鳥栖 剛[執筆] 7/1 8:00
[Sponsored by: ]

リユース大手のコメ兵が進める顧客体験向上の目的は、買い物客のワクワク感の創出。その実現のために取り組んでいる施策の1つが、ファーストパーティデータを活用したECサイトのリテールメディア化だ。

自社のECでの広告配信がなぜ顧客体験向上につながるのか? コメ兵営業本部 マーケティング部 部長 兼 営業システム部 部長の諏訪弘樹氏と、リテールメディア化を実現したソリューション「Rokt Ecommerce(ロクト・イーコマース)」を提供するRokt合同会社 ビジネス開発の松田誠氏に話を聞いた。

「人の介在」「現場力」でワクワク感を創出

コメ兵のECサイトでロイヤルカスタマーがアクティブになるのは毎晩21時頃。新入荷商品がこの時間帯にアップされるためだ。「多くのお客さまが毎日のようにECサイトへ来訪し、特定の商品だけでなく新入荷商品のページをチェックしている」(諏訪氏)。そして、諏訪氏はこう付け加える。

1点モノという中古の特性から、掘り出し物がないか、お客さまは毎日ワクワクしながらサイトを見ている。コメ兵が提供したい顧客体験とは、掘り出し物を見つけるようなワクワク感だ。(諏訪氏)

コメ兵 諏訪弘樹氏
コメ兵 諏訪弘樹氏(営業本部 マーケティング部 部長 兼 営業システム部 部長)

諏訪氏がこのワクワクの顧客体験実現の源泉としてあげたのが「人の介在」と「現場力」。

その例の1つとして電話対応の取り組みがあげられる。メイン顧客が40代後半から60代ということもあり電話注文ニーズも高い。「フリーダイヤルの利用を促すことにも力を入れており、『どんどんお電話ください』といった主旨を積極的にECサイトで案内。有人チャットにもこだわり、極力チャットボットを使わず人が対応する。

そのことで、ロボットには読み取れない行間や、隠されたニーズや心配事を読み取るようにしている」(諏訪氏)。人が介在する現場力ありきの接客を通じ、顧客体験の向上に結び付けている

また、LINEを活用した接客では、商品購入後のフォローやユーザーそれぞれの好みに合わせた入荷案内などを、店舗のスタッフがLINEを使って消費者とコミュニケーションをとる。LINE接客でのキーワードは「一緒に買う」「一緒にコーデ」「一緒に探す」

LINE接客をするスタッフは、担当する消費者の欲しいモノや持っているモノなどをある程度把握している。たとえば、「一緒に買う」計画を立てるために保有商品の売却を提案したり、他の店舗に在庫がないか探したりと、消費者とスタッフが「一緒」になって動く

「人が介在」してワクワク感を提供する――。諏訪氏はこの「現場力」がコメ兵独自の顧客体験を創り出していると話す一方、課題もあった。

テクノロジーの進化、消費の多様化などで、ECサイトでの顧客体験を高める取り組みが顧客満足度を大きく左右する昨今。コンタクトセンターや実店舗で提供できているような、1人ひとりの顧客に合わせてパーソナライズされた買い物体験を、ECでも実現できないか。さらなるワクワクを生む顧客体験をコメ兵は模索した。

サンクスページを使い新たな提案

「商品以外の軸での情報提供などでワクワク体験の提供ができないか」(諏訪氏)と考えるなかでたどり着いた1つの解が、「ファーストパーティデータ」を有効活用したアウトプットだった。

その構想はすぐに実現。ECサイトの購入完了画面(=サンクスページ)で、外部遷移する他社のオファー広告を掲載し、新たな情報との出会いを創出するという新しい試みだ。このアプローチは、端的に言うと自社ECサイトのリテールメディア化。ファーストパーティデータによる顧客理解に基づき、1人ひとりの顧客に適したオファーを提案するという、ECでも“ヒューマンライク”なワクワクの創出に挑んだのだ。

ECサイトのリテールメディア化は「Rokt Ecommerce(ロクト・イーコマース)」というソリューションを導入して実現した。

ECにおける「購入の瞬間」は、顧客の会員情報や決済情報、購入した商品についての情報などさまざまなデータが得られる瞬間。こうしたファーストパーティデータを活用し、ユーザーにとって関連性の高い、外部広告主によるオファー(お得なキャンペーン情報など)を表示する「Rokt Ecommerce」の導入により、自社商品以外の価値ある情報を届けることに成功した。

