日本郵便は1月23日、楽天グループ、GMOメイクショップ、アパグループ、アフラック生命保険、セールスフォース・ジャパン、Packcity Japan、東京大学と共同で、住所にまつわる社会課題の解決を目的とした共創型コンソーシアム「デジタルアドレス・オープンイノベーション」を発足した。
産学官・業界横断で住所のDXを推進し、「次世代にふさわしい住所のあり方」を検討・実装していく。オブザーバーとして総務省とデジタル庁も参加し、今後は共創パートナーを広く募って活動を拡大する方針だ。
住所は、郵便・物流にとどまらず、行政、金融、ECなど社会のさまざまな分野で利用される基盤情報。一方で、社会構造や生活様式の変化に伴い、住所の変更・確認に関わる作業は増大し、利便性・効率性の面で課題が顕在化している。こうした課題は特定業種に限らず、社会全体に共通する。コンソーシアムは、業種の枠を超えた多様な関係者と連携し、「次世代にふさわしい住所のあり方」を検討・改善することを目的に組成した。
住所情報を7桁の英数字に変換・伝達する「デジタルアドレス」
日本郵便は2025年5月、住所情報を7桁の英数字に変換・伝達できる新サービス「デジタルアドレス」の提供を始めた。「デジタルアドレス」は、日本郵便のサービスを便利に利用するためのID「ゆうID」に登録している住所を7桁の英数字に変換できるもの。郵便番号を含む都道府県から町域、建物情報など住所情報の全文を7桁の英数字で表現する。
「デジタルアドレス」は、コード自体から地理的な場所や同居者情報などはわからない。また、デジタルアドレスから名前を特定できない、名前や住所からデジタルアドレスを検索できないといった設計で、プライバシーに配慮した仕組みになっている。
「デジタルアドレス」に対応する各種サービスでは、既存の住所の代わりに「デジタルアドレス」を利用することで、住所の全文を簡潔に伝えることが可能となる。住所を示す手段として長い住所を書く手間がなくなるほか、一生涯にわたり同じ「デジタルアドレス」を持ち続けることもできる。引っ越しても住所変更の手続きが簡素化されるなど、ユーザーが感じる「住所にまつわる不便」を解消することをめざしている。
日本郵便は内外におけるサービス連携の拡大も進めている。事業者向けの「郵便番号・デジタルアドレスAPI」の無料提供を開始し、さまざまな産業分野の事業者が同APIを導入することで、さまざまな場面で「デジタルアドレス」を住所に変換できるようにした。これにより、日本郵便以外のサービスでも「デジタルアドレス」を簡単に利用できるようになる。
「デジタルアドレス」実用化に向けた実証実験などを実行
今回立ち上げたコンソーシアムでは、次の3つを柱に活動を進める。
具体的な活用事例の共創と実証
郵便・物流、小売、金融、医療、観光など、さまざまな分野の企業や研究機関、行政・自治体と連携し、「デジタルアドレス」の実用化に向けた実証実験や活用事例の創出を共同で行う。
技術・制度の整備
「デジタルアドレス」の利活用に関する知見を共有し、技術や制度のあり方を共同で検討・整備する。住所情報を安全かつ効率的に扱うためのルール作りも視野に入れる。
次世代にふさわしい住所の検討・改善
住所情報を正確・最新・一元的に利用できる「デジタルアドレス・エコシステム」を、次世代の社会インフラとして確立し、社会全体への浸透を加速させる。
「長年の課題だったECにおける住所入力を『デジタルアドレス』で革新」
コンソーシアム参加の各社は、「デジタルアドレス」活用による業務効率化や顧客体験向上への期待をコメントしている。
楽天グループは、2020年に日本郵便と物流領域での戦略的提携を発表し、ECにおける受け取り利便性向上や配送効率化に取り組んできた。「デジタルアドレス・オープンイノベーション」の共創パートナーになることで、「日本郵便との協業の幅を広げるとともに、本取り組みを通じた新たな価値創造を目指す」(専務執行役員 コマース&マーケティングカンパニー プレジデント 松村亮氏)としている。
GMOメイクショップは2025年7月、ECサイト構築プラットフォーム「GMOクラウドEC」に「デジタルアドレス」を導入した。「長年の課題だったECにおける住所入力を『デジタルアドレス』で革新し、顧客体験向上と業務効率化に貢献できると確信している」(向畑憲良社長)とコメント。ECプラットフォーム企業として、「GMOクラウドEC」「makeshop byGMO」への展開を加速し、EC業界全体の発展と社会課題解決に尽力するとしている。
アパグループは、日本郵便の「デジタルアドレス」を、自動チェックイン機と公式サイト・アプリから直接予約できるサービス「アパ直」の会員情報登録に採用。手入力の手間と誤入力を削減し、チェックイン時間の短縮や最新住所の把握に効果が出ているという。
セールスフォース・ジャパンは、「住所にまつわる課題」の解決を目指す取り組みを「極めて意義深い」と評価。デジタルアドレス関連プロダクトの導入支援や、CRM領域における住所DXの推進に取り組む。
Packcity Japanは、スマートロッカー「PUDOステーション」を通じてラストワンマイルの利便性・効率性向上に取り組んできた。「『デジタルアドレス』基盤を活用した新たな価値創出に向けた重要な機会」と位置づけ、同基盤を取り入れたサービスの実現に取り組み、持続可能な物流モデルと革新的なユーザー体験を推進するとしている。
- この記事のキーワード