後藤真理恵 2018/7/27 7:00

9月になると、SNSにも実社会にも「秋」の雰囲気が漂います。実際は(特に9月前半には)残暑が厳しい年も多いのですが、過ぎゆく夏を偲ぶよりも秋の到来を歓迎するムードが強まってくる時期だといえるでしょう。

時々台風の襲来はあるものの、暑さがおさまり、すがすがしい気候は行楽シーズンに最適。さらに「芸術の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」など、さまざまな慣用表現が表すように、日本人にとって「秋」は何かを始めたくなる、行動を起こしたくなる時期のようです。

今回のテーマはそんな秋のはじまりである9月。「防災の日」「宇宙の日」「敬老の日」「芸術の秋」のシーズンに参考にしたいSNS投稿事例とアイデアを紹介します。

その前にまずは7月・8月の投稿案を準備しなくちゃ! という方は、前回までの記事をぜひ参考にしてください。

9月のSNS投稿に役立つネタ
  • 防災の日
  • 宇宙の日
  • 敬老の日
  • 9月の投稿ネタ(一例)
    スポーツの秋
    芸術の秋
    秋の風物詩

夏から秋にかけて、9月の定番イベントといえば?

9月の記念日はいろいろありますが、2018年9月にもっとも注目されるだろう記念日の1つは、間違いなく9月1日「防災の日」(関東大震災から95年目)になることでしょう。

次の投稿は、2017年「防災の日」のSNS投稿のなかでも、ちょっとした工夫が光っていた事例です。

Twitter
2018年は特別な「防災の日」――いっそう防災への意識を喚起したい

2017年9月1日にSUNTORY(サントリー)のTwitterアカウントが投稿したのは、スマートフォンの上に水の入ったペットボトルを乗せると「簡易ランタンとして使える」という、停電時などに使える便利情報でした。

自社商品をただ「非常用品」として紹介するのではなく、「非常時に知っておくと役立つ便利情報」と一緒にツイートしたことがフォロワーの共感を集め、多くのリツイートを獲得していました。

チェックポイント!

ご存じのとおり、2018年6月18日に大阪府北部を震源とする大きな地震が発生し、今も復旧が続いている状況です。大地震発生から3か月も経たずに迎える今年の「防災の日」は、例年以上に人々の関心を集めることでしょう。

自社の商品やサービスで防災に役立つものがあれば、ぜひ紹介したいものです。一例を挙げますが、実際はこの限りではないはず。「うちの会社の商品・サービスは、災害時や避難時にどう人々の役に立てるだろうか」をじっくり考えてはいかがでしょう。

  • 非常時に持ち出したいもの

    水、非常食、医薬品、衣類、懐中電灯、ラジオ、電池、マスク、携帯トイレ、軍手など

  • 住居に導入しておきたいもの

    家具転倒防止グッズ、ガラス飛散防止シートなど

  • 避難所での生活を快適にするもの

    ウエットティッシュ、安眠マスク、耳栓、水の不要なボディケア/デンタルケア用品、アウトドア用品(寝袋、食器類、調理器具など)

Instagram
SNSトレンドをさらりと取り入れた粋な投稿

Jリーグの公式Instagramアカウント「J.LEAGUE OFFICIAL」が2017年9月12日の「宇宙の日」に投稿したのは、名古屋グランパスのホーム 豊田スタジアムの写真を「宇宙加工」したものでした。美しい画像に、多くのユーザーから賞賛のコメントが寄せられました。

チェックポイント!

無料の写真加工アプリなどを使うことで、写真に星空や宇宙の画像を合成した、いわゆる「インスタ映え」する画像を簡単に作ることが可能なのですが、公式アカウントが気負うことなく、インスタの流行に乗っかった好例だといえるでしょう。

この投稿テーマ選びに加えて、「#宇宙加工」「#ダレカニミセタイソラ」「#そらふぉと」など、人気ハッシュタグを選んで付けているのを見ても、担当者が日頃からInstagramのトレンドを研究していることがうかがえます。

Facebook
「敬老の日」には歴史ある自社商品にも敬意と感謝を

続いては、ちょっと変わった視点で「敬老の日」を扱ったSNS投稿事例です。

2017年9月18日の「敬老の日」(2018年は9月17日)にトヨタ自動車がFacebookに投稿したのは、同社の大型SUV「ランドクルーザー」の歴代モデルを紹介する動画でした。世界的にも知名度が高い人気車種で、「ランドクルーザー」の車名は1954年から63年以上も使われています。その歴代モデルをスタイリッシュな紙芝居形式で見せている投稿には、「懐かしい」「私は○○系が好き」など、多くのファンからコメント・シェアの反応が集まりました。

チェックポイント!

記念日が多い9月のなかでも、国民の祝日である「敬老の日」には毎年多くの企業がSNS投稿を行います。国民の祝日に関する法律によれば、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことが趣旨であり、当然ながらSNSでも「おじいちゃん・おばあちゃんへのプレゼント」「おじいちゃん・おばあちゃんに感謝しよう」といったテーマの投稿であふれます。

もちろん、これらもすばらしい投稿内容なのですが、他社とのネタかぶりを避け、さらに「+α」を狙うのであれば、このトヨタ自動車のように「自社のロングセラー商品(長寿)」にスポットを当てた投稿を考えてみてはいかがでしょう。

9月の投稿ネタ(一例)
「スポーツの秋」「芸術の秋」「秋の風物詩」

ここまで、9月の記念日などに絡めた投稿事例を紹介してきました。ここからは、その他のイベントやニュースネタをいくつか紹介します。

今回も、「ファンを楽しませる投稿」=「ネタ」×「自社情報」の「ネタ」として使えそうなものがないか考えてみましょう。

スポーツの秋

巨人軍の王貞治選手が国民栄誉賞第一号を受賞(1977年9月5日)

