松原 沙甫[執筆] 2/21 9:00

消費者庁が2024年5月から12月末までの8か月間を対象期間として公表した、特定商取引法の執行状況、処分内容によると、通販分野では行政処分(指示、業務停止命令および業務禁止命令)を4案件実施している。そのうち3案件については、いわゆる最終確認画面における表示義務違反を含む事案となっている。

行政処分を受けた4つの事業者とその事案は次の通り。最終確認画面における表示義務違反を犯したのは、SUNSIRI(サンシリ)、Happy Life Bio(ハッピーライフバイオ)、VERIFY(ベリファイ)となっている。

SUNSIRI

行政処分の対象となったのは「ケシミシワ」と称する美容クリーム。2024年5月22日から7月2日までの期間、効能について広告した際、しみやしわが消すことができるような表示を行っていた。根拠を示す資料の提出を求めたところ、合理的な根拠を示す資料とは認められなかった。

さらに、定期継続の解除に関する事項において、最終確認画面における表示を行っていなかった。

消費者庁は指示、業務停止命令3か月、代表取締役に業務禁止命令3か月を命じた。

Happy Life Bio

行政処分の対象となったのは「ハダキララ」と称する美容液。2024年5月22日から7月9日、「ハダキララ」の販売条件について広告した際、効能・効果の合理的根拠を示す資料の提出を求めたが、提出された資料は根拠を示すものとは認められなかった。

さらに、チャットボットページ上で定期購入契約の申し込みを受けた際、映像面の画面において売買契約の解除に関する一部事項しか表示していなかった。

消費者庁は、指示、業務停止命令9か月、代表取締役に業務禁止命令9か月を命じた。

マーキュリー

行政処分の対象となったのは「o-dent Clear White」(オーデントクリアホワイト)と称する薬用歯磨き。2024年1月13日から3月26日、2024年2月27日から7月9日までの期間、「o-dent Clear White」の販売条件を広告した際、効能に関する合理的根拠の提出を求めたところ、マーキュリーは資料を提出しなかった。消費者庁は、指示、業務停止命令3か月、代表取締役に業務禁止命令3か月を命じた。

VERIFY

行政処分の対象となったのは、「白雪若肌 スノースキン ラグジュアリークリーム」と称する美容クリーム。2024年7月23~29日までの期間、この美容クリームの効能について広告した際、効能・効果について合理的根拠を示す資料の提出を求めたところ、提出された資料は合理的根拠を示す資料とは認められなかった。また、販売条件について広告したとき、定期購入契約ではないかのような表示を行っていた。

さらに、チャットボットページ上で本件定期購入契約の特定申込みを受けた際、映像面で契約に基づく表示や契約解除の方法を明示していなかった。

消費者庁は、指示、業務停止命令6か月、代表取締役に業務禁止命令6か月を命じた。

行政指導は6案件。うち3案件は連絡の取れない電話番号を表記

消費者庁は2024年5月から12月末までの8か月間で、行政指導も6案件実施。このうち、電話で解約を受け付けているにもかかわらず、広告に確実に連絡が取れる電話番号を表示していなかった事業者に対する行政指導は3案件だった。

契約の申込み前の最終画面である旨の明記を提唱

2022年6月1日から施行されている改正特定商取引法では、「申し込み直前の画面に注文内容を表示」「注文内容や契約の申し込み手続きに関して、消費者を誤認させる表示の禁止」「申し込みの撤回や解約をさまたげる不実告知(嘘)の禁止」などが義務づけている。

消費者庁は、ECサイトの最終申込画面に「分量」「販売価格・対価」といった各契約事項を表示する義務を課す条項などの運用に関する「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を通販事業者向けに公開している。

消費者庁が提唱する最終確認画面の一例(画像は消費者庁の発表資料から編集部がキャプチャ)
消費者庁が提唱する最終確認画面の一例(画像は消費者庁の発表資料から編集部がキャプチャ)
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