今泉 彩佑里[執筆] 9/17 8:00

費用対効果の高い自社ECサイトを運営するには、ロイヤリティ向上やリピーター獲得、生産性の向上などが必要です(費用対効果の高い自社ECサイト構築・運営ポイントの基礎の記事はこちら)。そのための業務フローの整備、作成すべきコンテンツ、配信の自動化で手間なくターゲットに効率的にアプローチする方法などの基礎を解説します。

スモールスタート事業者向け、費用対効果の高い自社ECサイト運営の2つのポイント

SNS運用や広告配信などは売上向上に寄与するものの、コストがかかるケースが少なくありません。では、これからECを始める、小さく始めて利益率を高く維持したいと考えている場合、費用対効果の高い自社ECサイトを運営するためにどのような方法があるでしょうか? そのポイントは大きく分けて2つあります。

  1. 日々の受注管理業務、顧客対応業務のコスト・工数を削減する
  2. 削減したコスト・リソースをロイヤリティ向上、リピーター獲得施策に充てる

ネットショップの担当者にとって、注文が入ることはうれしい半面、日々の受注管理業務や顧客対応業務は現場の大きな負担になりがちです。注文数が増えた場合でも対応できるよう、受注後の業務フローを事前に整えておくことが重要です。

受注後の業務改善が売り上げに大きく影響を及ぼすことはほとんどありませんが、顧客満足度の向上、追加対応といった不要な工数削減につなげられます

運用方法の工夫や自動化ツールなどを利用することで、受注後の業務にかける時間・手間を削減。リソースなどを新たな売り上げを生むための施策に充てることで、結果的に業績拡大につなげることができるようになります

ペライチ 自社ECサイト運営のポイント
自社ECサイト運営におけるポイント

受注後の業務フローを整えないとリスクが発生する?!

注文が入った後の基本的な業務フローは次の通りです。

ペライチ 受注後の業務フロー
受注後の業務フロー

自社のECサイトだけではなく、「楽天市場」「Amazon.co.jp」「Yahoo!ショッピング」などのモールECでも販売している場合、業務フローはさらに複雑になります。

受注後の業務は煩雑である一方、時間をかけたからといって売上向上が見込めるわけではありません。そのため、いかにコストを削減して効率的に業務を行うかが重要です。

受注後の業務が整えられていない場合、以下のようなリスクが考えられます。

人的ミスの増加

手動での対応が増えるとミスが発生しやすくなり、顧客満足度の低下や返品・交換の増加につながります

業務効率の低下

注文処理や在庫管理が煩雑になると、作業効率が悪化し注文あたりの対応時間が増えるだけでなく、発送遅延など顧客体験に影響を及ぼす可能性もあります

コストの増加

業務効率が悪いと人的コスト・物流コストが増え、利益率の低下につながります

受注後業務を改善するための方法

受注後の業務を改善するための具体的な方法をいくつかご紹介します。

自動メールで消費者の連絡を効率化

受注後の消費者への連絡には、注文の詳細内容、発送のタイミング、配送情報など注文ごとに個別の内容が含まれます。これらの作成・配信をすべて手動で行うと時間も労力もかかってしまいます。日々発生する消費者への連絡を自動メールに切り替えることで、業務効率を大幅に向上させることが可能です。

たとえば、注文確認メール、発送通知メール、フォローアップメールなどは必要な情報を自動で挿入するシステムメールに置き換えることでメールの作成・配信を自動化、手間をかけずに消費者へ迅速に連絡できるようになります。

ステータス機能を活用して注文内容を仕分け

注文内容の仕分けには、ステータス機能を活用することが有効です。「注文受付」「在庫確認中」「発送準備中」「発送済み」などのステータスを活用することで作業の進捗状況を一目で把握でき、ミスを減らせます

