瀧川 正実 2019/7/31 7:00

エービーシー・マート(ABCマート)が7月30日、EC×店舗の次世代ECによる新たな顧客体験の実現をめざすと発表した。

ABCマートの2019年2月期における単体売上高は1913億4700万円で、IR情報によるとEC売上の比率は「当社の売上規模のまだ5、6%の水準」。単純換算でEC売上の規模は約95億円から約114億円と見られる。

そんなABCマートが力を入れているのが、全国に展開している直営店舗を活用したオムニチャネル戦略。2019年2月期で980店舗以上の国内店舗を積極活用していくという。そのオムニチャネルを推進する戦略パートナーに選んだのがecbeing。今後どんな取り組みを行うのか。

パートナーのecbeingと「EC×店舗の総合的なサービスの向上」を図る

ecbeingは2010年以降、ABCマートのオフィシャルECサイト「ABC-MART.net」の構築・強化に参画。店舗向け直送システム「iChock」、販売スタッフ向け「s NAVI」などの実現に貢献してきた。今後は、ABCマートのオムニチャネル戦略全般に関わる企画、設計、構築、運営においてより広範囲に連携するという。

両社は場所・時間を問わずパーソナライズされた新たな顧客体験を提供するため、ネットと実店舗を融合したオムニチャネルサービスの提供。ABCマートの成長戦略の実現に向けECを中心としたWebの活用、ABCマート全体のビジネスを推進するとしている。

重点ポイントは「スマートフォンを中心にしたECの利便性向上」「EC×店舗による在庫有効活用と店舗受取サービスの拡充」「s NAVIによる接客サービスの向上」。EC×店舗の総合的なサービスの向上を図る。

推進する重点ポイントの内容とは

「スマートフォンを中心にしたECの利便性向上」に関しては、公式アプリを2018年3月に実施。1年後となる2019年3月にはリニューアルから約1年で350万DLに達した。

リニューアルでは、実店舗とオンラインストアで共通ポイントがたまる会員証機能などを実装。店頭で商品バーコードを読み取ると商品詳細を確認できる機能、店舗や商品を「お気に入り登録」できる機能なども追加している。

ABCマートのオムニチャネル戦略
リニューアル後の公式アプリでは、最新アイテムやセール情報、コーディネート、ライフスタイルといった情報発信も行う(画像はABCマートのECサイトから編集部がキャプチャ)

「EC×店舗による在庫有効活用と店舗受取サービスの拡充」に関しては、IR情報で次のように記載している。

まだ一部の店舗での対応となりますが、インターネット通販でご予約いただいた商品を店舗でご試着、ご購入いただくことが可能です。反対に、店舗におけるインターネット通販の在庫を活用した取り組みとして、ご来店いただいた店舗で欠品している商品を倉庫(又は在庫のある他の店舗)から直接発送するサービスも行っています。ただ単に品揃えをしてモノを売るだけではなく、付加価値(サービス)の提供と、いち早くお客様のニーズに対応していくことが、販売競争で優位性を獲得していく上で不可欠といえます。

ABCマートのオムニチャネル戦略
店頭にはないサイズの商品などをその場で注文でき、後日自宅に無料で届けるサービスが「iChock」

「s NAVIによる接客サービスの向上」とは何か? 商品の在庫情報を店舗スタッフが接客中に確認できるスマホアプリが「s NAVI」で、クラウド型のオムニチャネル戦略支援システムを使い、全店舗とEC、メーカーの在庫情報を共有している。

「店舗・ECの連動による顧客利便性の向上」「店舗・EC・メーカーの在庫情報の共有によるチャンスロスの極小化」「メーカーとの双方向連携による業務の効率化」を重視し、店舗とECの販売力の底上げや、店頭の品ぞろえと商品調達力の強化に注力しているという。

ecbeing、ABCマートのトップがコメント

オムニチャネルの戦略パートナーとしての提携に関し、エービーシー・マートとecbeingのトップがコメントを発した。

エービーシー・マート 代表取締役社長 野口実氏のコメント

昨今の急激なECの成長と実店舗との連携について、ecbeingとは様々な取り組みに挑戦して、また成果を上げてまいりました。今後のABCマートの発展においてオムニチャネル戦略が一層重要になる中で、ecbeingと手を携えて顧客サービスを磨き上げていきたいと思います。

ecbeing 代表取締役社長 林雅也氏のコメント

2020年に向け、5Gやキャッシュレスなどの社会基盤が急速に発展し、消費者行動もさらに変化するはずです。ABCマートにおいて、ECと店舗の連動は、iChockをはじめ早期から手がけられて大きな成果を上げられています。今後さらに、EC×店舗で最新テクノロジーを活用することで、パーソナライズされ利便性の高いオムニチャネルを展開し、消費者のライフスタイルに大きな影響をあたえていくものと考えます。

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