ベガコーポレーションがリアル店舗に進出、めざすはEC+実店舗+卸売りの「OMO型D2C企業」
ベガコーポレーションは家具・インテリアのECサイト「LOWYA(ロウヤ)」の実店舗展開を始める。直営の実店舗を開業するのは創業以来初。
第1号店は、大和ハウス工業と西部ガスグループの西部ガス都市開発が事業主体となる福岡県福岡市の複合施設「研究開発次世代拠点」(2023年初春開業予定)に出店する。賃借面積は121.6坪。
コロナ禍以降、リアル店中心のプレイヤーがECを強化しているほか、経済のリオープニングに伴い、OMOが急速に進展する可能性があると判断。EC市場で培ったアセットを最大限に生かしてリアル店舗の展開を進め、OMO体制を構築する。
ベガコーポレーションは9月、創業以来初となる卸販売を開始。第1弾の卸先はイオンリテールで、千葉市の「イオンスタイル幕張新都心」内に「LOWYA」とイオンのホームファッションブランド「ホームコーディ」がコラボした売り場の展開を始めた。
コロナ禍を経て多様化する暮らしのなか、顧客がより“インテリアを自由気ままに”選べる環境づくりをめざし、目で見て触れ、安心して購入できる場を増やすことを決断。顧客とのコミュニケーションを強化するために、実店舗で初めて展示・販売をすることにした。
立て続けに卸販売の展開、実店舗展開を決断したのは、リアルなタッチポイントを創造し、新たな買い物体験ができる場所を作るため。リアル・デジタルの両側面から“次世代のライフスタイル”を発信する「OMO型D2C企業」をめざす。
リアル店舗戦略はECで培った3つのアセットを活用
まず、旗艦店会員119万人、Instagramフォロワー80万人超、強いSEOなど、オンライン上の顧客基盤を実店舗への「送客力」として使う。大量の商品を容易に比較でき、トレンドと機能性を押さえた「商品デザイン力」、価格弾力性の高いEC市場を勝ち抜いた低価格でコストパフォーマンスの良い商品を生み出す「商品企画力」の強みを生かす。
認知・購入・受け取りチャネルに直営店・卸の選択肢を追加することで、一気にチャネルを複線化することで、OMO体制の構築を図っていく。
現状、ECによる家具・インテリア市場および関連する家電・雑貨領域の市場規模を合計すると約7300億円。リアル店舗への進出を図ることで、市場規模は現状の約6倍となる4兆3000億円に拡大する見込み。
さらに、リアル店舗への進出はECサイト「LOWYA」の認知拡大にも寄与すると見ている。
自社ECの中期戦略
自社ECの中期戦略は、リアル店の本格検討に伴い一部見直す。商品数・品目は引き続き拡大する方針だが、商品数に重きを置かず、重点品目を中心に厳選した商品を展開。ECとリアル店との連動施策も開始し、ECのみでは満たせなかった顧客ニーズに対応する。
ベガコーポレーションは直営店の開設を機に、新たな顧客との接触機会の増加、既存顧客に対するサービス強化を狙い、リアル店舗での販売を順次拡大する。ECに軸足を置きながらもOMO施策に取り組み、新たなビジネスモデルを構築していく。