失敗しないアフィリエイトASPの選び方[チェックリストのダウンロードあり]
日本国内には多くのASP(アフィリエイト・サービスプロバイダー)が存在します。登録しているアフィリエイターが重なっていることもありますが、ASPごとに得意なカテゴリーや特徴があります。また、同業他社が多く登録しているところは、そのジャンルのアフィリエイターも多く活動していると考えられます。まずは自社の商品に合ったASPを選択しましょう。
「アフィリエイトを導入しよう」と思ったら、まずはASP選びです。大まかには、
①自社でシステムを開発・機能追加して始める
②モールなどに付属した独自サービスを利用する(表1)
③ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を選択する(表3)
以上の3つから選択することになります。それぞれの特徴は下記のとおりです。
楽天アフィリエイト | 楽天市場の商品を紹介して、ポイントを稼げるASP |
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Amazonアソシエイト | Amazonが提供するアフィリエイト(成果報酬型広告)サービス |
アクセストレード | ファッションやゲーム系の広告主が多い |
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アフィリエイトB | SEOが得意なアフィリエイトが多い |
A8.net | 広告主会員数が一番多いASP。初心者向けのコンテンツが充実 |
e-click | 月額固定費無料のプランも用意 |
xmax (クロスマックス) | 薬事法・景表法の検査体制を持つ |
JAnet | 管理画面が軽くさくさく動く。機能はシンプル |
TGアフィリエイト | 資料請求、会員登録などのプログラムが充実 |
バリューコマース | 旅行や金融に強い |
もしもアフィリエイト | 個人アフィリエイトに特化 |
リンクシェア アフィリエイト | 三社間契約で、アフィリエイトと直接連絡が取れる仕組みを持つ |
今回は③のASPの選び方にについてお話します。
選択した時に決まる、今後の運用
多くのASPは、月額固定費+成果報酬(1件あたり数%)という利用料金体系です。商材のポテンシャルや知名度の高さなどで条件交渉……といったことが行われることもあるようですが、一部の広告主は月額固定費の回収すら達成できていないのも事実です。つい費用だけで選択しがちですが、それだけで選ぶと失敗します。
なぜなら、一部のASPではアフィリエイターとの直接連絡を禁止していたり、有料のオプションで対応したりと、運用を開始してから「対応できない」「別途費用がかかる」といったことが発生するからです。
毎月発生してしまう固定費をできる限り少なくしたいのはもちろんですが、選択したASPにどんな機能があるのか、ということもしっかりと検討していただきたいのです。
ASPを選択する上で、最も重要なのは自由度の高さです。
アフィリエイターとのコミュニケーションは取れるのか、また、直接取れない場合は代替のオプションがあるかなど、できること・できないことを確認してASPを選択しましょう。
打ち合わせには「ASPチェックリスト」を持って行こう
これからASPの営業担当者と交渉する方のために「ASPチェックリスト」を作りました。
打ち合わせの際、それぞれの項目に○や✓を付けていきましょう。また、有料オプションの場合は、料金がいくらになるのかも確認しておきましょう。
これらの項目が必要か必要でないかは運用方法により異なりますので、項目ごとにポイントをご説明します。すでに運用されている方も、「利用しているASPではここまで対応できる」「他社ASPを利用すると、ここまで機能追加されている」といった目安でご利用ください。
①プログラム詳細
アフィリエイターが管理画面にログインして見る広告主の情報です。
アフィリエイターに「提携したい」と思ってもらえる情報を整理して掲載する必要があります。文字数に自由度があるか、視覚的に見やすいかなどがポイントになります。せっかくなので、いくつか事例を見せてもらうといいでしょう。
また、情報を更新したいと思った時に、自分たちで修正対応が可能なのか、ASPへ連絡して対応してもらうのか、その場合の対応営業日なども確認しておくとよいでしょう。
②プログラム検索
アフィリエイターが広告主のサイトにたどり着く導線の確認です。「金融」「コスメ」「旅行」などカテゴリーで分けられているのが多いようです。ASPによっては最大5つまでなど、複数のカテゴリーに登録ができる場合もあります。
また、検索ボックスでテキストによる検索が可能なこともあります。社名やショップ名など、正規表現のみなのか、あいまい検索が可能なのか。ひらがな、カタカナ、半角など対応しているかも確認しましょう。
③広告素材
