【2020年度】化粧品市場は15%減の2.2兆円。コロナ禍でインバウンド需要が消失、テレワークや外出自粛で国内需要減
矢野経済研究所が10月27日に発表した2020年度の国内化粧品市場規模は、前年度比15.6%減の2兆2350億円だった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でインバウンド(訪日外国人客)需要がほぼ消失。テレワークの拡大や外出自粛などで国内需要が落ち込んだことが影響した。
化粧品市場をカテゴリー別に見ると、スキンケア市場が構成比47.9%(1兆700億円)と最も高く、メイクアップ市場が同17.9%(3990億円)、ヘアケア市場は同19.5%(4350億円)、男性用化粧品市場は同5.4%(1210億円)、フレグランス化粧品市場が同1.2%(260億円)と続いている。
1997年のアジア通貨危機と2008年のリーマン・ショックという経済危機後の化粧品業界の変遷を見た矢野経済研究所の分析によると、「市場構造の変革」と「新市場の創出」が起こった点がいずれも共通しているという。
1998~1999年にはドクターズコスメの台頭やM&A(合併・買収)の活発化、大手化粧品メーカーを中心に海外戦略が進展。また、通信販売などネットビジネスが台頭し、卸の大型合併なども起こった。
2009~2010年では異業種からの市場参入が活発化し、エシカルな消費ブームの高まりで自然派・オーガニック化粧品が本格的に市場を拡大。テレビ通販の台頭や業界全体での中国市場への進出が加速した。
今回も経済危機を契機として「市場構造の変革」や「新市場の創出」など化粧品産業に大きな変革が起きると分析している。
2021年度後半からコロナ禍が徐々に沈静化、国内の化粧品需要も徐々に回復し始めているという。そのため、2021年度の化粧品市場規模は前年度比1.6%増の2兆2700億円と予測する。
数年遅れで訪日外国人客も徐々に増加することが見込まれ、インバウンド需要もゆるやかに回復していくとしている。