今泉 彩佑里[執筆] 8/21 8:00

2024年4月からドライバーの時間外労働の上限が変更されたことで、ドライバー不足が深刻化、輸送運賃の値上げや配達遅延の増加が想定される「物流2024年問題」。EC・通販事業者にとって送料の上昇は利益率の悪化などに直結するため、無視できない大きな問題です。このような状況下だからこそ、自社の商品を選んでもらえるような魅力の提供、顧客を継続的に獲得していくことが重要です。そのためのECサイトを構築・運営するための基礎をお伝えします。

「物流2024年問題」がEC・通販事業者に与える影響とは?

「物流2024年問題」とは、トラックドライバーの時間外労働が大幅に制限されることによって発生する問題のこと。2024年4月からドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に設定され、長時間労働が是正されることとなりました。

これにより、ドライバー不足が深刻化し、即日・翌日配送などのサービスを提供できなくなる可能性などの問題があがっています。

気になる輸送運賃の値上げについては、ヤマト運輸では4月1日から一部サイズやクール便での運賃値上げ、西濃運輸は6月1日から一般便・宅配便の料金値上げなどが行われており、EC・通販事業者への影響が少なからず発生していると言えます(参考:ヤマトホールディングス プレスリリース:2024年4月1日から宅急便の届出運賃・料金を改定、西濃運輸についてのお知らせ:運賃改定のお知らせ 新届け出運賃(24年運賃)の適用を開始)。

ドライバーの長時間労働の是正による影響 ペライチ ネットショップ構築・運営
ドライバーの長時間労働の是正による影響

EC担当者が知っておくべきECサイト運営の特徴と対策

「物流2024年問題」によるコスト増など、EC事業者には大きな逆風が吹いています。こんな環境下だからこそ、ユーザーに自社商品・サービスを選んでもらえるような費用対効果の高いECサイトの構築・運用が重要になります。ECサイトの運営は次の4業務で大きく構成されています。

  • ECサイトの構築・維持
  • 商品の仕入れ・生産・在庫管理
  • 受注・発送業務
  • 集客のためのマーケティング施策

ここでは「ECサイトの構築・維持」にフォーカスします。当然ながら、実店舗での販売とネット販売は顧客体験が異なるため、ECサイト運営の特徴を知り適切に対策することが、その後の継続的な売上向上に寄与します。

モールECと自社ECサイトの違い

「楽天市場」「Amazon.co.jp」「Yahoo!ショッピング」といったモールECと、自社で運営するECサイトの違いをまずは理解しましょう。ECモールと自社ECでは決済手数料、システム使用料などの固定費、変動費に大きな違いがあります。

簡単にモールECと自社ECのメリット・デメリットを比較すると次のようになります。

モールECと自社ECのメリット・デメリットの比較 ペライチ ネットショップ構築・運営
モールECと自社ECのメリット・デメリットの比較

これらの特徴を理解してモールECと自社ECを使い分けることが、利益率向上と売上向上には重要です。

たとえば、集客力が期待できるモールECのみで販売し、モール内の広告宣伝費などにも投資していく場合、売上向上に伴って利益率が低下する場合もあります。なぜなら、モールECには集客がしやすいというメリットがある半面、販売手数料が高い(8%~15%程度)というデメリットがあるからです。また一般的に広告への投資は、投資額に比例して売り上げが拡大するのではなく、投資額が増えるほど効果は下がっていくと言われています。

そのため、モールEC内での売り上げを伸ばそうとすればするほど、売り上げに対する投資額が増え、利益率が下がってしまう可能性があるのです。

また、モールECでは価格競争が起きやすくなります。商品比較がしやすいこと、ページデザインに制約があることから、「こだわりの商品の魅力を感じてもらい、適切な価格で購入してもらう」ことは難しいかもしれません。

モールECと自社ECの役割分担

そこで、それぞれの特徴を生かした使い分けの方法をいくつかお伝えします。

モールECと自社ECそれぞれの特徴を生かした活用方法 ペライチ ネットショップ構築・運営
モールECと自社EC、それぞれの特徴を生かした活用方法

このように、自社ECを構築する際には、自社ECのメリットである

  • デザインやユーザー体験を自由に設計できる
  • 顧客データや注文データを自社で保有できる

これらの特徴を生かしたブランディング、顧客体験向上によるリピーター顧客の育成とファン化が重要になります。

自社EC構築時のサービス選定のポイント

自社ECサイトを構築することになった場合に、サービスを比較・検討するポイントを紹介します。

  1. 使いやすさ
  2. 機能
  3. デザインの自由度
  4. サポート
  5. 費用

1.使いやすさ

  • ECサイトの運営・管理者から見たサービスの使いやすさ

日々の更新・修正が自分たちで行えるレベルで使いやすい場合、維持費用がぐんと下げられます。作成だけでなく修正・更新も見据えた使いやすさを確認することをおすすめします。

2.機能

  • 商品・在庫・注文管理が効率的に行えるか
  • 支払い方法が豊富か
  • SEO施策やマーケティングツールが充実しているか

ECサイトの運用において、手間がかかるのは受注後の業務(梱包、発送、顧客連絡)と日々の商品・在庫管理です。また、決済手段は購入率に影響するため、支払い方法の選択肢は確認しておきたいところです。

自社ECサイトの強みである顧客データや注文データを活用した自動メール送信などで顧客単価アップ、ロイヤルティ向上施策が行えることは重要です。

3.デザインの自由度

  • テンプレートやデザインのカスタマイズが簡単にできるか
  • コード編集が可能か

モールECでは難しいブランディング、顧客体験の向上に重要な要素です。ブランドやサービスが持つ世界観を表現できるか、ページを作成できるかどうかを確認しましょう。

4.サポート

  • ヘルプは充実しているか
  • カスタマーサポートの対応は手厚いか

使いやすさに加えて、サポートが手厚いことで日々の運用・改善をスムーズに実行することができます。社内で発生した疑問点だけでなく、お客さまからの問い合わせにもすぐに対応できることは、サービスの質向上につながります。

メールやチャットボットだけのサポートサービスもあれば、1on1でオンラインサポートが無料で受けられるサービスまで、大きく差が出るポイントです。

5.費用

  • 初期費用、月額費用、手数料の有無と金額は妥当か
  • 追加機能の費用は妥当か

サービスによって費用が大きく異なるため、「必要以上に高スペックなサービスにしてしまい、毎月の費用負担が大きくなってしまった」とならないよう、必要機能をベースにサービスを選定しましょう。

また、ECサイト運営では決済手数料など売り上げに応じてかかる手数料は看過できません。利用するサービスによってはシステム手数料が発生する場合もあり、自社ECだからこその手数料の低さのメリットを享受する意味でも3~4%程度が目安となります。

まとめ

ネットショップ担当者が自社ECサイト構築で考えるべきポイントを解説しました。モールECと自社ECの違いを生かし、自社ECではブランディング、ロイヤルティ向上を実現できること、そのための日々の運用がしやすいサービスを選定することをお勧めします。

次回は、ロイヤルティ向上、リピーター獲得のためのコンテンツ掲載、自動化で手間なくターゲットに効率的にアプローチする方法などを解説します。

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