ネットショップ担当者のための運用型広告ゼミナール

ECの広告効果測定は「アクセス解析ツール+広告管理画面」を併用して行うべき理由

リスティング広告に代表される「運用型広告」の広告効果の頭打ちを解決!ネットショップが運用型広告をうまく活用する方法について紹介

鈴木 多聞

2016年8月24日 9:00

広告経由の売り上げをきちんと計測するコツを解説します。前回説明しました「CPA」「ROAS」「LTV」といったネット広告の基本指標の目標数値を設定した後、どのように広告経由の売り上げを計測していくのかは大変重要なところ。その適切な計測方法と潜む落とし穴は知ってますか?

広告効果を計測するには広告管理画面だけでは不十分

広告効果計測は「各広告チャネルの管理画面から得られる広告情報」だけではなく、「アクセス解析ツールから得られる情報」を含めることが重要です。

つまり、「広告チャネルの情報+アクセス解析ツール」の2つを並行して利用することが大切。そのためには、役割を明確にし、運用することが求められます。

下の図を見てください。アクセス解析ツール(Googleアナリティクスを事例にしています)、各チャネルの管理画面から取得できる情報の比較表です。

アクセス解析ツールと広告管理画面を併用

広告運用を行う際に注意したい点が、「アクセス解析ツールのCV計上と各チャネルとCV計上で差が生じる」ということ。少し掘り下げて説明します。

たとえば、あるユーザーが1か月間、広告接触からコンバージョンまでの経路で、Googleアドワーズの検索連動型広告、Yahoo!プロモーション広告のディスプレイ広告、Criteoと接触し、商品を購入した場合、実際の商品購入(トランザクション数)が1件だったとしても、各チャネルの管理画面では、Googleアドワーズ、Yahoo!プロモーション広告、Criteoのそれぞれの管理画面で1件のCVが計測されます。つまり、計3件のCVとなり実際の商品購入(トランザクション数)と乖離(かいり)が発生します

重複コンバージョンの問題

一方、同様の経路であったとして、アクセス解析ツールのCV計上は商品購入に至った直前のアクション(クリック)、つまりラストクリックに至った施策であるCriteoのみが商品購入(トランザクション数)として計上されます。

アクセス解析ツールのCV計上の重複コンバージョン

実は、この重複CVとラストクリック評価のいずれも大きな問題を抱えています。

アクセス解析ツールの結果に関する情報を運用に取り入れず、各チャネルの管理画面から得たCV数を最大化する広告の運用を行った場合、運用チャネルが増えれば増えるほど、広告管理画面上の合算したCV数値と、実際の商品購入件数に大きな差が発生します。あたかも各広告施策が好調であると判断し、過剰な広告投資によって目標とするROAS(広告費用対効果)が達成できないといった事態に陥るケースがよくあります。

ただ、アクセス解析ツールの結果情報を見れば良いかというと、そうとは言えません。

アクセス解析ツールを軸に広告運用を行った場合、ラストクリック施策をCV計上するため、ユーザーが複数の広告に接触したとしても、ラストクリックに寄与した広告以外は広告効果として評価しにくいという問題が生じます。

そもそも、どういった広告(ターゲティングやクリエイティブ、入札に関する情報)を経由したのかといった広告情報が不足します。

要するに、重複CVは「広告施策を過大評価する傾向にあり」。ラストクリックは、「広告施策を過少評価する傾向にある」といえます。

違いを明確にした上で広告運用に活かすことが重要

広告効果を正しく把握していくために、アクセス解析ツールから得られる購入数や売り上げの結果情報と広告の各チャネルの管理画面から得られる広告情報を、併用して運用していくことを推奨します。

併用した場合、購入数は収益(売上)情報・ROAS(収益性)の傾向はアクセス解析ツールで各施策ごとに確認しつつ、各広告のキャンペーン、広告クリエイティブ、キーワードなどのコンバージョン傾向などの広告効果情報の詳細は各チャネルの管理画面から細かな視点で確認していく、という手順になります。

Googleアナリティクスで各広告チャネル別の流入計測をするには、Googleアナリティクスへのパラメーターの付与は必須です。収益値を取得するためにはeコマース設定が必須となります。

それぞれ役割をしっかりと把握し日々の運用に生かしてください。

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