企業の価格転嫁は約4割。4社に1社が価格転嫁までの期間が「短くなった」と回答
帝国データバンクの調査によると、企業の価格転嫁率は39.9%となり、前回調査から低下して再び4割を下回った。価格改定までの期間は短縮傾向にある一方、食品スーパーや飲食店、旅館・ホテルなどでは十分な転嫁が進まず、コスト増を吸収しきれない実態が浮かんだ。
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帝国データバンクは8月28日、「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」の結果を公表した。これによると、企業の価格転嫁率は2026年7月時点で39.9%となり、前回調査(2026年2月)から2.2ポイント低下して再び4割を下回った。一方、価格転嫁までの期間については、26.3%の企業が「短くなった」と回答。値上げに動くまでの期間は短縮傾向にあるものの、食品スーパーや飲食店、旅館・ホテルなど消費者に近い業種では十分な価格転嫁が進んでおらず、継続的な価格改定と取引先との価格協議の重要性が改めて浮き彫りになった。
価格転嫁率は39.9%、再び4割を下回る
調査によると、コスト上昇分に対して「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業は、前回調査比1.1ポイント減の75.8%だった。
内訳を見ると、「10割すべて転嫁できている」企業は3.4%、「8割以上」は13.0%、「5割以上8割未満」は17.5%。「5割以上転嫁」できている企業の割合は33.9%だった。
一方、「2割以上5割未満」は17.4%、「2割未満」は24.5%、「全く価格転嫁できない」は11.9%。「転嫁が5割未満」の企業は53.8%に上った。およそ8社に1社が、コスト上昇分を販売価格にまったく反映できていない状況が明らかになった。
価格転嫁率は39.9%で、前回調査の42.1%から2.2ポイント低下した。企業規模別では、大企業が41.6%、中小企業が39.7%、小規模企業が38.3%となり、規模が小さくなるほど価格転嫁率が低下した。帝国データバンクでは、小規模企業では取引先との力関係や競争環境に加え、原価計算や交渉資料の作成を担う人材が限られることなどが制約になりやすいとみている。
食品スーパー33.1%、飲食店28.7%など川下業種で転嫁率低水準
業種別では、「化学品卸売」(63.2%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(53.5%)、「機械・器具卸売」(51.3%)など、卸売業の一部で5割を超える転嫁率が見られた。
一方、消費者に近い川下業種では低水準だった。「各種商品小売(食品スーパー)」は33.1%、「飲食店」は28.7%、「旅館・ホテル」は23.0%にとどまった。
競争の激しい小売りやサービス業では、値上げによる集客減への懸念が強く、継続的な価格転嫁が難しい構造が続いている。
農林水産業や医療・福祉・保健衛生、不動産、娯楽サービスなど、価格決定権が弱く、料金を機動的に見直しにくい業種では、コスト増を販売価格に反映しづらく、自社で吸収せざるを得ないケースが多いという。
消費者に近い川下産業や、公的価格、法令、契約、取引慣行などによって価格設定が制約される業態ほど、価格転嫁が難しい状況が続いている。
原材料費の価格転嫁率が47.3%で最も高く
費目別の価格転嫁率では、原材料費が47.3%で最も高かった。これに対し、物流費は34.5%、人件費は32.0%、エネルギーコストは29.6%だった。

原材料費は、仕入れ価格や市況データなどの説明根拠を示しやすい。一方、人件費や物流費、エネルギーコストは間接費として扱われやすく、販売価格との対応関係を示しにくいため、転嫁が遅れやすいという。
4社に1社が「価格転嫁までの期間が短くなった」
今回、新たに調べた価格転嫁までの期間については、「短くなった」が26.3%で、「長くなった」の7.6%を大きく上回った。「変わらない」は38.4%、「今回が初めての価格転嫁だった」は2.5%だった。なお「小売」では価格転嫁までの期間が「短くなった」は22.5%、「長くなった」は9.4%だった。

企業がコスト上昇を認識してから価格改定に動くまでのスピードは、全体として上がっているようだ。ただ、帝国データバンクでは、価格転嫁率そのものは低下しており、仕入価格の上昇スピードが速まるなか、顧客離れや販売数量の減少を懸念して値上げ幅を抑えている可能性を指摘している。
業界別に「短くなった」と回答した企業の割合を見ると、「製造」が34.6%で最も高く、「卸売」が30.3%、「運輸・倉庫」が27.9%と続いた。
原価の変動を把握しやすく、仕入価格と販売価格の関係が比較的明確な業界ほど、価格改定までの期間が短縮していた。

