【研究報告】ヒト皮脂腺細胞における新規の免疫応答メカニズムの発見

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株式会社ディーエイチシー
~Biochemistry and Biophysics Reports誌に論文が掲載されました~

株式会社ディーエイチシー(本社:東京都港区、代表取締役社長:宮崎緑、以下:DHC)は、 ニキビの発症に関与するヒト皮脂腺細胞の免疫応答について、新規のメカニズムを発見しました。 本研究成果が、学術専門雑誌「Biochemistry and Biophysics Reports」に掲載されましたのでお知らせいたします。


【研究結果・背景】
今回、ヒト皮脂腺細胞が細胞質型パターン認識受容体※1NOD1を発現し、NOD1が皮脂腺の免疫応答に寄与することを発見しました。皮脂腺は毛穴の内部にある器官として皮膚の真皮層に位置しています。皮脂腺は主に皮脂腺細胞(図1赤線)で構成されており、皮脂を産生する働きだけでなく、皮膚の免疫にも寄与しています。NOD1およびNOD2は細胞質型パターン認識受容体の1種であり、これまでに様々な組織で免疫応答に関与することが知られていましたが、ヒト皮脂腺細胞における発現は明らかにされていませんでした。そこで、当社はヒト皮脂腺細胞における未知の免疫応答メカニズムを解明するために、NOD1およびNOD2について研究を行いました。

【NOD1およびNOD2の遺伝子発現の評価】
ヒト皮脂腺細胞におけるNOD1およびNOD2の発現を明らかにするために、ヒト皮脂腺細胞から遺伝子を抽出し、PCR法を用いてNOD1またはNOD2遺伝子の増幅を試みました。得られたPCR産物を調べた結果、NOD1遺伝子は検出されましたが、NOD2遺伝子はほとんど検出されませんでした(図2)。
このことから、ヒト皮脂腺細胞はNOD1を発現する一方で、NOD2をほとんど発現しないことが明らかとなりました。

        図1. 皮膚の模式図                図2. NOD1およびNOD2遺伝子の発現

【NOD1およびNOD2を介した免疫応答の評価】
次に、ヒト皮脂腺細胞に発現するNOD1およびNOD2が免疫応答に寄与するのか調べるために、NOD1作動薬であるTri-DAP※2またはNOD2作動薬であるMDP※3で細胞を刺激して、炎症性サイトカインの1種であるIL-8が誘導されるか調べました。Tri-DAPによる刺激は濃度依存的にIL-8の産生を誘導したのに対し、MDPによる刺激はIL-8の産生を誘導しませんでした(図4)。さらに、Tri-DAPによる刺激は、免疫応答において中心的な役割を果たす転写因子であるNF-κB※4のサブユニットp65とMAPK※5の1種であるp38のリン酸化を誘導しました(図5)。
以上の結果から、NOD1およびNOD2のうち、NOD1がヒト皮脂腺細胞においてNF-κBおよびMAPKシグナルの活性化と免疫応答に関与することが明らかとなりました。

            図4. NOD1またはNOD2作動薬による炎症性サイトカインの産生



             図5. NOD1作動薬による炎症関連タンパク質の活性化

【今後の展望】
皮脂腺細胞の免疫応答は、ニキビの発症に影響することが知られています。そのため、NOD1を適切に制御するアプローチは、ニキビ発症の予防に繋がることが期待できます。今回の研究成果を基に、皮脂腺のNOD1に着目した新たなスキンケアアプローチの提案を目指します。


【論文情報】https://doi.org/10.1016/j.bbrep.2023.101561

【用語説明】
※1パターン認識受容体:病原体に特有の構造を認識する受容体。細胞膜やエンドソーム、細胞質などに広く分布し、自然免疫応答を誘導する。
※2 L-Ala-γ-D-Glu-mDAP (Tri-DAP):主にグラム陰性菌のペプチドグリカンに存在するトリペプチド。NOD1に認識され、下流の免疫応答シグナルを活性化させることが知られている。
※3 Muramyl dipeptide (MDP):グラム陽性菌とグラム陰性菌のペプチドグリカンに共通の構造であるジペプチド。NOD2に認識され、下流の免疫応答シグナルを活性化させることが知られている。
※4 Nuclear factor κB (NF-κB):主にp65、p50のサブユニットから構成され、サイトカインなどの様々な細胞ストレスによって活性化される転写因子。結合した阻害タンパク質IκBから遊離し、p65がリン酸化されることで活性化され、多くの生命現象にかかわるタンパク質の遺伝子発現を誘導する。
※5 Mitogen-activated Protein Kinase(MAPK):p38とERK、JNKの3種類が知られるリン酸化酵素。サイトカインなどの様々な細胞ストレスによって自身のリン酸化が起こる、すなわち活性化されると下流のシグナルを介して、ストレス応答や免疫応答にかかわる転写因子を活性化する。
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