通販サイトの目標予算を達成するために役立つ手法「ギャップスタディー」とは
「予算が高かった」「他店も売り上げが低かった」といった理由で、予算達成のための検討や対策を行わないことは、販売機会の大きな損失となります。
こうしたことが実行できないのは、「理想とする状態・目標はあるが、到達するまでの方法がわからず、理想までたどり着けない」といったケースがほとんど。今回は予算達成に役立つ手法「ギャップスタディー」(理想や目標と現状のギャップから問題解決・改善を行うこと)を解説します。
「ギャップスタディー」で目標までの道のりを決める
「ギャップスタディー」とは、理想の状態と現状のギャップを明確にし、問題点を抽出・改善する手法です。
「ギャップスタディー」の手順は次の通りです。
1. 現状を明らかにする
- データ(数値、業務フロー、モノと情報の流れ)で現状を確認する
- 問題点(困っていること、問題と思っていること)のヒアリングと抽出
2. 理想の状態を描く
- 理想(目標)を明確にする
3. 問題点抽出
- 1.と2.から理想の状態と現状のギャップを明確にして、「問題点」「ギャップ」を埋める改善案を抽出
4. 問題点の改善
- 3.で抽出した問題点を解決するための優先順位を決め、解決していく
<事例1>
予算1億円に対して、現状8000万円の売上予想。予算と予想のギャップは2000万円
対策例
1. 2000万円の売り上げを獲得するための施策を抽出し、各施策に対して獲得予想を立てて積み上げる
具体策
「集客」と「販促」を分けて、対策を検討する
<集客>
- 広告:400万円の売り上げを計画
<販促>
- 週末タイムセール:200万円の売り上げを計画
- 上顧客限定○○:200万円の売り上げを計画
- ノベルティ:200万円の売り上げを計画 etc.
2. 予算を到達できなかった原因を検討して、次月以降の売上対策を検討・実行する
データに基づいた原因分析を行いましょう。特に在庫の確認、売れる商品(SKU)の在庫の有無を把握することは重要です。また、他月の売上状況と比較(比較対象を間違えないように注意)し、対策を検討しましょう。検討した内容は、次月以降に活用・振り返りができるようにデータとして残していきましょう。
「ギャップスタディー」は、予算・売り上げといった数字に対しての対策を検討するだけではなく、理想の状態と現状のギャップ=問題点・改善点を抽出することにも利用できます。
<事例2>
返品率5%を超える(現状)商品を、返品率ゼロにしたい(理想)
対策例
- 返品の構成要素を確認するため、過去、また、今後の返品内容をデータ化する仕組みを構築
- 1. のABC(パレート)分析を行い、返品率が高いものから解決のためのスケジュールを立てる
- 2. の計画的実行
素早い対策は日割り予算を組むこと
実店舗では日割り予算を組んで日々の売り上げを確認、月次予算に届かない場合は新たな促を実施しているところが多いです。
一方、通販では日割り予算を組んでいる会社はほとんどありません。その理由を確認すると、「通販は日々の売り上げを予想できない」という回答が多く聞かれます。
しかしながら、通販でも次のことを把握すれば、日割り予算を精度高く実施するのが可能になります。
- 販促・集客(イベントだけではなく、メルマガ・SNS含む)
- 月・曜日・祝日の売上比率
- 昨年、前月の売上状況
上記の1~3を予算を作る際に検討し、難しい場合は要因の検討を繰り返すことで精度の高い日割り予算を実現することができます。予算記載シートの例を作りましたので、来月からでも日割り予算を管理できるように参考にしてください。
日割り予算を組むことは以下のメリットを生むことができます。
- 予算と実績のギャップをいち早くキャッチし、予算が達しない場合の対策を検討できる
- 販促内容を事前に決定し、販促準備期間を十分に作ることができる
- 実施した販促、また、その効果(売上)を把握・記録することができ、振り返るための資料として利用できる
日割り予算はECサイト運営のメンバーが常に現状を把握できるようにしましょう。たとえば、現場に掲示するとより効果を発揮します。