ネット販売実施企業上位300社の売上高は2兆3575億円、上位企業の好調ぶり際立つ
本紙(通販新聞)姉妹誌「月刊ネット販売」で実施した調査によると、2013年度(13年6月~14年5月)のネット販売実施企業上位300社の合計売上高は約2兆6662億円。前年度(12年6月~13年5月)の約2兆3575億円から13.1%増まで拡大した。依然としてアマゾンジャパンが圧倒的な力で市場をけん引。分野別で見ても例年通りの企業がトップを飾るなど、今回も上位企業の好調ぶりが際立っている。(9月25日発売の「月刊ネット販売」10月号の「第14回ネット販売白書」に300社の売上高ランキング表と商材別の市場解説を掲載)
前年比13%増、首位はアマゾン
「月刊ネット販売」の売上高調査によると、13年度のネット販売(BtoCの物販)実施企業主要300社の売上高合計金額は前年比13.1%増の2兆6662億円となった(左表は上位30位までを抜粋して掲載)。伸び率は前回調査時の12年度と比較して3・7ポイント増加している。
上位企業の顔ぶれに大きな変化はなく、今回もアマゾンジャパンが2位に大差をつけてトップ。2位は前回と同じく千趣会で、3位には前回6位のヨドバシカメラがランクインした。トップ10入りした企業のほぼすべてが前年比でプラス成長となっており、その内5社が2桁増という結果だった。
アマゾンが首位7000億突破
商品カテゴリー別に順位を見てみると、「総合」分野はアマゾンジャパンが前年比20.2%増の7455億円でトップ。当期も引き続き様々な切り口から商品・サービスを提案し、依然として2桁成長を続けている。今年も中古車販売への参入や酒販免許を取得して酒類の直販に乗り出すなど商品提案の幅を広げ、顧客層の拡大を図っている。また、国内物流網の整備も進めており、昨年9月には「小田原フルフィルメントセンター」の稼働を開始。延床面積約20万平方メートルと同社の国内最大級の物流拠点として書籍やCD、家電、ホーム&キッチン用品など多様な商品を取り扱う。近隣の3物流拠点の在庫も同センターに統合して物流網を再編し、商品配送周りの機能を更に強化していく考え。
同分野で2位となった千趣会は同2.1%増の831億700万円。伸び率では前回調査よりやや鈍化したものの堅調に推移。ネット受注件数比率は3・2ポイント上昇し、71.7%まで拡大している。
同じく3位のニッセンはネット売上高全体では同1.9%減となったものの、携帯売上高では14.0%増と2ケタ成長を記録した。その他、カタログ総合通販企業ではディノス・セシールやベルーナ、スクロールなどが上位にランクインしている。
ゾゾは取扱高も過去最高を記録
「衣料品」分野では、スタートトゥデイの独走が続いている。当期は検索機能などユーザービリティの改善を図ったことで、ユニークユーザー数が増加し購入率も上昇。売上高は前年比10.1%増の385億8000万円で、モールの販売総額を示す商品取扱高も約1147億円となりいずれも過去最高を記録している。
2位にランクインしたのは有店舗企業のファーストリテイリング。抜群の知名度とともに「ヒートテック」をはじめとするコア商品が好調に推移したほか、顧客とのコミュニケーションツールとしてSNSを積極活用したこともネットでの売り上げ拡大につながった。また、丸井グループも3位につけており、靴やバッグがそれぞれ30%増となったことで業績を押し上げた。
化粧品上位企業で成長に一服感
「化粧品」分野は、これまで市場をけん引してきた上位企業の成長率に一服感が出てきたことが、ネット販売市場にも影響している。1位のオルビスは「LINE」でのスタンプ配信などSNSを使ったプロモーションが奏功して新規獲得が進んだ。3位のファンケルは、ブランド再構築で期待した以上の結果を得られず、卸販売など流通戦略の強化を図りつつ、ネットを含む通販事業のテコ入れを進めている。4位となったガシー・レンカー・ジャパンはネットでの新規獲得効率の検証を進めている。
「健康食品」分野の上位は、DHC、ファンケル、ライオン、やずやといったおなじみの顔ぶれ。ネットを中心に新規獲得に向けたプロモーションを行うライオンが数年前から急成長を見せているが、上位の多くは紙媒体を含めた主要企業がネット移行を強化した結果と考えられる。
家電量販店の躍進が目立つ
「PC・家電」分野ではヨドバシカメラが同41.9%増の650億円(※本紙推定)で1位となっている。書籍や文具、事務用品、日用品など取扱商材を大幅に拡大。一部店舗での受け取りサービスの時間帯を24時間に拡大するなど利便性を向上させたことが売り上げの拡大につながっている。同分野では3位に上新電機、4位にはキタムラ、6位にビックカメラがそれぞれランクインするなど家電量販店が上位を占める躍進ぶりを見せた。
同分野5位のジャパネットたかたはデジタル家電を中心とした商品戦略からの脱却を進めたほか、ネット販売の強化・テコ入れを行ったことが奏功し、大幅増収を果たしたもよう。
ネットスーパーが市場をけん引
「食品」分野ではイトーヨーカ堂のネットスーパーが売上高同12.5%増の450億円となり前回に続きトップを獲得。対応店舗数は昨年11月時点で146店舗、顧客数では160万人となり、前回調査に引き続き2桁の増収だった。
同分野2位のオイシックスは他社商品を販売する「Oiチカ」や献立キットの「KitOisix」を導入して定期会員の購入頻度と客単価が向上。そのほか、仮想モールに出店するネット販売企業の業績も堅調に推移している。
書籍でも独走するアマゾン
「書籍、CD・DVD」の分野でも例年同様にアマゾンジャパンが圧倒的な強さで首位となっている。同社の総売上高の内、同分野の割合は約4割程度と見られており、売上高は同20.1%増の2980億円(同)。ポイントバックで事実上1割引で本が購入可能となる大学生向け会員制度「AmazonStudent」の対象範囲を広げるなど、効果的な施策を打ち出している。2位のセブンネットショッピングは強みである店舗連携を強化。イトーヨーカ堂やそごう・西武、セブン―イレブンなどグループ各店舗に無料雑誌「セブンネット生活」を設置して通販サイトへの誘導を図っている。
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