鈴木 珠世 2016/2/26 7:00

前回、ASPを選ぶポイントとして機能面が重要だとお伝えしましたが、もう1つ意識すべきことがあります。それはASPと提携関係にあるアフィリエイターの傾向です。一概にアフィリエイターといっても、個人が運営するサイトから、大手企業が運営する法人サイトと、さまざまなアフィリエイターがいます。ASPを選択するときは「紹介してほしいアフィリエイターがいるところ」を選ぶ必要があります。

アフィリエイトサイトの6つの種類

アフィリエイトサイトの種類は、ASP(アフィリエイト・サービスプロバイダー)各社で、名称も分け方も違いますが、大きく分類するとこの3つになります。

  • ポイントバックサイト……法人が運営している代表的なサイト
  • 法人サイト……法人が運営しているポイントバック以外のサイト
  • 個人サイト……一般個人が運営しているサイト

サイトのタイプで分類すると下記の6つになります。

 ① ポイントバックサイト(法人のみ)
 ② 検索・価格比較系
 ③ SEO系
 ④ SEM系
 ⑤ コンテンツ系(②〜⑤は法人も個人もあり)
 ⑥ 個人サイト(個人のみ)

それぞれについてご説明します。

①ポイントバックサイト

法人アフィリエイトサイトの代表的な1つです。「クレジットカード系」「ポイント還元系」「Pサイト」とも呼ばれており、自サイトの会員が提携企業で資料請求や商品購入をするとポイント付与し、メリットを還元しているサイトです。会員はポイントがたまると商品に交換したり、現金に交換したりすることができます。永久不滅.comJALマイレージバンクANAマイレージモールOki Doki ランド(JCBが運営するポイント優待サイト)、Gポイントなどがあります。

自サイトに多くの会員を抱えており、ポイント付与による送客力が強みですが、ポイントだけを目当てにしているユーザーも存在するのが注意点です。また、一部、掲載条件に月額固定費などが発生するサイトもあるので、ASPの営業担当と相談しながら掲載を進めるとよいでしょう。

②検索・価格比較系

商品を横断的に検索できて、価格比較ができるサイトです。サイトの滞在時間が長く、価格と商品のスペックや内容をよく吟味するユーザーが多いことが特徴です。代表的なサイトは価格.com。その他にもショッピングサーチ.jpなどがあります。

API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を利用する場合は、選択したASPでAPIの提供が可能か確認する必要があります。

③SEO系

その名の通り、検索サイトの上位表示で集客を得ているサイトです。「ショッピングカート 比較」「クレジットカード おすすめ」などで検索してみると、検索上位にいるアフィリエイトサイトを確認できます。

検索上位サイトに掲載されれば、自社サイトで拾いきれないキーワードでの集客も期待できます。ただし、アフィリエイターの中にはSEOを得意としている方もいるので、自社商品名なのにアフィリエイターサイトが1位に表示される……といったことも起こりえます。

④SEM系

Yahoo!やGoogleなどの、検索エンジンが提供している広告を利用して集客しているサイトです。「PPC系」「リスティング系」とも呼ばれており、自ら商品名などのキーワードを購入して、検索サイトで上位表示させています。自腹を切って集客していると言えますが、SEM系サイトとの取り組みは、キーワードをどの範囲まで開放するのか、事前のルール作りが必須となります。

なぜなら、100%リスティングを開放すると、自社ですでに検索上位となっている商品名やショップ名での購入も容認したこととなり、自社のリスティング広告運用に影響が出る場合があるからです。広告主によっては全面的に開放している場合もありますが、「商標、ショップ名、商品名での入札を禁止」としているところが多いようです。

また一部、禁止しているにもかかわらず、ルール外の活動をしているアフィリエイターの存在も問題視されています。ASPによってはパトロールを強化しているところもありますので、検討の1つとするとよいでしょう。

⑤コンテンツ系

ベビータウンWalkerplusiQONのように、特定の目的や趣味趣向などに特化した情報を提供するサイトです。専門的な情報を掲載しているので、良質なユーザーが多い傾向があります。

⑥個人サイト・ブログ

おそらく、一般的に思い浮かべるアフィリエイトサイトはこちらかもしれません。自分の趣味や毎日の出来事をブログなどで紹介するサイトです。無料ブログサービスを利用したアフィリエイターも多いです。

1つ1つのサイトに集客力が弱くても、多くのサイトと提携することで、積み上げが期待できます。個別の施策ももちろんですが、全体を見たマスプロモーションを用いた取り組みが中心となります。

ASPには得意・不得意がある

例えば個人サイトが中心で、還元系サイトの取り扱いをしていないASPや、そもそも検索・価格比較系に掲載するための仕組みを持っていないASPもあります。つまり、選択したASPによっては、「希望するアフィリエイターへ提携のお願いをするチャンスすらない」といったことも起こりえるのです。得意・不得意を確認し、自社の施策に合ったASPを選択したいところです。

①ポイントバック系②検索・価格比較系集客力が高い。固定費・特別報酬が必要な場合も③SEO系④SEM系⑤コンテンツ系⑥個人サイト商品のファンやエンドユーザーが運営しているこごもある
図 あるASPでのアフィリエイターの傾向(例)

上の図は、あるASPでのアフィリエイターの傾向を図にしたものです。上は集客力が強く、成果に貢献しているサイトです。ここでは、クレジットカード系のポイントバックサイトが圧倒的な集客力を誇っています。広告主の中には、上位2%のアフィリエイターが、全体売上を支えている場合もあります。

また、逆に、多くの個人サイトに掲載されることで成果を積み上げるASPもあります。上位傾向はASPにより変わるので、ぜひ担当営業に「御社はどんなアフィリエイターが多いの?」「どんなサイトが集客力あるの?」と聞いてみましょう。

メリット・デメリットも知っておこう

ポイントバック系などの大手法人は圧倒的な集客力を持っていますが、掲載は商品の知名度やブランド力などが影響するので、ASPに掲載依頼をしても進まないことがあります。商談会による個別の提案が必要であったり、月額固定費が発生したり、通常報酬よりさらに報酬アップとなる特別報酬(特単)を掲載条件にしている場合もあります。

予算をかけられない場合は、個人アフィリエイターへのアプローチが必要となります。個人サイトは、「商品のファン」「ユーザー」のように一般消費者に近い視点で紹介してもらえる利点があります。1サイトからの成果は年1回であったとしても、より多くのアフィリエイトサイトと提携関係を結ぶことで成果を積み上げていくことができます。

ですが消費者と同様、「熱しやすく冷めやすい」という傾向もあるので、飽きられない、忘れられないための工夫が必要です。より多くの提携数を増やすために、オンラインプロモーションや、エンドユーザー向けのキャンペーン情報の共有といった、「マスプロモーション」を継続的に行う必要があります。

◇◇◇

いずれにしても、自社の傾向に合わせて、より貢献度の高いアフィリエイターに対して、より多くのリソースを投下することが原則です。限られた予算と時間を効率良く使っていきましょう。

筆者最新情報

筆者の登壇情報などは下記に掲載されています。

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