オファーを表示する場はサンクスページのみであるため、通常のコメ兵ECのカスタマージャーニーも阻害しない。かつ、コメ兵では提供できていない情報を他社の広告を通じて提供しつつ、広告収入として新たな収益源を確保できる。理想的な取り組みだった。

コメ兵はサンクスページでオファーを提案
コメ兵はサンクスページでオファーを提案

「Rokt Ecommerce」導入の大きなポイントになったのが、サンクスページを活用するソリューションだったこと。諏訪氏はそこに大きな可能性を感じたという。

お客さまのワクワク体験のノイズになることは絶対に避けたい。サンクスページを活用して外部へ遷移する広告を掲載するという方法は、お客さまの買い物のノイズにならず、自社だけではない情報リソースを届けられる。(諏訪氏)

「コメ兵では商品を購入できるだけでなく、自分に適したうれしい情報も提供してもらえる。新たな顧客体験を実現できると思った」(諏訪氏)と振り返る。

ただ、これまでにない独自のソリューションとも言える「Rokt Ecommerce」の導入にハードルはなかったのだろうか。導入の経緯について聞いた。

ハードルその① 離脱の懸念

まず、他社広告を掲載することは外部サイトへ消費者を移動させてしまうことになる。「ユーザーの離脱につながってしまうのではないか」――ECサイトを運営していれば、こんな懸念が出てきても不思議ではない。

「『Rokt Ecommerce』では、顧客が商品の購入を終えた後に広告を提示するため、いわゆるカゴ落ちの懸念がないのが特徴」とRoktの松田氏。ユーザーのカスタマージャーニーの観点では問題がないとコメ兵は判断した。

Rokt合同会社 ビジネス開発 松田誠氏
Rokt合同会社 ビジネス開発 松田誠氏

ハードルその② 自社製品の案内をした方が良いのではないか

また、EC事業者にとって、サンクスページは自社のアップセルやクロスセルを促せる場でもある。「他の自社製品提案などで買い回りを促した方が良いのではないか」。こんな声も出てくるだろう。この部分はどう判断したのか。

「コメ兵が扱うのはブランド品が中心で、購入単価が比較的高額になる傾向がある。アップセルやクロスセルはトライしていたが、高額品の購入者に別の高額品を訴求し、コンバージョンにつなげるのは難しい側面があった」(諏訪氏)。また、Roktによると「自社商品のアップセルやクロスセルよりも第三者の広告を掲出した方が、結果的に高い収益性につながるというデータもある」(松田氏)と言う。

ハードルその③ 開発面

開発面などの現場負担はどうだったか。「RoktはサンクスページのソースにJavaScriptのタグを貼るだけで簡単に実装できる。また広告事業の立ち上げに不可欠な広告主営業なども不要であるため開発など現場負担はほとんどなく、導入後すぐに収益創出が開始できる」(松田氏)。こうした開発コストやリソースなどの負担が少ないこともコメ兵にとって導入の決め手になったようだ。

「Rokt Ecommerce」は「購入の瞬間」にアプローチできる
「Rokt Ecommerce」は「購入の瞬間」にアプローチできる

顧客体験向上の延長線上に新たな収益が生まれると社内プレゼン

このように、「新たな顧客体験」の創出に加え、「付帯収益」も生み出すことができるという観点からコメ兵は「Rokt Ecommerce」の導入を決めた。

社内への説明は「あくまで顧客体験を向上させる延長線上に、リテールメディアという取り組みで新しい収益が生まれるということを説明した」と諏訪氏。

情報コンテンツを届けるという観点では自社でオウンドメディアも運営しているが、記事作成も内製しているため自社リソースだけでお客さまのワクワク体験を向上させる情報発信には物理的な限界もあった。

そんななかで、「Rokt Ecommerce」を活用して自社で用意しきれない外部の情報、特に1人ひとりの顧客に合ったお得な情報を届けられるのは、負担も少なく収益も創出できるので最良な取り組みと言える。(諏訪氏)