1977年(昭和52年)9月5日、当時37歳だったプロ野球・巨人の王貞治選手が国民栄誉賞を受賞しました。直前に達成した通算756号の本塁打世界記録を称えるものです。

王貞治氏といえば、2018年5月30日に一般女性と結婚したことがニュースに取り上げられました。ポジティブなニュースからわずか3か月後にやってくる記念日ですので、あらためてお祝いムードがSNS上でも広がる可能性があります。

マラソンの日(9月12日)

諸説ありますが、マラソンの由来は、紀元前450年9月12日にペルシャの大軍をアテネが破った「マラトンの戦い」にあるといわれています。フェイディピデスという兵士が伝令となって約40Kmを走り抜き、アテネの勝利を告げた後息絶えた日なのです。

フルマラソンの距離(42.195Km)の由来をテーマにしたり、ジョギングを快適にするグッズ類の紹介をしたり、ジョギング時に聴きたいおすすめの曲やトレーニングを紹介したりと、いろいろな投稿案が考えられそうです。

芸術の秋

映画監督・黒澤明の没後20年(1998年9月6日)

2018年は、黒澤明氏の没後20年という節目の年。世界的にも知名度が高く、間違いなく日本の映画界を代表する名監督の1人であるため、SNSでも話題になる可能性が高いといえます。代表作品やエピソードのなかで、投稿ネタに使えるものがないか考えてみましょう。

また、以下に挙げた記念展示や記念ミュージカル作品も行われるようです。

ヴェネツィア国際映画祭(8月29日~9月8日)

世界三大映画祭(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア)の1つとされ、最も歴史の古い映画祭とされています。「金獅子賞」をはじめとして、過去に多くの日本映画が受賞してきた映画祭だけにSNSでも注目が集まる可能性があります。

日本からのエントリー作品をあらかじめチェックしておき、どの作品が受賞した場合でもタイムリーにSNS投稿ができるよう、ネタをそれぞれ用意しておくのもオススメです。

トロント国際映画祭(9月6日~9月16日)

ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭に次ぐ規模の北米最大の映画祭「トロント国際映画祭」は1976年にスタートした映画祭で、例年300以上の作品が上映されます。ノン・コンペティションであるため、観客賞が最高賞にあたり、日本作品では2003年に北野武監督「座頭市」が受賞しました。こちらも、あらかじめ投稿ネタをいくつか準備しておけば、タイムリーな投稿を狙えるでしょう。

秋の風物詩

重陽の節句(菊の節句)(9月9日)

五節句(季節の年中行事)の1つ「重陽の節句」は、知名度こそあまり高くありませんが、SNS投稿では時々見かけるようになってきています。この日は、菊酒をいただいたり栗ご飯をいただいたりして、健康を祈願する日とされています。また「後(のち)の雛」として、ひな人形を再び飾る風習が江戸時代にはあったそうです。

まだ他社とのネタかぶりが少ない記念日ですので、深く調べて投稿ネタに使ってみてはいかがでしょう。

中秋の名月(9月24日)/満月(9月25日)

秋といえば「お月見」を楽しみにしている人もいるでしょう。SNSにおいても、美しい月の画像は喜ばれ、ファンから多くの反応を得やすい傾向にあります。月と自社の商品やサービスをからめた投稿ネタをぜひ考えてみましょう。

また、2018年は「中秋の名月」と「満月」の日付がずれますが、実は、こうした現象はしばしば起こるのだとか。こうしたトリビアも投稿ネタになりそうです中秋の名月|国立天文台

ニュース・トレンドを押さえて“できる”SNS担当者になる

当連載では毎回、SNS投稿に役立つ事例や投稿ネタをいろいろ紹介しています。SNS運用担当者のみなさんには、ぜひ当連載の内容を参考にしていただくと同時に、他のさまざまな情報源からもトレンド情報を取得することを強くお勧めします。

たとえば、2018年9月であれば、次のニュース・トレンドがマスコミで話題になる可能性があります。企業のSNS投稿ネタにそのまま使うのは難しいかもしれませんが、大事なのは「こうしたニュース・トレンドの具体的内容・発生時期を把握しておくこと」です。

  • 「渋谷ストリーム」オープン(9月13日)

    渋谷駅前の再開発プロジェクトのひとつ、渋谷川沿いにオープンする「渋谷ストリーム」には注目が集まりそうです。外観も非常に特徴的なうえに、2018年9月27日に創立20周年を迎えるGoogleが本社を移転させることが決まっています。

  • 安室奈美恵 引退(9月16日)

    人気歌手 安室奈美恵さんが2018年9月16日に引退予定です。本人からファンへのメッセージによると「最後にできる限りの事を精一杯し、(中略)私らしく2018年9月16日を迎えたいと思います」(公式サイトのメッセージ)とのことですが、この後の具体的な活動は明らかになっていないようです。どのような形で有終の美を飾るのか、今後の発表に注目しておきたいところです。

日頃から情報収集することで、少なくとも「この企業アカウントの“中の人”は、世の中のトレンドに疎いな」と思われる危険は回避できます。

また、少々難易度が高めなのですが、ニュース・トレンドを間接的にからめた(ほのめかした)投稿や、ニュースに関連性のある別テーマの投稿ネタを考えて、適切なタイミングで行うのもいいでしょう。

オリジナル記事はこちら:9月は防災の日・敬老の日・スポーツの秋・芸術の秋などネタが盛りだくさん ~Twitter・Facebook・Instagramの投稿事例&アイデア【9月編】(2018/07/05)

◎この記事は、姉妹サイト「Web担当者Forum」で公開された記事を転載したものです。

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