鳥栖 剛[執筆] 8/30 6:00

オンワードホールディングスは8月28日、若年層アパレル「WEGO」を展開するウィゴーを完全子会社化すると発表した。

オンワードHDは2023年5月にウィゴーの発行済み株式20.27%を取得し、資本業務提携を締結。今回、残りの全株式を取得し完全子会社化する。取得価額は5億円。株式譲渡実行日は9月27日を予定する。

オンワードHDによると資本業務提携以降、商品MDや価格設定サプライチェーンの改革などで、ウィゴーの2025年2月期業績は売上高は前期比6%増の約300億円、5期ぶりに営業黒字転換する見込みだとしている。

なお、ウィゴーの2024年2月期業績は売上高が前期比5.3%減の283億700万円、営業損失は4400万円(前期は300万円の損失)、経常損失は5億8700万円(前期は4億1300万円の損失)、当期純損失は15億2500万円(前期は6億300万円の損失)だった。

完全子会社化の目的についてオンワードHDは、顧客層と主要販路において補完関係にあると説明。総会員数の拡大や世代バランスの取れた顧客基盤の形成アジアマーケット向けコンテンツの強化などを行い、シナジー効果創出を追及しオンワードHDとウィゴーの事業拡大を図るとしている。

ウィゴーはZ世代を中心とする若年層が主要顧客。顧客世代構成比としては10~20代で約7割を占める。販路はショッピングセンターやファッションビル、ECがメイン。主要顧客会員数は約340万人で、販路別売上比率はSCその他が8割を占め、残り2割がEC(自社EC比率は全体の4%)となっている。

一方、オンワードグループは30~60代が主要顧客。主要会員数は約530万人で、販路別売上比率は百貨店が3割、SCその他が4割、ECが3割(自社EC比率は全体の27%)。

オンワードホールディングスは、若年層アパレル「WEGO」を展開するウィゴーを完全子会社化する
ウィゴーは自社EC比率が低く、オンワードHDはEC比率の大半を自社ECが占める(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

オンワードHDとウィゴーの登録会員数を単純合算すると、オンワードグループの持つ会員網は約870万人に拡大する。

オンワードホールディングスは、若年層アパレル「WEGO」を展開するウィゴーを完全子会社化する
ウィゴーの完全子会社化により単純計算でオンワードHDの会員網は約870万人となる(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

10~20代を中心とするウィゴー、と30~60代を中心とするオンワードグループの顧客基盤を掛け合わせ、世代バランスのとれた顧客基盤を形成できるようになる。

オンワードホールディングスは、若年層アパレル「WEGO」を展開するウィゴーを完全子会社化する
ウィゴーの完全子会社化によりオンワードHDが手薄だった10~20代の顧客基盤が一気に拡充される(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

またウィゴーでは東京・原宿や大阪・心斎橋の路面店においてインバウンド売上高比率が高いなどアジアマーケットに強みがある。オンワードグループのアジア営業ネットワークとのシナジーでアジアマーケットへの展開を加速させる狙いもある。

オンワードホールディングスは、若年層アパレル「WEGO」を展開するウィゴーを完全子会社化する
「痛バッグ」など人気でウィゴーの都心路面店はインバウンド売上比率が大きい(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

そのほか、完全子会社化により製造・物流コストの削減や価格競争力の強化といったコスト効率化、グループ内の人材交流などを通じた人材育成、財務基盤の安定化や投資効率化といった財務強化も行いシナジー効果の創出を図っていく。

※記事初出時、オンワードHDによるウィゴーの発行済み株式の取得時期を「2023年6月」と記載していたが、正しくは「2023年5月」です。訂正しておわびいたします。

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