後藤真理恵 2018/4/17 8:00

イベントや祝日が多く天気にも恵まれた5月が終わると、6月の到来です。早ければ上旬には梅雨入りして、長雨が続きます。ジメジメした日々が続くうえに祝日ゼロの月ですから、憂鬱に感じる人もいることでしょう。

しかし、視点を変えると「天気が悪い」→「家で過ごす時間が多くなる」→「SNSを見てくれるユーザーが増える」シーズンでもあります。SNS運用担当者にとってはチャンスの月だといえるでしょう。

今回のテーマはそんな6月。「父の日」「祝日ゼロ」「梅雨」のシーズンに参考にしたいSNS投稿事例とアイデアを紹介します。

「5月の投稿案から作らなきゃ……」「4月分もまだ作ってない!」という方は、ぜひ前回までの記事を参考にしてください。

6月のSNS投稿に役立つネタ
  • 父の日
  • 祝日ゼロ
  • 梅雨
  • 6月の投稿ネタ(一例)
    金井宣茂さんが地球に帰還
    民泊解禁
    はやぶさ2がリュウグウ到達

祝日ゼロで記念日も少ない6月

6月は1年で唯一、祝日がゼロの月です。さらに、メジャーな記念日も多くありません。誰もが知っている記念日を挙げるとすれば、第3日曜日の「父の日」くらいでしょうか(2018年は6月17日)。5月の「母の日」にはかないませんが、SNSで毎年トレンド入りしますので押さえておきたい記念日です。

記念日が少ないからといって、悲観する必要はありません。たとえば、「自社ならではの記念日」を投稿ネタにしたり、発想を変えて「祝日ゼロ」を投稿ネタにしたりと、アイデアはいろいろあります。

雨が続き湿度の高い日々が続いても、「この季節だからこそ見られる●●」を楽しめるような投稿は、ユーザーから共感を得られるはずです。各社が知恵を絞った昨年6月の投稿例から見ていきましょう。

Facebook
「父の日」への思い入れの強さ! 作りこまれた動画で感動を誘う

市場規模で見ると「母の日」の半分以下ともいわれる「父の日」ですが、父親をターゲットにしている企業(例:紳士服、紳士用品、自動車、オートバイ、腕時計、アルコール飲料など)なら、SNS投稿にも力を入れたいものですね。次の投稿は、2017年の父の日にトヨタ自動車が投稿した内容です。

3分ほどの動画を使った投稿です。「娘の目線、父の目線それぞれの視点で描いた、愛情溢れる人生の軌跡」をうまく描いており、父・娘それぞれの立場にあるファンから「感動した」「泣いてしまった」などのコメントが多数寄せられています。

最新の衝突回避支援パッケージをさりげなく紹介する点に加えて、往年のトヨタファンに懐かしい人気車種を登場させるところに、ファンを喜ばせたいと願う企業の姿勢を感じます。

チェックポイント!

Facebookで増えている動画投稿。CMのようなクオリティを追求する場合は予算も時間も必要ですが、動画の内容によっては、手作り感・ホームビデオっぽさを残すことでファンに「親しみ」を感じてもらえるケースもあります。

Instagram
「父の日」=「父に(なれたことに)感謝する日」

次は、前述の事例と同じく、2017年の「父の日」に土屋鞄製造所が投稿した内容です。

ほとんどの企業が「父の日」の投稿について、「お父さんありがとう」をテーマにしているなか、土屋鞄製造所のInstagram投稿は視点を変えたユニークなものでした。

父の日は感謝を送る日ですが、父になった今年は子どもにもありがとう、を送りたい気分です

あかちゃんの手が父親の指をぎゅっと握る愛らしい写真と、上記の一文が多くのユーザーの心に感動を与えたようです。

チェックポイント!

「父の日」のSNS投稿といえば、「お父さんに感謝の気持ちを送りましょう」という「キャッチコピー」+「父の日ギフトにオススメの自社商品画像の組み合わせ」が圧倒的です。

もちろん悪くないのですが、父の日ギフトを訴求しにくい企業(例:BtoB企業)や、他社と違う投稿を狙いたい企業なら、「父の日を再定義してみる」「子ども以外の目線から、父の日について語ってみる」などの工夫をしてみましょう。

Facebook
ないのなら 作って祝おう 自社の記念日

続いては、祝日がないなら「自社ならではの記念日を祝ってしまおう」というSUBARUの投稿例です。

6月17日に、SUBARUは「新世紀レガシィ」19歳の誕生日のお祝いを投稿しました。人気のロングセラー車種だけあって、多くのファンからお祝いのコメントとシェアを獲得しています。

さらに、ファンからのコメント1件1件に対して丁寧に返信する企業姿勢が、ファンとの関係をより深めることに成功していると考えられます。

チェックポイント!

6月に「誕生日」「記念日(リニューアル、バージョンアップなど)」を迎える自社商品やサービスはありませんか? 会社の創立記念日はもちろん、自社の看板商品や人気商品、ロングセラー商品の誕生日も、「記念日」として投稿ネタに使ってみましょう

Twitter
自社商品イメージキャラクターのファンとの関係を深めるチャンス

2017年の6月17日6時17分に、スーパーNANOX公式アカウントが投稿したツイートです。何の記念日を祝う投稿かわかりますか?