以前は「1プログラムにつき10個まで」といった制限のあるASPもありましたが、今はどのASPも登録できる個数を増やしています。
素材の多さはアフィリエイターにとって利便性の高いポイントです。バナー、テキスト、メール広告で、登録できる最大個数を確認しておきましょう。
広告素材の追加更新を自分たちでできるところも増えています。ですが、ASPへ依頼が必要な場合もありますので、素材追加を広告主の管理画面で対応できるのか確認しておきましょう。
また、商品点数が多いWebショップの場合は、商品リンクが登録できるかも重要なポイントです。商品リンクの機能がない、または使いづらいASPもあるので、商品リンクがあるか確認しましょう。
④メール(ニュースメール)[重要]
アフィリエイターとのコミュニケーションは、主にメールで行います。ASP利用時に、重要度の高い機能の1つです。
提携済みアフィリエイターにメールを送ることができるのか、配信のタイミングは調整できるのか、月に何本まで送信できるのか。そして、広告主側の管理画面での送信が可能か、ASPへ依頼が必要なのか。これらは必ず確認しましょう。
また、機能は実装されていなくても、有料オプションで対応可能な場合もあります。月1本はメールを送信することを考えて、費用を知っておきたいところです。
特定の1人の(または複数人の)アフィリエイターにだけ、メールでの連絡が可能かも、確認しておきましょう。また、 提携済みのアフィリエイターだけではなく、未提携のアフィリエイターにメールを送ることができるのか。またそれらは無料で利用できるのか、有料オプションでの対応なのかも、おいおい密な運用を開始した時に役立つ機能となります。
⑤アフィリエイター向けキャンペーン [重要]
提携済みアフィリエイターに対し、報酬アップキャンペーンが行えるかどうかを確認しておきましょう。
この項目も非常に重要なポイントです。全員ではなく、特定の1人の(または複数人の)アフィリエイターに対して報酬アップが可能かどうか、キャンペーン期限を区切ることができるかどうか、報酬アップキャンペーンだけではなく、オーダーボーナスキャンペーンや、段階別報酬ができるかなども、あわせて確認しましょう。
また、その後の成果承認作業時に、できる限り手作業をせず、管理画面で対応可能であるかも確認しておきましょう。
⑥アフィリエイターへの直接連絡
アフィリエイターへの直接連絡を禁止しているASPがあります。ASPが間に入って連絡をとってくれる場合もありますが、その場合は無料で対応が可能なのか確認しましょう。 一部、管理画面の機能を使うことで直接連絡を可能にしている場合もあります。ここは、できる限り自由度の高いところを選ぶことをお勧めします。
⑦リクルーティング
上記の直接連絡とセットの項目です。自社の商材やサービスに近しいアフィリエイターを、ASPが仲介で紹介してくれるかどうか。紹介は無料か、有料オプションなのかも確認しておきましょう。 管理画面に未提携のアフィリエイターに対し、提携依頼ができるオファー機能を実装しているASPもあります。
⑧学び
実際に運用を開始して自走しなければならなくなったときに、何をどうすればよいのか、指南があるかどうか。 また、セミナーや個別相談などがあるかも確認しておきましょう。 多くのASPで「運用後はコンサルティング担当が付きます」と案内されますが、アドバイスは担当者の力量によるところもあると思います。自ら情報を取りに行きたいと思った時に、選択できることが望ましいです。
ASPは利用者の声を聞きながら日々機能を追加しています。今はできなくても、数か月後に実装されることも多々あるので、常に最新の情報を確認するようにしましょう。
ASPを変えたい……と思った時に
すでに運用をスタートしている方の中には、現状のASPに不満があり別のASPへ移動をしたいと思う方もいるかもしれません。また、他のASPから「弊社を利用するとこんなことができますよ!」と、お声がかかることもあるでしょう。
ですが、まずはよく考えましょう。
アフィリエイトの成功のポイントは、アフィリエイターに掲載してもらうため、選んでもらうために努力をすることです。別のASPに移動すると、一度つながりのできたアフィリエイターとの提携がリセットされてしまいます。
そこからあらためて関係性を作り直すには、明確な移動の理由と、誠意ある対応と、相当の根気が必要になります。正直、お勧めできることではありません。
ですので、「どうしても、この機能が利用できるASPを利用したい」という場合は、もう1つASPを追加するという選択をするのはいかがでしょうか?
むやみにASPを増やすことも決してお勧めしませんが、ASPの移動はアフィリエイターにもっとも負担をかける行為です。本当にASPを移動しないと達成できないのか、慎重に検討しましょう。
今回挙げた項目は、まだ詳細が見えてこないと思います。今後の連載で、実際の運用と照らし合わせて理解していただけるよう、お伝えしたいと思います。