アイリスグループのアイリスアグリイノベーションはこのほど、農業への参入を決めたと発表した。東日本大震災の発災から 15 年の節目を機に、農家の高齢化や担い手不足といった課題を解決するため、参入を決めた。

農地リース方式で農地を借り受け、アイリスグループの従業員が農業の担い手となる。高齢化や担い手不足により生じる耕作放棄地を活用し、地域農業の持続可能性を向上させる。
生産した米はアイリスグループ内で加工・販売。精米・出荷は需要に応じてタイミングを調整し、市場への安定供給をめざす。これまでに行ってきた提携先農家への営農支援も継続し、農業を展開して得たノウハウを共有することで、発展に貢献するとしている。
初年度はブランド米「にじのきらめき」を中心に多収品種を栽培し、収穫した米はパックごはんとして日本国内向けに販売する予定。合計22ヘクタールで開始し、中期目標として5年後に計200ヘクタール、長期目標では1000ヘクタールまで展開を広げる計画。農業DXも推進する。輸出用のパックごはんとしての活用も視野に入れている。
農業経営支援の変遷
東日本大震災の発災当時、宮城県にも本社を構えるアイリスグループは甚大な被害を受け、従業員やその家族も被災したという。営農再開支援と農業復興を目的に、アイリスグループは2013年に精米事業へ参入。東北を中心に提携する農家から米の買い取りを行い、農家の安定した農業経営を支援している。
米の安定供給体制の強化と普及拡大、新たな雇用創出を目的に、2014年にアイリスグループは宮城県亘理町(わたりちょう)に亘理精米工場を新設し、玄米の調達と精米加工を開始した。さらに、2022年には復興支援事業の一環として福島県南相馬市に南相馬工場を新設。パックごはん用のトレーやフィルムを製造している。
資材の生産、玄米の調達・精米・加工・流通・販売までをアイリスグループ内で担う体制を構築している。
農業参入の背景
国内の稲作分野では、生産者の高齢化や担い手不足が深刻化。農林水産省の調査によると、2024年時点で稲作を含む基幹的農業従事者の平均年齢は69.2歳となっており、65歳以上が7割を占める。また、全国の農地の約3割では10年後の担い手が決まっていないという。
この一方、海外では日本産の米関連製品の需要が高まっている。2025年の日本の農林水産物・食品の輸出額は1兆7005億円となり、13年連続で過去最高額を更新。このうち、パックごはん・加工米飯は前年比34.4%増の19億円だった。
しかし、主食用米の価格高騰などを背景に、新市場開拓用米の作付け状況は減少している。輸出拡大や国内の安定供給に向けて作付面積を増加させる必要があることから、アイリスグループは農業分野への参入を決めた。

