売れ残った人気のない商品を一生懸命販売した経験はありませんか?

売れる商品の在庫が無いのに、予算を達成するために苦しんだ経験はありませんか?

「売れない商品も売れるようにするのがプロ!『今あるものを売れ、それが会社のためだ』と、販促や広告に注力していませんか?

商品が売れる時期に、売り切れている商品(SKU)がある場合、在庫管理が適正ではありません。在庫管理を正しく実施するだけで、売り切れによる販売機会損失を抑えることができます。売れないモノを売る技術も大切ですが、売れる商品をより売れるようにするための在庫管理方法もっと重要。その方法を解説します。

売り切れは「異常」です

在庫表を見た際、SKUの一部在庫が売り切れている店舗が多々あります。売り切れ状態が普通の状態と捉え、「異常」であると気付いていない店舗は少なくありません。

在庫切れがある状態を「売れたから仕方が無い」「何が売れるのかを予想できないから仕方がない」と考えがち(言われがち)ですよね。在庫があればお客さまが購入してくれた可能性があります(販売機会損失が発生している状態です)。

売上アップをめざす際、サイト改善や広告、特集ページを作成する店舗は多いですが、まず在庫切れによる販売機会損失をなくすことができれば、すぐに売り上げを伸すことができます。

たとえばコンビニの在庫管理。お客さまは冷蔵庫の前からジュースを取り、スタッフは陳列棚のストックがなくなる前に、在庫を補完している裏側の冷蔵庫からジュースを補充します。そのため、在庫切れが発生しません。

アパレルでは、リードタイム(発注~納品)が1か月以上必要な場合があります。コンビニでは数分で補充(≒リードタイム)するから在庫切れが発生しません。しかし、リードタイムが1か月以上あるアパレルでは在庫切れが発生する場合がありますよね。

両者は異なる在庫管理方法に見えますが、在庫管理の要素(リードタイム、発注タイミング、発注個数、安全在庫)は同じ。共通要素をしっかりと管理することができれば、リードタイムが3か月と長期間であっても、必要最低限の在庫を確保しつつ、在庫切れリスクを少なくすることができます。

売り切れには3種類

売り切れには3つの種類があります。

a. 商品が予想よりも売れた
b. 商品が予定よりも遅く届いた
c. 在庫切れが発生しても良い商品

c.は問題ありませんが(戦略的在庫切れ)、a.とb.の事象は「不可避」と考えている人が多いです。「在庫が無いものは仕方ない」「今、在庫があるものを売るべき」という声をよく聞きます。

しかし、経営者や担当者は、「必要なものを、必要な量だけ、必要な時にお届けする」ことが、ECサイトの使命であることを思い返してください。

在庫切れをなくすためにはどうすればいいのでしょうか?

a. 商品が予想よりも売れた場合

「リードタイム=発注~納品」までの間に商品が売り切れた場合、販売予測が販売実績と合っていなかったと考えられます。販売予測を行う際に、よく間違えるのは以下4点(3.と4.に関しては次回連載で詳しく紹介します)。

  1. 販売予測を過去の実績から実施しているが、売り切れ期間を含んだまま実施していた
    → 販売予想はSKUで売り切れがない期間を実績として利用する必要があります。SKUの売り切れがある期間を除く(または補正する)販売実績をもとに販売予想します。
  2. セールなどの販促を販売予想に織り込まず、販促時に商品が売れて商品到着までに売り切れてしまった
    → 販売予想は販促を考慮して設計する必要があります。販売予想ができている会社は、「昨年実績 → 年間予算 → 月間予算 → 日割予算」の設計がしっかりと策定され、それをもとに、「商品カテゴリごとの予算 → 商品ごとの予算 → SKUごとの予算」が年/月/日別に決定しています。それにもとづいて仕入数を計算しています。
  3. 販売予想を過去の実績からデータで検討していないため、勘で商品発注を行っていた(次回連載で詳しく説明します)
  4. 新作商品なので、販売予想を立てることができず、予想以上に商品が売れてしまった(次回連載で詳しく紹介します)


b. 商品が予定よりも遅く届いた場合

リードタイム管理の仕組み作りが必要となります。商品の開発~納入までのモノと情報の流れを確認して、各工程にかかる時間を明確化しましょう。そして、リードタイム削減のためのアイテムを抽出して、それらの優先順位を決めて改善します。

また、仕入先・製造工場が海外でも、お互いに仕入管理を行える管理・関係・契約を強化する必要があります。

並行して、リードタイムを削減する活動を行う必要もあります。リードタイムを削減することができれば、売り切れが発生する可能性を低減することができ、在庫を減らすことができます。

安全在庫を確保しよう

販売予想を立てたにも関わらず、需要変動で商品が売り切れることがあります。この需要の変動を吸収するために「安全在庫」を持ちましょう。安全在庫とは以下の計算式で成り立つ数値のことです。

安全在庫=安全係数 × √リードタイム × 販売数(SKU売り切れが無い期間)の標準偏差

毎日5個商品が売れるのであれば、需要変動はゼロで、安全在庫を持つ必要がありません。しかし、現実は日々売れ販売数にバラツキが出てきます。このバラツキが大きいほど、需要変動が大きいと言え、販売予想と実績が乖離する可能性が高まります。この変動は販売実績の標準偏差で求めることができます。

また、リードタイムの時間が長ければ長いほど、販売予想と実績が乖離する可能性が高まります。これらに、どこまでが安全な在庫か、ということを見る係数(安全係数)を掛けたものが安全在庫です。

多くのECショップは、新商品の仕入数は経験とカンで決めたり、制約条件によるもの(店舗数やロット数など)が多いです。しかし、新商品の仕入数は、過去の販売実績から精度よく求めることができるものできるものなのです。

◇◇◇

今回のまとめ

次回連載では、新商品や再販商品を仕入れる際、何を何個仕入れるべきかをSKU単位で決定する方法を解説します。

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仲庭 拓也

仲庭 拓也

合同会社さくら 代表

工学博士。海外での会社設立~工場建設~資材確保~販路拡販業務を6年間行う中で、トヨタ生産方式を用いた改善、人材育成、物流業務などを経験・習得。日本へ帰国後、コンサルティング会社「合同会社さくら」を設立して、海外での経験を基にコンサルティング活動を行っている。

現在は、「楽天市場ショップオブザイヤー2015」獲得の3店舗を中心にコンサルティング。その他にも、お酒、下着、エステなど異なる複数の分野で、売上向上、在庫管理、新商品開発、SNS集客、人材育成、社内基盤整備などを中心に活動。

仕入や在庫管理を適正化したい、通販サイトを構築したい、売上を向上させたい、業務改善を行ってムダな時間を削減・売上を上げる活動に注力したい、また、SNSを強化したいなどございましたら、お気軽にメールにてご相談ください。

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