企業は「何を変えたか」を考え、お客さんは「どう感じたか」で評価する。AI時代に見落とされているかもしれないこと【ネッ担まとめ】
ネットショップ担当者が読んでおくべき2026年6月13日~7月12日のニュース
8:00
「従来のSEO」と「AI施策」のような構図を依然として感じるなか、「AIに引用されるために」「AIが好むコンテンツ」といった文脈で、AI検索施策を推進する広告がSNSのフィードによく流れてきます。内容を読むと「センセーショナルに表現したい」という意図がわからなくもないのですが、「AIが好む」の先には「人=お客さん」がいて、その行動意図が反映されていることを忘れてはいけません。これはWebやAI検索に限った話ではありません。企業が「良かれと思って変えたこと」と、お客さんが「どう感じたか」の間には、しばしばズレが生まれます。今回は、そんな企業とお客さんとの間で生じる「ズレ」の事例から、「健やかなWebでの最適化」を考えていきましょう。
話題と購買欲、安定供給をめざしたことがもたらした学び
カルビー白黒包装で購入意向が激減 3000人調査で判明、湖池屋を下回る | 日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01394/00003/
「貧ぼっちゃま仕様(笑)」 カルビー『ポテトチップス』片面カラー袋が話題『おぼっちゃまくん』連想 | オリコンニュース
https://www.oricon.co.jp/news/2466679/
表面はフルカラーで明るいが裏面は白黒のままで、ネット上ではアニメ『おぼっちゃまくん』登場キャラの「貧保耐三(貧ぼっちゃま)」と話題になっている。
一部商品の表面カラー印刷再開を報じる記事のなかで、おもしろいタイトルのこちらの記事をピックアップ。白黒→一部再開のいずれもが大きな話題となることは、副産物となったかもしれません。
一方、X(旧Twitter)では白黒のパッケージをキャンバスに見立てて絵を描く人たちの発表の場となり、こちらも盛り上がりました。
苦肉の策から、わずか2か月で二転三転したパッケージが巻き起こしたあれこれ。話題と購買欲について、学びが多いと感じました。
要チェック記事
SEO関連
SEOは「キーワード検索」から「意思決定エンジン」へ、AI検索がもたらす10の変化(前編) | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2026/07/06/52884
“クリックの前、つまりAIが生成する回答の中でもSEOの効果が発揮されるようになっている”
「タイパ・コスパ重視」と言われたZ世代の次α世代は、AIすらネイティブ。2010年度生まれの人たちは2026年高校生になり、バイト代を使ってECで買い物する人たちも増えてくるでしょう。
高校生や社会人数年目の人と話す機会も増えましたが、彼らは惜しむべきもの・惜しまないものを明確に持っていると感じます。
クリック、タップの前段に多くのフローがあり、意思決定を行うまでに、自社のサイトやSNSアカウントがどれだけ露出し、接点を持てるかがカギとなりそうです。
“AI検索最適化は「SEOの代替」や「裏技で成り立つ孤立した分野」だと考えるべきではない。むしろ「検索最適化の進化形」”
本当にこれは何度も何度でも伝えたいことです。
サードパーティの SEO ツール、サービス、アドバイスの使用に関する Google 検索のガイダンス | Google Search Central
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/third-party-seo?hl=ja
“有益なアドバイスもありますが、「Google が言っていること」や Google のランキング システムの仕組みについて誤解していたり、異議を唱えたりする人もいます。”
前回は「生成AI検索でもSEOは有効」と明言したGoogleの記事を紹介しましたが、こうした声明が増えてきたのも、AIの普及とそこに付随するサービスが増えているからでしょうか。
“Google はサードパーティ サービスを評価していない”
と言い切ってもらえることはありがたいですね。昔は「消防署から来ました」という消火器の訪問販売をよく聞きましたが、「Googleから来ました」にも気をつけたいところ。
ググると出る「AIによる概要」でゼロクリック検索急増、『SEO瀕死』は真実か? | Forbes JAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/98888
Googleによる「生成AI検索でもSEOは有効」を解説した記事。上記記事と併せてどうぞ。
“コンシェルジュがいてもレストランの仕事は変わらない”
この表現、とてもしっくりきました。これから激変するかもしれませんが、今のところ
“検索の本質は、30年変わっていない”
See how content from social and video platforms performs on Google Search(ソーシャルメディアや動画プラットフォームのコンテンツがGoogle検索でどのように表示されるかを確認してください) | Google Search Central
https://developers.google.com/search/blog/2026/07/search-console-social-video-platforms
