ミスミグループのECサイト、問い合わせ対応に生成AI活用のチャットボットを導入。回答時間97%削減
ミスミグループ本社は8月26日、ECサイト「MISUMI」での問い合わせ対応に生成AIを活用したチャットボットを本格導入した。
チャットボットは3000万点以上の膨大な商品に関する仕様確認・商品選定相談といった技術サポート、注文ごとにキャンセル・変更・返品の可否を判定するカスタマーサービスの2つの機能を持つ。 24時間利用でき、回答までの待ち時間は従来のオペレーター対応と比べて、平均97~98%削減。ユーザーが必要な情報を迅速かつスムーズに得られる体験を提供する。

技術サポートでのAIチャットボット活用
ミスミの商品点数は他社ブランドも含めて3000万点以上。扱う部品は自動化装置や設備に組み込まれるため、1つでも納期に間に合わなければ生産工程に大きな影響を与えてしまうという。部品調達プロセスでは、選定や購買業務も専門性が求められるため、商品問い合わせが欠かせず、その件数は、技術サポート関係だけで年間約10万件にのぼる。
電話、メール、問い合わせフォームから質問を受けてオペレーターが対応していたが、回答まで平均1時間を要していたという。そのため、ユーザーにとって煩雑で待ち時間が多く、バリューチェーンにおける生産性低下の一因になっていた。待ち時間が発生する要因には、質問を受けるミスミ側のオペレーターの対応時間や対応人数の制約があり、ユーザーからは「毎回の問い合わせが面倒」「営業時間外でも問い合わせしたい」「一般のWeb検索で商品情報を収集しようにも、情報量が多すぎる」といった不満の声があがっていた。
既存のFAQでは全ての商品仕様などに関する質問に対応できなかったことから、AIチャットボットによる技術サポートに関する問い合わせ対応を2024年11月に先行導入した。
AIチャットボットには、ミスミが保有する商品データベースを活用。ユーザーがチャットで質問すると、情報収集AIがオペレーターに代わり、社内の商品データベース(過去問い合わせ、製品情報、仕様情報、カタログなど)に必要な情報を探しに行き特定。収集した情報から生成AIが回答を返す。平均回答スピード40秒と98%の削減につながった。
カスタマーサービスでのAIチャットボット活用
カスタマーサービスに関する問い合わせへのAIチャットボットは8月26日に本格導入した。
商品注文後のキャンセル・変更・返品は、商品や注文ステータスに応じた条件があり、これまでは一律の顧客対応が難しかった。また、電話での問い合わせでは、オペレーターが個別に状況を確認して回答することに加え電話がつながりにくい時間も発生。対応完了までの平均時間は321秒かかっていた。
AIチャットボットでは、受けた質問からキャンセル・変更などができるかどうか判定し、操作方法を案内。改善効果として平均回答スピード10秒で97%の削減につながった。
今後は、対応領域を拡大し、納期や出荷・配送状況についても回答できるようにするほか、チャット上での処理完結などサービスの拡充を進めていくという。