売上高物流コスト比率は21~30%が最多。エンタメ・アパレル・アウトドアは3割超が半数、食品・飲料は10%以下

「EC運営におけるコストの実態調査」によると、EC事業者における売上高に占める物流コスト比率は21~30%が最多となった。

鳥栖 剛[執筆]

2024年11月21日 7:00

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」によると、EC事業者の売上高に占める物流コスト比率は21~30%が最多となった。

調査対象は20~70歳代のEC事業を運営している担当者・責任者を務める男女1000人、期間は2024年11月8日~12日。

調査ではまず、自社ECサイトやECモール店などの総合的な平均顧客単価について聞いた。平均顧客単価は3000~5000円が25.6%で最多。1001~3000円が16.6%、5001~7000円が13.2%と、3000~5000円を中心とした分布となった。

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」
全体の顧客単価の平均は3000~5000円だった(n=1000、ウルロジ調べ)

商材カテゴリごとに分析したところ、エンタメグッズとアパレルのECは平均顧客単価が5000円以上の事業者が7割以上を占めた。他の商材カテゴリに比べ単価が高い傾向が見られた。エンタメグッズは、限定商品やコレクターアイテムなど、希少価値の高い商品が多く、ファン心理をくすぐる価格設定がしやすいと考えられる。またアパレルは、ブランドイメージやデザイン性によって高付加価値化しやすく、高価格帯でも需要が見込めるとした。

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」
エンタメグッズ・アパレルは単価が高い傾向に(n=736、ウルロジ調べ)

EC事業の売上に対する物流費用が占める割合についても調査。物流費用は21~30%の事業者が最も多く、全体の22.4%となった。

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」
売上高に占める物流費用の平均比率は21~30%(n=1000、ウルロジ調べ)

商材カテゴリ別では、エンタメグッズ、アパレル、アウトドア用品のカテゴリで売上高に対して物流費用に30%以上かけている事業者が半数以上を占めた。一方、食品・飲料は、物流費用が10%以下の事業者が最も多く、他のカテゴリに比べて物流費用率が低い傾向だった。

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」
嗜好品カテゴリでは物流費率30%以上が半数(n=736、ウルロジ調べ)

エンタメグッズ、アパレル、アウトドア用品は、顧客満足度を高めるために、丁寧な梱包や迅速な配送サービスを提供している企業が多いと考えられるとした。そのため、梱包材や配送コストに費用をかけている可能性がある。アパレルは、返品率が高く、返品に伴う物流コストが発生しやすいと考えられると指摘。アウトドア用品は、大型商品や重量のある商品が多いため、配送コストが高くなる傾向があるとした。

平均顧客単価で分析してみると、平均顧客単価が20001円~50000円の高単価の場合、物流費用の比率も高くなる傾向が見られた。高単価の商品を扱うEC事業者は、顧客満足度を高めるため、物流品質に投資していると見られる。

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」
高単価の場合は物流費率が高くなる傾向に(n=1000、ウルロジ調べ)

EC運用における各コストに対しての印象も聞いた。物流費用と商品原価については、それぞれ50%以上の事業者が「高くなっている」と感じていることがわかった。システム運用費、広告・マーケティング費用についても、それぞれ40%以上の事業者がコスト上昇を実感。いずれの項目においても、「安くなっている」と回答した事業者は10%未満と少数だった。

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC運営におけるコストの実態調査」
物流費用と商品原価のコスト上昇を感じている事業者が半数以上(ウルロジ調べ)

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