値上げをした・する予定の企業は7割。卸・製造業で値上げが進む
新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ情勢、原油・原材料価格の高止まり、円安など、さまざまな要因を背景に仕入れコストが上昇している。こうした状況下、帝国データバンクが実施した2022年5月の景気動向調査によると、企業の「販売単価DI」が7か月連続で過去最高を更新するなど、販売価格や取引価格への転嫁の勢いが増している。
自社の主な商品・サービスについて、「値上げした」または「する予定」と回答した企業は約7割にのぼった。業界別でみると、卸売りや製造業で値上げが進んでいる。
調査結果によると、2022年4月以降に値上げした・する企業は68.5%。2022年6月以降に「値上げした・もしくはする予定」の企業は37.0%。42.3%の企業が「2022年4月~5月の間にすでに値上げした」と回答。「2022年6月に値上げした・する予定」は14.1%、「2022年7月~9月ごろに値上げ予定」は19.9%、「2022年10月~12月ごろに値上げ予定」は9.3%。企業は今後も値上げを考えていることがわかった。
回答企業からは「原油価格の高騰、人件費や傭車費の値上げによる輸送費の上昇、セメント価格の値上げが重くのしかかっている」(建設石材窯業製品卸売)との声があったという。原材料費の値上がりや原油価格の高騰にともなう物流費上昇、急激に進む円安などが重なったことでおきた急激なコストアップが、企業努力で吸収できる限界を超えているようだ。
業界別でみると、「卸売」(87.6%)「製造」(79.9%)で値上げが進む一方、「サービス」「運輸・倉庫」で全体よりも値上げを実施した企業の割合が低い。
業種別では、「飲食料品・飼料製造」が91.3%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」が89.1%、「飲食料品卸売」が88.5%となった。
一方、「情報サービス」(12.0%)「不動産」(29.6%)「運輸・倉庫」(51.2%)の業種では、値上げを実施している企業の割合が低い。「値上げして自社のビジネスチャンスを損ないたくない」(ソフト受託開発)「値上げをすれば契約打ち切りのリスクがかなり高い」(一般貨物自動車運送)といった声があがっている。
小売業や個人向けサービス業を含む「個人消費関連」をみると、「値上げ実施済・予定」企業は71.2%。帝国データバンクは、多方面からの大幅なコストアップに耐えきれなくなった企業による値上げは、夏以降も続くことが予想されると分析している。