また、「競合との差別化の観点からも、こうした取り組みにチャレンジすることは必要」(諏訪氏)と考えた。こうしてコメ兵は、2023年からサンクスページの他社広告掲載により、リテールメディア化を実現した。

eCPM・CTRは好成績、評価も上々

コメ兵のECサイトのリテールメディア化は成果が出つつある。サンクスページのeCPM(広告1000回表示あたりの収益)は平均約8000円、時には1万円を超えることもあるという。「導入事業者のなかでもコメ兵はかなり好成績。『Rokt Ecommerce』は機械学習によって広告の表示精度を高めるため、eCPMは上下する傾向にある。それでも導入して間もないコメ兵の実績は高水準」(松田氏)と言う。

また顧客からのエンゲージメント率もかなり高いという。コメ兵のサンクスページで表示されたクリエイティブへの平均クリック率は11.9%と他の導入事業者と比較して高い。「クリック率がここまで高い媒体はなかなかないのではないか。コメ兵が持つファーストパーティデータそのものの質が高いからこその実績だ」(松田氏)と絶賛する。サンクスページで外部へ遷移する広告が表示されるが、ユーザー側の反応はどうか。

コンタクトセンターなどお問い合わせ内容をチェックしているが、サンクスページでのご案内についてお客さまからのネガティブな意見は今のところ1つも聞いていない。eCPMやクリック率の傾向を踏まえると、お客さまにとって有用な情報をお届けできている。つまり、お客さまはポジティブに受け止めているのではないか。eCPMやCTRの推移を見る限り、1つの良い顧客体験の提供につなげられているのではないかと推測できる。

導入後の社内評価も上々だ。経営陣や事業開発部門は収益というよりも「お客さまがどんなことに興味を持っているのか」といった部分について大きく関心を持っている。これまでアンケートやヒアリング、対面インタビューなどを通した顧客理解を進めてきていたが、「自社のお客さまがどんなカテゴリの広告に対してより積極的に反応しているか」など、これまでは見えていなかった部分に迫ることができており、今後の広がりにも期待が寄せられている

自社ECサイトのなかの動きだけでは得られないユーザー心理や興味・関心といったところを知れるようになってきていると実感する。(諏訪氏)

第2フェーズへ、配信面の拡大も視野に

コメ兵では現在の取り組みを第1フェーズと捉えており、さらなるリテールメディア化や顧客体験の向上も視野に入れている。「『まずはお客さまの反応を見たい』という思いが強くミニマムでスタートさせた段階」(諏訪氏)だ。

現在は「Rokt Ecommerce」をECサイトの購入完了のサンクスページのみに実装しているが、その他のタッチポイントにも広げることも視野に入れる。

コメ兵のECサイトにはサンクスページに該当するものとして店舗での商品取り寄せ手続き完了ページ、来店予約完了ページなどもある。「別のサンクスページにも広げていくなど、第2フェーズの可能性を探っている」(諏訪氏)

諏訪氏は「第1フェーズの取り組みで、今回初めて見えてきたお客さまの行動なども含め、もっとファーストパーティデータを精度高く管理していきたい」と説明。加えて「リテールメディアという観点では、コメ兵は実店舗網もあるので、オフラインとも絡ませた取り組みを今後何かできないかとも考えていきたい」(諏訪氏)と展望を語った。

ECサイトの「購入の瞬間」を簡単にリテールメディア化する「Rokt Ecommerce」とは

■新たな収益源の創出、顧客体験向上を実現

「Rokt Ecommerce(ロクト・イーコマース)」は、ECサイトなどで顧客が買い物を完了した直後の「購入完了ページ(=サンクスページ)」上などに、外部の広告主によるオファーを表示できるソリューション。数百億円規模の投資により実現したRokt独自のAI・機械学習技術により、導入するECサイトが収集・所有するファーストパーティデータを分析し、顧客に関連性の高いオファーをリアルタイムで表示する。

EC事業者などは、自社ECサイトのサンクスページなどに顧客の興味・関心に適した広告を配信するリテールメディア化に取り組むことができ、広告収入という付帯収益を生み出すことができる

オファー表示イメージ
オファー表示イメージ
■国内の名だたる企業がリテールメディア化を実現

「Rokt Ecommerce」は世界中で大手企業を中心に導入されている。

国内では、コメ兵のほか、リテールではZOZO、家電EC大手のXPRICE、チケット大手のチケットぴあやローソンエンタテインメント、旅行系では高速バスなど旅行・交通ソリューションのWILLER、LCCのPeach Aviation、エンタメ領域では大手シネコンのユナイテッドシネマなど、ECを活用する多種多様な企業が導入。

