ecbeing、早稲田大学、中川政七商店がAIによる「仮想ユーザープログラム」の産学共同研究
ecbeingは早稲田大学、中川政七商店と、AIを活用した「仮想ユーザープログラム」の産学共同研究を開始する。顧客データをもとに構築した仮想ユーザーで施策効果を事前にシミュレーションし、次世代のEC・小売マーケティングの実用化をめざす。
9:30
ecbeingは9月29日、早稲田大学、中川政七商店とAIを活用した「仮想ユーザープログラム」の実用研究開発に関する産学共同研究を開始すると発表した。
顧客の行動・購買データを基に、実際の顧客の特長や行動傾向を再現した「仮想ユーザー」を構築し、マーケティング施策やコンテンツに対する反応を事前にシミュレーションする仕組みの研究を進める。

EC・小売業界では、オンライン、店舗、アプリなど顧客接点の多様化に伴い、取得できるデータ量が増えている。一方で、データを蓄積・分析しても、「この顧客に何を提案すべきか」「どの施策やコンテンツが効果的か」といった具体的な判断につなげるのは容易ではない。
共同研究では、AI上に実在顧客の特徴を反映した仮想ユーザーを構築し、施策を実行する前に仮想空間で反応をシミュレーションするアプローチを検証する。
実在顧客の特徴や反応傾向をAI上に再現
研究ではまず、顧客の購買履歴や行動データを基に、実在顧客の特長や反応傾向をモデル化した仮想ユーザーを構築する。
従来の定性的なペルソナにとどまらず、実際の顧客データとの比較を通じて、仮想ユーザーが現実の顧客の特長や反応をどの程度再現できるかを検証する。
その上で、構築した仮想ユーザーに複数のマーケティング施策を仮想的に実施し、「誰に、何を、いつ提案することが効果的か」をシミュレーションする。
単に購入確率の高い顧客を予測するのではなく、施策や訴求内容によって顧客の反応がどのように変化するのかまで捉え、マーケティング施策の意思決定に活用できるかを検証する。
商品訴求やコンテンツのパーソナライズも研究
さらに、仮想ユーザーの特長やシミュレーション結果を基に、顧客1人ひとりに適した商品訴求やコンテンツ、接客内容を生成する仕組みも研究する。
メール、Webサイト、アプリなど複数の顧客接点で、興味・関心や購買状況に応じてパーソナライズしたコミュニケーションを実現することをめざす。
仮想空間での予測を実際の顧客反応と比較
研究成果は、実際の顧客反応と比較して検証する。仮想空間で高い効果が見込まれた施策と、実際に展開した施策の結果を照らし合わせることで、仮想ユーザーによる予測が現場のマーケティングにどこまで活用できるかを検証。実用化に向けた可能性と課題を明らかにする。
共同研究は約半年間を予定している。
ecbeingは、これまでの「データを分析して施策を考える」マーケティングから、AI上の仮想ユーザーを活用して「施策を実施する前に試す」マーケティングへの進化をめざすとしている。
将来的には、「顧客データ→仮想ユーザーによる顧客理解→施策シミュレーション→パーソナライズコンテンツ生成→実際の顧客反応による検証」という一連のサイクルを構築し、マーケティング担当者の意思決定をAIが支援する環境の実現を視野に入れる。
3者がそれぞれの知見を持ち寄り
今回の共同研究では、3者がそれぞれの知見を生かして役割を担う。
早稲田大学はデータ科学センターが中心となり、データサイエンスやAIに関する学術的知見をもとに、仮想ユーザーや予測モデルの研究開発、アルゴリズム設計、学術的観点からの評価を担当する。
中川政七商店は、ECサイト上の行動・購買データに加え、店舗での購買データも提供する。顧客や商品に関する知見を生かしたモデル評価や、ECサイト上での施策実行・検証を担う。
ecbeingは、EC・デジタルマーケティングの知見を生かし、プロジェクトマネジメント、統合DWH/CDPなどのデータ基盤構築、システム実装・連携、研究成果のEC業界への還元を担当する。
AIとデータサイエンスに加え、中川政七商店が持つ小売業としての知見や顧客に対する理解を組み合わせることで、単なる業務効率化ではなく、顧客1人ひとりに合わせた次世代のEC・小売マーケティングの実現可能性を探る。

