アスクルの2027年5月期は増収・黒字転換のV字回復計画。前期は売上高16.8%減、221億円の最終赤字
アスクルは2027年5月期、売上高4900億円、当期純利益40億円を見込む。2026年5月期はランサムウェア攻撃の影響などで最終赤字221億円に沈んだが、新体制のもとでAI活用や物流再編を進め、増収・黒字転換をめざす。
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アスクルは2027年5月期の連結業績について、売上高は前期比22.4%増の4900億円、営業利益は70億円、経常利益は63億円、当期純利益は40億円を見込む。2026年5月期はランサムウェア攻撃の影響などで大幅な減収・赤字となったが、2027年5月期は増収と黒字転換をめざす。

2026年5月期の連結業績は、売上高が前期比16.8%減の4001億9900万円、営業損失は174億4500万円(前期は140億400万円の黒字)、経常損失は190億6200万円(前期は138億1600万円の黒字)、当期純損失は221億5000万円(前期は90億6800万円の黒字)だった。2026年5月期について、ランサムウェア攻撃の影響を織り込んだ修正計画は達成したとしている。
ランサムウェア攻撃が業績に大きく影響
業績悪化の主因は、ランサムウェア攻撃による事業影響に加え、売上高減少に伴う利益減、売上総利益率の低下、関東DCや物流拠点再編、基幹システムリプレイスに伴う固定費増などがあげられる。営業利益の増減要因では、売上高減少による利益減が136億円、売上総利益率の低下が64億円、一時的な物流効率低下による物流費増が89億円、関東DCや物流拠点再編、基幹システムリプレイス関連で25億円の負担が発生した。また、営業外費用として休止固定資産減価償却費12.6億円、特別損失としてシステム障害対応費用51億円も計上した。

さらに、歯科業界向け通販「FEEDデンタル」などを運営するフィードの持ち株会社AP67が48億円の減損損失を計上。円安による仕入原価上昇や顧客基盤拡大の鈍化、別法人であることによるシナジー創出の遅れなどを踏まえ、成長計画を見直したとしている。今後はグループ再編を進め、調達機能の統合や物流基盤の活用、重複機能の解消によるシナジー最大化をめざす。
EC事業は2027年5月期に増収・黒字化を計画
セグメント別では、2026年5月期のeコマース事業の売上高は前期比16.8%減の3930億円、営業損失は162億円(前期は142億円の黒字)だった。
主力のASKUL事業は売上高が同21.1%減の2829億円、LOHACO事業は同23.8%減の280億円。一方、グループ会社などの売上高は同6.7%増の820億円だった。ロジスティクス事業・その他の売上高は同19.8%減の71億円、営業損失11億円(前期は2億円の赤字)となった。
2027年5月期は、eコマース事業の売上高を同22.6%増の4818億円、営業利益70億円と見込む。内訳はASKUL事業の売上高が同24.8%増の3531億円、LOHACO事業の売上高が同42.4%増の400億円、グループ会社などの売上高が同8.0%増の886億円。ロジスティクス事業・その他の売上高は同13.9%増の81億円、営業損益は収支均衡を計画している。

営業利益の改善要因としては、売上高増による利益増92億円、売上総利益率改善65億円、物流効率改善による物流費削減92億円、グループ会社の損益改善1億円、ロジスティクス事業・その他の利益改善11億円を見込む。一方、広告宣伝費・販促費、人件費、セキュリティ・AI関連投資などに伴うその他経費50億円の増加も織り込んでいる。

物流再編やAI活用で固定費削減も推進
収益構造改革では、物流効率改善に加え、関東圏の物流拠点再編や全社横断での固定費削減を進める。2027年5月期は物流拠点再編による11.5億円の効果、追加施策による2億円の固定費削減を見込むほか、AIによる業務効率化や「聖域なき固定費見直し」により、全社で10億円の固定費削減をめざす。

「成長再加速の起点」と位置付け、AI活用を強化
アスクルは2027年5月期を「売上回復と構造改革を進め、成長再加速の起点とする」年度と位置付ける。事業復旧の過程で得た知見を生かし、新体制のもとで中期経営計画の実行を加速させる考えだ。独自のビッグデータとAIを活用し、LTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす。
商品戦略では、飲料や食品、掃除用品、衛生用品、梱包資材など「仕事場の日用品」を軸に、対人サービス業向け商品の拡充やオリジナル商品の強化、価格競争力の向上を進める。
物流では短納期やきめ細かなサービスといった強みを維持しながら、LOHACOの納期短縮やFEEDデンタルの翌日配送エリア拡大にも取り組む。
営業・販促では、専任チームの強化や購買管理システムとの接続拡大、販売店との連携強化に加え、PayPayやLINEヤフーとの協業、販売チャネル拡大を進める。
また、事業復旧時の分析では、LTVの高い顧客ほど復帰スピードが早かったことから、パーソナライズ提案や対人接点の強化によって顧客基盤の再拡大を図る。

経営体制も刷新、新社長候補に成松岳志氏
経営体制も刷新する。アスクルは、AIの進化によるeコマースの新たな発展段階を成長機会と捉え、次世代リーダーへの経営承継を進める方針を示した。
取締役会は13人から10人へスリム化し、このうち独立役員を6人とする。独立社外監査等委員も新たに選任し、取締役会の実効性向上や経営判断の迅速化、監督機能の強化を図る。
代表取締役には成松岳志氏を新たに選任する予定。成松氏は2007年にアスクルへ入社し、LOHACO事業本部長、ロジスティクス本部長、事業戦略本部長を歴任してきた。LOHACO、物流、事業戦略を横断して経験してきた人材をトップに据えることで、事業復旧後の成長戦略と構造改革を一体的に推進する考えだ。

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