正解は、CMキャラクターである嵐の二宮和也さんの誕生日です。多数のファンから「おめでとう」「NANOXさん、ありがとう」など好意的な返信が寄せられ、リツイート数も通常とは桁違いの多さとなりました。

チェックポイント!

SNSマーケティングのゴールを「自社商品のファンを増やしたい・育てたい」と設定している企業も多いと思います。自社商品の良さを直接アピールするやり方だけでなく、(可能な場合は)この投稿例のような間接的な訴求方法も選択肢に加えてみましょう。

Twitter
「ゼロ」には「ゼロ」をかけてみる

「6月には祝日がない」=「6月は祝日ゼロ」――この事実をそのまま投稿ネタに使った企業もありました。次の例は、2017年6月1日に日本コカ・コーラがツイートしたものです。

祝日「ゼロ」に、自社で販売しているカロリー「ゼロ」商品をかけ、さらに二択のアンケート形式のツイートにすることで多くの反応を獲得しています。

チェックポイント!

二択式のアンケートやクイズは、フリーコメント式のものに比べてユーザーが気軽に・直感的に答えやすい傾向があります。「簡単に答えられる」「他の人の回答も知りたい(気になる)」設問・選択肢を工夫してみましょう。

Facebook
梅雨の晴れ間の貴重な現象は、タイミングを逃さず投稿

続いて、梅雨の時期だからこそ「梅雨の晴れ間」に楽しめる現象を投稿ネタに使った事例をご紹介します。2017年6月22日に東京ディズニーリゾートが投稿したものです。

太陽の周囲に虹色の光の輪が現れる大気光学現象「ハロ現象」(日暈)が発生した日に、東京ディズニーリゾートが投稿したものです。珍しい現象を見事にとらえた写真をタイムリーに紹介するとともに、「みなさんの近くでもみられましたか?」と尋ねて、ファンに親しみを感じさせています

チェックポイント!

事前に予定していなかった場合でも、スピーディーにタイミングよく情報発信ができることはSNSの利点です。もちろん、このような即時投稿を可能にするには、社内の「SNS投稿承認フロー」が迅速に回る体制づくりが欠かせません。

ちなみに4月~6月は、ハロ現象以外にも「環水平アーク」や「タンジェントアーク」などの大気光学現象の発生頻度が比較的高めです。どれもSNSで話題になる現象ですので、梅雨の晴れ間にはぜひ空をチェックしてみてはいかがでしょう。

6月の投稿ネタ(一例)
「金井宣茂さんが地球に帰還」「民泊解禁」「はやぶさ2がリュウグウ到達」

ここまで、6月の記念日などに絡めた投稿事例を紹介してきました。ここからは、今年2018年の6月に予定されている、その他のイベントやニュースネタをいくつか紹介します。

毎回お伝えしますが、「ファンを楽しませる投稿」=「ネタ」×「自社情報」です。ぜひ頭をフル回転させて、最適な組み合わせを考えてくださいね。

宇宙飛行士 金井宣茂さんが地球に帰還(2018年6月3日予定)

6月3日には、国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在に臨んでいる金井宣茂さんが、ソユーズ宇宙船でカザフスタンの草原地帯に帰還する予定です。

金井さんは公式ブログとTwitterアカウント(@Astro_Kanai)を使っています。特にTwitterをよく使っているようです。ハッシュタグ「#金井に質問」を使って質問に答えるなど、フォロワーとの交流にも積極的で、フォロワー数は5万4,000人を超えています。

可能であれば、Twitterで金井さんへの質問をハッシュタグ付きでツイートしたり、金井さんをメンションしてエールを送ったりしてみたいものです。

「住宅宿泊事業法」施行で民泊解禁(2018年6月15日)

6月15日には、「住宅宿泊事業法」通称「民泊新法」が施行されます。民泊関連サービスを展開している企業・団体であれば、観光庁が発表した「ガイドライン」などをわかりやすく紹介するような投稿が喜ばれるのではないでしょうか。

また、メーカー・小売・ネットショップでは、これから民泊運用をはじめようと考えているユーザーに対して、おすすめできる自社商品がないか考えてみましょう。「民泊運用に最低限必要なもの」「必須ではないが、あるとゲストの満足度が向上するもの」は、家具・家電・雑貨・リネン・アメニティ・備品・便利グッズなど、幅広く存在するはずです。

商品単体で紹介するだけでなく、「民泊におすすめの家具コーディネート」など、部屋の一部や全体をイメージさせる画像を使ってInstagramに投稿するのもいいですね。

「はやぶさ2」がリュウグウに到達予定(2018年6月下旬以降)

6月の宇宙ネタをもう1つ紹介します。日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が、目的地の小惑星リュウグウ(Ryugu)に到達する予定です。その後、約1年半かけて岩石の採取などに取り組み、2020年ごろに地球へ帰還する予定です。

かつての「はやぶさ」ブームを鑑みると、「はやぶさ2」もSNSで話題になる可能性が高いでしょう。このニュースにからめて投稿するなら、たとえば、宇宙・小惑星に関するネタ、「はやぶさ2」にエールを送る内容が考えられます。

また、トリビアを投稿ネタに使うこともできそうです。たとえば「リュウグウという名は実は公募で決まった」「小惑星の名前がリュウグウに決まった理由」などをはじめ、JAXAのページには興味深い情報がたくさん載っていますのでