強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

AI活用でメルマガ作成などを効率化できる。でも最後は人が必ず確認して“自分たちのお店らしさ”を出す+出したモノには責任を持つようにしよう

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載26回目】

石田 麻琴[執筆]

8:00

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。26回目の連載は「AI活用の具体策と注意点」をテーマに解説します。

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強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

ECのマーケティング内製化で、AIをどう活用していくか

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは!

石田

ネッタヌ君、こんにちは。じゃあ今回のテーマについて話していこうか。

ネッタヌネッタヌ

お願いします!

石田

今回も前回からもう一歩踏み込んで、ECのマーケティングを内製化するにあたって、AIをどう活用していくかっていう話をしていきたい。

ネッタヌネッタヌ

気になっている人、多そうです。

石田

まず前提として、AIをEC運営に活用するのは、マーケティングチームを内製化していく上でも、かなり重要な武器になる

ネッタヌネッタヌ

武器、ですか。

石田

うん。ひとつ確認したいんだけれど、ネッタヌ君はコラムの冒頭にある文章を読んだ?

ネッタヌネッタヌ

えっ……読んだような、読んでないような……。

石田

もう一度読んでみてほしいんだけれど、そこに「内製化っていうのは『業務の内製化』じゃなくて、『判断の内製化』です」って書いたんだよね。

ネッタヌネッタヌ

石田さんがよく言っているやつですね。

石田

そうそう。この「判断の内製化」っていうのがやっぱりポイントで、自社のマーケティングチームができなきゃいけないことだよね。

ネッタヌネッタヌ

そうですね。

石田

一方で、業務は専門的な部分が多いじゃない。Web制作だったり、システム開発だったり、広告運用だったり。

ネッタヌネッタヌ

確かに、そのあたりはプロの領域って感じがします。

石田

そういう部分は外部のパートナーをうまく活用していきましょうと。ただその結果、EC事業が成長しているのか、お客さんが満足しているのかっていうのは、自社のメンバーが判断しなきゃいけない

ネッタヌネッタヌ

そこは任せられない部分ですね。

AIの登場で「業務の内製化」の環境も変わり始めてきている

石田

ここまさに「判断の内製化」っていう話なんだけれど、AIが登場したことで、この状況もちょっと変わってきた。

ネッタヌネッタヌ

???

石田

ECのマーケティングの内製化が「業務の内製化」じゃなくて「判断の内製化」が軸になるのは変わらないんだけれど、実は「業務」の部分の状況が変わってきている。

ネッタヌネッタヌ

それってつまり……。

石田

これまで専門領域だった業務、たとえばシステム開発やWeb制作とかがさ、AI活用である程度内製化できる可能性が出てきたんだよね。

僕も実際AIに「こういうことをやりたいです」と要件を伝えながら進めていったら、簡単な業務アプリを1つ作ることができちゃったんだよね。

ネッタヌネッタヌ

え、石田さんがですか?

石田

そう。ちなみに、僕はシステム開発の経験はゼロ。

ネットショップを運営していたときに、エクセルやアクセスでちょっとした仕組みを作ったことはあるけれど、コードを書くようなことは一切やったことがない。

ネッタヌネッタヌ

完全未経験みたいなものですよね。

石田

だからこそ実感したんだけれど、AIの登場で「業務の内製化」の環境も変わり始めてきているんだよね。ここはぜひ知っておいてほしい。

AIが業務の内製化を支援する
AIが業務の内製化を支援する

EC運営でAIを活用する際に気を付けるべきポイントは?

石田

じゃあ、具体的にECの運営の中でAIをどう活用していくかの話をしていこうか。

ネッタヌネッタヌ

はい、お願いします!

石田

まず一番手っ取り早く業務効率につながりそうなのは、テキストと画像の作成だと思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

そのあたりはすぐイメージできますね。

石田

テキストでいうと、商品名や商品説明文、あとはメルマガとかSNSの投稿。画像でいうと商品画像、バナー、広告用のクリエイティブ。このあたりが一番スムーズに入っていける領域だと思う。

ネッタヌネッタヌ

そのあたりは日常的に作っているものですもんね。

石田

ただ、「メルマガ作って」とか「広告画像作って」とAIに指示すれば、それなりのものは出てくるんだけれど、やっぱりクオリティに限界がある

ネッタヌネッタヌ

限界、ですか。

石田

より高いクオリティを出そうと思ったら、AIを自社用に「教育する」ことが重要だよね。

AIって、何も教えない状態だと優秀な新人社員みたいなものなんだよ。スペックは高い、でも自社のことは知らない。

ネッタヌネッタヌ

イメージしやすいです。

石田

だから、できるはできるんだけれど「ズレる」、できるんだけれど「一般的」、そういうアウトプットになるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

どこかで見たことあるような文章になりそうです。

石田

だから教えるべきなのは、自社のコンセプトやチームの考え方、どの商品が売れているのかっていうデータ。このあたりはしっかり教えていきたい。

ネッタヌネッタヌ

最初にちゃんと仕込んでおくってことですね。

石田

自社の情報をちゃんと伝えた上で、メルマガや広告画像を作ってもらうと、ちゃんと「そのお店らしい」コンテンツが出てくるようになる。

データをAIに見せることで、判断の精度を上げられる

ネッタヌネッタヌ

さっき言っていたデータっていうのは、どんなふうに使うんですか?