「Google Search Console」の新機能。現時点で、Instagram、TikTok、X、YouTubeのアカウントを連携することで、Google検索、Discover、Googleニュースでのパフォーマンスがチェックできるように。
縦型動画が隆盛を迎える今、動画集客に勤しむEC事業者も多いと思います。自社の動画がどのように検索されているかを見られるようになるのは、神アプデ。
マーケティング関連
客単価1900円増 ムラサキスポーツが挑んだ「誰でもデータ活用」の仕組み | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2606/24/news016.html
おそらく多くの企業に立ちはだかる
“データ活用の壁は「時間不足」「属人化」「文化」”
をどう解決したのかは参考になるかも。
「成長したい」と言うくせに「なんでもAIで答えを出す人」が見落としている“大事なこと”|DIAMONDonline
https://diamond.jp/articles/-/391273
こちらもあるある。
“AI時代は「結果を出せる人」ではなく「過程を知っている人」が評価される”
「なぜそうなったのか?」に至るまでを知っているかどうかは、本当に大切だと思います。
シニアの推し活は「若者化」なのか-コンテンツ経験から読み解くシニア像|ニッセイ基礎研究所
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=86189?pno=2&site=nli
Z世代、α世代が注目されがちですが、更新されているシニア像を生かしたシニアマーケティングも要注目。
「うちのお客さんはシニアなのでスマホを見ない」なんて言う事業者さん、もはやいませんよね?
今週の名言
New Look, Same Whole-Grain Mission for Bob’s Red Mill | PACKAGING DIGEST
https://www.packagingdigest.com/food-packaging/new-look-same-whole-grain-mission-for-bob-s-red-mill
冒頭で紹介した白黒パッケージは、ニュースやSNSでも大きく話題になる一方、「購買欲が下がった」という厳しいデータも。それでもお絵かきキャンバスとして話題になる副産物もありました。
ここで紹介するのは、アメリカで約50年の歴史をもつ、穀物食品のブランド「ボブズ・レッドミル」の事例です。
長年親しまれてきた創業者ボブの顔をプリントしたパッケージの変更が発表されると、SNSで「ボブが消えた」「昔の温かみがなくなった」「現代的すぎる」など反発の声も相次ぎました。
この変更には約3年をかけて消費者調査・小売業者へのヒアリングや社内テストを実施。「新パッケージにすることで、商品が見つかる時間を削減できる」という結論から、変更したのです。
創業者ボブの顔は品質保証のマークとして位置づけ、ボブは消えたのではなく、ブランドの象徴とする選択をしました。そして、一気に切り替えるのではなく2026年9月から商品ごとに順次新パッケージに切り替え、徐々に馴染んでもらうことをめざすようです。
2010年にGapがロゴを変更したところ不評の嵐で、わずか6日で元のロゴに戻し、当時のレートで約100億円の損失を出したことが報じられました。
2009年、Tropicana(トロピカーナ)はお馴染みだった果物にストローが刺さったパッケージを変更するも、38億円の広報費用が水の泡となり、30日で元のデザインに戻したこともありました。
大切なのは、企業が「何を変えたか」ではなく、その変化をお客さんが「どう感じるか」。わかりやすさ。見つけやすさ。そして「あ、これ知ってる」と思ってもらえる「おなじみの」を持つ企業やブランドは、やはり強いですね。
これはSEOやAI検索でも同じなのかもしれません。「AIに引用されるために何を変えるか」を考える前に、お客さんが自社をどのような言葉で探し、何を知りたがり、どんな情報があれば安心して選べるのかを考える。その積み重ねの先に、検索エンジンにもAIにも認識される「おなじみの存在」ができていくのではないでしょうか。AI時代だからこそ、「誰にどう感じてもらいたいのか」を忘れないようにしたいですね。
それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。
「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。
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原材料不足のなかでも安定供給のために変更した白黒パッケージは、大きなニュースとなりました。
購買意欲をかき立てる暖色系を消すことは、メーカー側も不本意だったと思います。上記調査では、「おいしそう」が33.1ポイント減、「安心・信頼」が24.9ポイント減となるなど、その影響は大きかったようです。有料会員限定記事ですが、読める人はぜひチェックしてみてください。
モノクロの新奇性によって短期的な注目を集める一方、それを上回る食欲や楽しさの減退を招いたことは、今後、企業が「変えること」と「お客さんがどう感じるか」を考えるうえで、1つの象徴的な事例になりそうです。その意味でも、この取り組みが残した学びは大きいと感じました。