。
今後は、AIが商品検索や情報収集を担うことを前提に、AIが利用しやすいデータ基盤の整備や、API連携、MCP(Model Context Protocol)への対応が重要になるとしている。
MCPは、AIとECシステムを接続するための標準プロトコルで、商品情報や在庫情報、注文情報などをAIへ適切に提供するための基盤技術。矢野経済研究所は、エージェンティックコマース時代を支える重要な技術の1つと位置付けている。
エージェンティックコマース市場は2030年度に3兆円規模へ
調査では、「Agentic Commerce(エージェンティックコマース)」が新たな購買チャネルとして形成される点にも注目している。
矢野経済研究所はエージェンティックコマース市場を、「AIエージェントが消費者に代わって商品・サービスの探索、比較、予約、購入を支援または実行するBtoC向けEC取引市場」と定義している。
日用品や消耗品など、定型的な購買領域ではAIエージェントの利用が進む一方、ブランド価値や購買体験が重視される商品カテゴリーでは、従来型ECサイトの重要性は引き続き維持されると予測。そのため今後は、「効率性を重視するエージェンティックコマース」と「体験価値を重視する従来型EC」が併存する市場構造へ移行すると見ている。
国内エージェンティック・コマース市場規模は、AIエージェント経由のBtoC-EC取引額ベースで、2026年度の1500億円から2030年度には3兆円規模へ拡大する見通し。2026年度から2030年度までの年平均成長率(CAGR)は111.5%と予測している。
一方で、2030年度時点でも国内BtoC-EC市場全体に占める割合は8.9%にとどまる見込みだ。当面は既存ECを置き換えるのではなく、日用品や消耗品を中心に利用が広がる補完的な購買チャネルとして成長すると分析している。

ECプラットフォーム市場は2030年度に2940億円規模へ
矢野経済研究所は、国内ECプラットフォーム市場について、今後も拡大基調が続くものの、市場成長率はこれまでより緩やかになると予測している。背景には、BtoC-EC市場の成熟化と新規ECサイト構築需要の一巡がある。
今後は、既存ECサイトのリニューアルや機能高度化、BtoB領域におけるDX需要の拡大、オムニチャネル対応や越境EC対応への投資が市場を支える見通し。また、生成AIやAIエージェントの活用拡大も、中長期的な成長要因になるとしている。
特に、AIエージェントの活用が業務支援から業務の自律化へ進むことで、ECプラットフォームの高付加価値化が進み、平均契約単価の上昇を通じた市場拡大が期待されるという。
加えて、API連携や外部サービスとの連携機能の充実、高いカスタマイズ性を備えたSaaS型サービスの普及を背景に、フルスクラッチ型からSaaS型・パッケージ型への移行も中長期的に続くと予測。こうした流れを踏まえ、国内ECプラットフォーム市場規模は2030年度に2940億円へ拡大し、2026年度から2030年度までの年平均成長率(CAGR)は3.9%で推移すると見込んでいる。
調査概要
- 調査期間: 2026年4月〜6月
- 調査対象: ECプラットフォーム事業者、AI技術専業ベンダーなど
- 調査方法: 矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
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