石田

セッション数とかPV数、受注データ、そういう事実のデータをAIに見せることで、判断の精度を上げることができる

人間ってどうしても感覚で動いちゃう生き物だからね。データを見ているつもりでも、気づいたら自分の都合のいい解釈をしてしまうことがある。

ネッタヌネッタヌ

ああ……ネッタヌもそんなのばっかりです。

石田

AIは論理で動いてくれるから、冷静な視点を入れてくれる。だから自分たちの判断を補正してくれる存在としても有効なんだよね。

AIに冷静な視点で見てもらう
AIに冷静な視点で見てもらう

顧客層に合わせた内容でAIが作成+最後は人の手で“そのお店らしさ”を出す

石田

前々回のコラムで楽器屋さんの例で話したじゃない。

ネッタヌネッタヌ

ありましたね。ピアノとかバイオリンとかのお客さんごとに分けるっていう話ですよね。

石田

たとえばAIに「教えた内容を元に、ピアノ・バイオリン・トランペットの各ユーザー向けのメルマガを作ってください」ってリクエストすれば、それぞれちゃんと作成してくれるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

顧客層に合わせた内容で出てくるってことですね。

石田

さらに実績のデータを渡していれば、そのデータも加味して作ってくれる。だから、一般的なメルマガじゃなくて、自社の状況に合わせた内容になる

ネッタヌネッタヌ

それはかなり使えそうです。

石田

もちろんメルマガの形式、たとえば「どういう構成にするか」とかは最初に指示した方がいいし、最終的にはちゃんとチェックして、自社の言葉に編集する必要はあると思う。

ネッタヌネッタヌ

完全に任せきりにはしないってことですね。

石田

やっぱりそのお店らしさっていうのは人間が出すべきだからね。

ネッタヌネッタヌ

なるほど。

石田

これは広告画像や広告文の作成でも同じことができる。AIを使えば、ピアノだけじゃなく、バイオリン、トランペット、ギター、ベース、ドラムって、いろいろな顧客層に合わせた素材を作ることができる。

ネッタヌネッタヌ

それを人力でやるのはかなり大変そうです。

石田

2、3個だったら人間がやった方がいい場合もあるけれど、これが何十種類ってなってくると一気に大変になる。でもAIを使えば、それを同時に並行して作ることができる

ネッタヌネッタヌ

一気に幅が広がりますね!

AIで作った情報を「受け取る側」の視点を忘れずに

石田

最後にひとつ。これは僕の個人的な意見として、ネッタヌ君やこのコラムを読んでくれている皆さんに伝えたいことがあるんだよね。

ネッタヌネッタヌ

はい、なんでしょう?

石田

世の中全体でAI活用の流れって、かなり盛り上がっているじゃない。

ネッタヌネッタヌ

どこを見てもAIの話題ばかりって感じですよね。

石田

その盛り上がりってさ、どちらかというと「AIを使って何かをする側」つまり発信する側が盛り上がっている感が強いと思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

ああ、確かに使う側の話が多いかもしれないです。

石田

一方で忘れちゃいけないのが、その情報を「受け取る側」、受信する側の視点なんだよね。

ネッタヌネッタヌ

受信する側、ですか。

石田

いま世の中にいろいろなコンテンツが溢れているけれど、「これAIで作ったんだろうな~」っていうテキストとか画像、結構増えてきているじゃない。

ネッタヌネッタヌ

なんとなくわかる気がします。

石田

それを見たときに、情報を受け取る側の人が「AIを活用して、効率的ですばらしい!」って思うかっていうと、必ずしもそうじゃないと思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

確かに、ちょっと機械的だなって感じることもあります。

石田

そうなんだよ。むしろ、発信している側が内容を理解していなかったり説明できなかったりする状態で、そのままAIのアウトプットを発信してしまっているケースもある。それって、受信する側に理解を丸投げしているような印象を受けるよね。

ネッタヌネッタヌ

それはちょっと嫌ですね。

石田

AIに聞いた内容をそのまま貼り付けて発信するとかね。そういうのが増えてきていて、場合によっては発信者がネガティブに捉えられてしまう可能性もあると思うんだよね。

ネッタヌネッタヌ

ちゃんと自分の言葉じゃないと伝わりにくいですよね。

石田

だから大事なのは、最終的なチェックは必ず自分でやること。そして、AIを使って作ったものであっても、それは自分が出したものとして責任を持つこと

ネッタヌネッタヌ

そこは外しちゃいけないポイントですね。

石田

これがこれからAIを活用していく上での、大切なルールの1つなんじゃないかなと思う。

ネッタヌ君にも、そして読者の皆さんにも伝えておきたいなと思ったので、最後に話させてもらいました。

ネッタヌネッタヌ

すごく考えさせられました。

石田

じゃあ今回はこんな感じで終わりにしようか。

ネッタヌネッタヌ

また次回もよろしくお願いします!

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

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