在庫確認と引当処理の連携を強化

複数のモールと自社ECサイトを運営している場合、在庫連携は重要です。適切な在庫管理ができていないと、在庫切れによる販売機会の損失が発生してしまいます

リアルタイムで在庫状況が反映されるシステムを導入することで、在庫確認や引当処理の正確性が向上します。

よくある問い合わせ・ヘルプなどページコンテンツの充実化

よくある問い合わせに対する回答を事前に用意することで、購入時の不安を解消し購入率を上げられるメリットがあります。

頻繫に寄せられる問い合わせがあれば、ページ内で表示したり自動返信メールの内容を見直して問い合わせを減らしたりする工夫をしましょう

なぜロイヤリティ向上・リピーター獲得がポイントなのか

受注後の業務コストを削減できたら、売上向上のための施策を打ちましょう。

ペライチ モールECと自社ECのメリット・デメリット
モールECと自社ECのメリット・デメリット

モールECは集客力に強みがある一方で、出店費用や決済やシステムなどにかかる手数料が高く、ショップのデザインも統一されているため差別化が難しいというデメリットがあります。

自社ECサイトはデザインやユーザー体験を自由に設計できるだけでなく、顧客データや注文データを自社で保有できるため、購入履歴を活用したメールマガジン(メルマガ)で再購入を促すことができます。一般的に、リピート購入のコストは新規獲得コストの半分以下の投資で行えると言われており、リピーターへの販売を強化することはショップ全体の利益率向上に貢献します。

これらの特徴から、自社ECサイトでの顧客体験を設計し、ロイヤリティ向上とリピーターの獲得をめざすことは、利益率の向上と安定的な売り上げにつながるという点で重要といえます。

コストをかけずに実践可能なマーケティング施策

売上向上のための施策のなかでも、特にコストをかけずに取り組みやすい手法を紹介します。

ブログやメルマガの活用

定期的な情報発信で、潜在顧客の発掘、リピーター増加につなげましょう。新商品の情報やセール情報なども有効です。メルマガは手間が少なく費用もかからないことが多いため、費用対効果が良い施策の1つです。

ページ内コンテンツの見直し

消費者からの反応を反映し、購入しやすいページに改善していくことが重要です。

実際に商品を販売してみると、「狙っていたターゲットと異なる層からの購入が多い」「想定していなかった商品の特徴が好評で購入されている」ということがあるかもしれません。

実際に購入した消費者にインタビューを行い、「なぜ商品を購入したのか」「どのような印象を持っているのか」「購入前に何を期待していたか」などを把握することも、商品の思わぬ魅力を伝えることやより良いキャッチコピーの作成などに活用できます

ページ内で商品の魅力が十分に伝わっているか、より良い表現はないか、定期的にブラッシュアップするようにしましょう。

ステップメール・クーポンを活用した自動化施策

ネットショップにおいてステップメールの活用は特におすすめです。ステップメールとは、事前に設定したメールを、特定の顧客に任意のタイミングで自動送信するメルマガの一種です。

たとえば商品購入日を起点として、翌日、3日後、1週間後、1か月後といったタイミングで連続してメールを送ることができます。

ペライチ ステップメールの例
ステップメールの例

最初の設定だけ行えば、その後は自動で定期的にメルマガが送信されるため、ステップメールを活用することで手間なくリピート購入を促すことができます。

購入者限定クーポンなどを購入した1か月後に配布する、定期購入商品(サブスクリプション商品)を紹介して顧客単価の向上を狙うなど、顧客との接点を生かしてリピート購入を促進しましょう

送信するメールは必ずしもキャンペーン・セール情報でなくて構いません。商品の使い方、消費者の声、他の商品やサポートの案内など、消費者に商品を思い出してもらったり、未使用だった場合に使ってもらえたりするような内容がおすすめです。

まとめ

ネットショップ担当者が自社ECサイトの運用で考えるべきポイントを紹介しました。

受注後の定常業務を効率化し、ブランディング・ロイヤリティ向上とリピーター増加をめざすことがネットショップ成功の近道です。限られたコスト・リソースを適切に配分することで、ネットショップの運用効率は抜本的に改善することができます。

紹介した施策をすべて同時に実施する必要はありません。まずは取り組みやすい施策から小さく始めて成功事例を作り、大きく展開していくことが重要です。今回紹介した施策が、みなさまのネットショップ運用の一助になれば幸いです。

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