広告配信による新たな収益源の創出や顧客体験の向上につなげている。大規模な開発は不要で、表示したいページのソースにJavaScriptのタグを貼るだけで導入することが可能。全デバイス・全言語の最適化もスムーズに対応できる。独自のAI・機械学習技術がファーストパーティデータを分析、表示する広告をユーザーのニーズや購買履歴、興味などに合わせて配信する。

導入企業は広告主営業も不要。大企業でなくても自社ECのアセットを活用して簡単にリテールメディア化できる点が特徴だ。(Rokt・松田氏)

■導入サイトが実現する、広告による新たな収益創出
  • 家電ECの「XPRICE」……eCPM(CPCやCPAをCPMに換算した場合の広告表示1000回あたりの費用)6680円、平均ポジティブエンゲージメント率 8.3%
  • チケット販売の「チケットぴあ」……eCPM6500円、平均ポジティブエンゲージメント率 7.3%
  • WILLER……eCPM7500円、平均ポジティブエンゲージメント率 8.1%
  • Peach Aviation……eCPM6300円、平均ポジティブエンゲージメント率 7.1%
  • ユナイテッドシネマ……他の広告配信ツール平均と比べてRoktが21倍の収益パフォーマンス

上記は、「Rokt Ecommerce」を導入した企業での広告配信による効果だ(Roktホームページより)。ECサイトで購入ボタンをクリックした直後に目にするサンクスページでは、消費者の購買意欲が最も高まっており、そこで自身に最適な広告を配信することは顧客エンゲージメントに直結する。

また、Roktが「トランザクション・モーメント」と呼ぶ、この「購入の瞬間」の顧客心理をうまく捉えられるようなオファーが充実していることも、高い広告効果が実現している理由だという。

たとえば、原則トライアルは提供していないサブスクサービスが、Rokt限定のお得なオファーを用意するなど、限定感を伴う魅力的な広告素材も多い。こうした部分からも高いエンゲージメント率やeCPMに貢献できる。(Rokt・松田氏)

リテールメディアに関する取り組みを検討しているEC事業者の第一歩としても「Rokt Ecommerce」は最適と松田氏は言う。

導入企業にヒアリングすると、「Rokt Ecommerce」でリテールメディア化の可能性をテストしているケースは多い。導入のハードルが低いことはもちろん、セキュリティやブランドセーフティ、収益性の面でベネフィットを提供できるので、ぜひチャレンジしてほしい。

Cookieレス時代に突入し、広告主側も新たな露出面を探っている段階。こうした観点からも出稿先としてのリテールメディアのニーズは高まっていく。今ECサイトをリテールメディア化していくのはチャンスとも言える。(Rokt・松田氏)

AI+機械学習で「レレバンス」の高い買い物体験を提供する
AI+機械学習で「レレバンス」の高い買い物体験を提供する
■「Rokt Ecommerce」で広告を配信したい広告主も募集中

なお、「Rokt Ecommerce」で表示させる広告の出稿主を、「Rokt Ads」というソリューションで募集している。

広告主側では、旅行マーケットプレイスである「Booking.com」で、目標を15%上回るROAS水準を達成したという成功事例もある。イベントチケットなど旅行と関連性の高い「Rokt Ecommerce」導入サイトのサンクスページに、視認性が高くネイティブな形式のオファーを提供し奏功した。そのほか出稿企業の成功事例として、年間顧客獲得数164%増、他媒体と比較し8倍の月額収益というケースもある。

◇◇◇

「Rokt Ecommerce」「Rokt Ads」はオーストラリア発のテック企業・Rokt(本社:米ニューヨーク州)が運営するソリューション。独自の機械学習テクノロジーを活用し、世界中で年間数十億件ものトランザクションの収益化を支え、北米、ヨーロッパ、日本を含むアジア太平洋地域の15か国で事業を展開している。

PayPal、Uber、Lands’ Endといった世界中の主要企業が利用している。2022年には、急速な成長を遂げた米国民間企業のランキングであるInc. 5000社リストに2年連続で選出されているほか、独自の機械学習アルゴリズムは10以上の受賞歴を持つ。

[Sponsored by: ]
この記事が役に立ったらシェア!

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]