瀧川 正実 2015/2/23 7:00

皆さん、どの容量のiPhone6を買いましたか? 僕は128GB。でも、64GBでも十分使えたはず。しかし16GBは、使い勝手に欠けると思ったので検討外。何が言いたいのかというと、Appleの価格設定は使いにくいと考えられる16GBを199ドルにすることで、64GBの値頃感を打ち出し、実際の売れ筋を64GBと、ベター品である128GBにしているのだ。こんなAppleの戦略的で、消費者心理を駆使した値付け方法を学んでみよう。

iPhone6と昼食ランチに共通する「1:1.5:2」の値付け法則

iPhoneではわかりにくいというあなたのために、外食ランチ格帯で説明してみよう。

商談などがない、日常の外食ランチでは、「500円」「750円」「1000円」が1つの目安ではないだろうか?  そこでiPhone6の価格設定をもう一度見てみると、ある法則に気付くことができる。

Appleが販売するiPhone6の価格
iPhone6の販売価格

それは、外食ランチもiPhoneの価格設定も、「1:1.5:2」になっているということだ

外食ランチにおける価格選択肢で500円の場合、ファーストフードや牛丼など、単品物が大量にある商品の販売が中心になってくるため、これが毎日続くとちょっとつらい。

僕の値頃感だけど、日々の昼食代は750円がベスト。たまに1000円、できれば毎日1000円で昼食を食べたいし、さらには2000円、3000円でホテルランチも食べたいものだ。

でも、料理屋の友人はこう言う。「ホテルなんかで1万円を払うより、うちでラーメン+ライス+餃子で1000円の方がおなかいっぱいになるで」。価格に満足ってこういうことだ。

外食ランチの価格を弁当でたとえてみる

「“安くしなければ売れない……だから安売りNO.1”でやっていく」。ネットショップを運営していると、こうしたことを口にする経営者って多いですよね。これは経営者個々の考え方次第。決してダメではない。

だけど、これを自社の販売商品にあてはめてみよう。お客さま視点であなたのお店を見ると、「16GBのiPhone」「500円の定番メニュー」しか売っていないお店になる

安く仕入れて、安価に売る。つまり、「500円の定番メニュー」のお店は、大量販売が前提となるため、単品集中が基本のビジネスモデルだ。

値付けの基本は、一番売りたい中心価格の確実な設定

ここであなたに聞いてみたい。あなたのお店の商品は、昼食ランチの価格帯にたとえると、どのゾーンの品だろうか?

お客さまの値頃感に合った販売商品は、価格設定が大切だ。お客さまの値頃感と、あなたの販売商品とあなたの価値感、値頃感は合致しているだろうか?

安さを強調するほど、もうすこしベターな品を欲するお客さまのニーズ、グレード価格感の品が欠落していくことになる

貴社の主力販売商品は、あなた自身が使いたい、 食べたい、買いたいグレード、価格になっているだろうか?

大切なことは、貴社が販売している商品の中心価格を、「あなたの店でなく世間一般」でのプライスで理解すること

すべての商品には、ユーザーが感じている価格感、値頃感が存在する。これをはずしてしまうと、ユーザーが商品を手にした後に、「ぼったくられた」「がっかりした」といった感情が発生してしまう。お客さまに満足いただき、販売側も継続できる価格設定をルール付けておくことが重要だ

商品にはグレードが存在する。僕は無地Tシャツ屋なので、その値頃感で説明してみよう。

  • 100円ショップ → 売価100円
  • ホームセンター → 売価300円~500円
  • スーパー/量販店/アウトレット → 売価500円~1000円
  • スーパー/量販店店内でのベター品 → 売価1000円~2900円(例/スポーツ系ブランドショップなど)
  • 百貨店 → 売価3900円~7900円
  • 百貨店内海外ブランド → 売価7900円~20000円

各業態で売られているTシャツの中心的な売価はこんなところだろう。

いろんな業態で売っているTシャツはすべて立派なものだ。だけれども、100円ショップと百貨店内海外ブランドの値頃感の差は200倍もある。

僕が扱う自社ブランドの中心価格は、2900円~3900円(その中心なら3400円)。このゾーンの1クラス上である百貨店の売価は3900円~7900円クラスの品。僕は百貨店でも売られているような実力、質を持つTシャツを自ら作って販売している。それでも、3400円が僕のお店の中心価格である。

中心価格を設定し、一番売っていきたい商品が完成すれば、2倍、最低でも1.5倍のバリュー=価格対品質を持たせることができる。型番商品以外なら必ずできるとまず自分が信じることが重要だ! 心配するな、必ず売れる! 僕もそうやってきた! 

お客さま視点で、百貨店バリューの半額、つまり、お客さま視点から「これでこの価格なら値打ちがある」と実感させる品を作って売るのが重要なのだ。

最後にiPhone6と外食ランチの価格設定に戻ろう。

これは僕の話。「1:1.5:2」の法則に当てはめてみると(1.5の中間ラインに3400を設定)、次の段階でやっていくべき価格帯は、下のゾーンは3400円の3分の2の価格、2266円だから約2300円。上のゾーンは、3400円の1.5倍だから約5000円。これが、僕が次の段階でめざすべき商品の価格帯だ。

この上も下もリスクがある。だって、中心価格からかけ離れたゾーンになるから。こんな考えをもって価格をはっきり決めるのが商売の基本だ。

今回の結論

2015年からは、これまで以上にお客さまとの本格的な“個対個”の関係構築が大事になる。確信を持って継続できる商売をするために、自分の価値感と、自社販売商品の価値感・値頃感を一致させよう。

自分がその品の値打ちを理解できないないモノは説明できない。つまり、売れないよってことです。

2015年もヨロシクです!

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