【電話対応現場でのカスハラ実態】3割が被害、企業の対策は2割にとどまる
オフィス環境リューションを提供するイデックスビジネスサービスは3月31日、「カスハラの実態と電話対応における課題」に関する調査の結果を公表した。
近年、顧客対応の現場では「暴言」や「長時間拘束」などカスタマーハラスメント(カスハラ)が深刻化。被害を最小限に抑えたり、カスハラを未然に防いだりする企業対応の実態を調べた。調査は、接客業以外で顧客対応をしている会社員や情報システム担当社員の計1024人を対象に実施した。
現在会社で使用している電話システムの種類
「従来のビジネスフォン」の回答が59.5%と最多。「会社支給の携帯電話」(39.9%)「IP電話」(24.6%)が続いた。「従来のビジネスフォン」を利用する企業が多い一方で、「会社支給の携帯電話」や「IP電話」の導入も進みつつあることがわかった。
電話対応時における顧客からのハラスメント行為
「自分自身が受けたことがある」が31.4%、「受けたことはないが、社内で被害があったと聞いたことがある」が24.6%だった。電話対応時に、約3割が直接カスハラを経験し、社内での報告を含めると過半数がカスハラの事例を認識していることが明らかになった。
具体的なカスハラ内容についても調べた。トップは「暴言・怒鳴り声」で76.4%。そのほか「長時間にわたる拘束・威圧的な要求」(54.6%)「無理な要求の繰り返し」(46.8%)と続いた。カスハラは言葉によるハラスメントが中心で、特に暴言や威圧的な要求が多いことから、対応者の精神的負担が大きいことが推察される。
電話対応時のカスハラについての社内対策の有無
「ある」は21.4%にとどまった。約2割の企業でしか社内での対策が実施されていない。社内対策が「ある」と答えた回答者に対策が有効か否か質問したところ、「全くそう思わない」(2.8%)「あまりそう思わない」(44.9%)と半数弱が対策に疑問を感じているようだった。イデックスビジネスサービスでは「より実効性のあるカスハラ対策の検討が求められている」とコメントしている。
カスハラ対策において情報システムとしてサポートしていること
情報システム担当社員向け対象の調査も実施。情報システムでのサポートは「ある」が76.5%だった。多くの企業で何らかのシステム的な対策が実施されているようだった。サポート体制において改善するべきことについても聞いたところ、「システムによる記録の自動化」(45.4%)が最多。「対応マニュアルの改善」(39.4%)「AIの導入」(34.7%)と続いた。記録の自動化やAIの活用、マニュアルのブラッシュアップなど、技術的な支援が求められていることが明らかになった。
カスハラ防止に求められる機能
「今後どのような機能が必要になると思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、トップは「ブラックリスト管理機能」で42.4%だった。そのほか「通話録音機能」(42.0%)「対応内容の即時共有機能」(33.4%)「AI分析での暴言検出システム」(32.6%)と続いた。特定の顧客の管理や通話録音など、客観的な証拠を残す機能が求められているようだ。
カスハラ発生頻度は一定数が週に数回以上も
調査ではカスハラの発生頻度については「月1回未満」という回答が最も多かったものの、一定数が週に数回以上の被害を受けていることも明らかになった。
イデックスビジネスサービスでは、調査を通じて「今後のカスハラ防止策としては、通話録音機能や対応内容の即時共有機能、AI分析による暴言検出システムといった機能が求められており、客観的な証拠を残すシステムの導入が重要である」と総括。「企業がカスハラ対策を強化するためには、従業員の精神的負担を軽減する仕組みを整えるとともに、情報システムを活用した効果的な対応策を検討することが求められる」と指摘した。
調査概要
- 調査期間:2025年2月14日(金)~2025年2月17日(月)
- 調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
- 調査人数:1024人((1)500人/(2)524人)
- 調査対象:調査回答時に(1)接客業以外で顧客対応をしている会社員/(2)情報システム担当の社員と回答したモニター
- 調査元:株式会社イデックスビジネスサービス
- モニター提供元:PRIZMAリサーチ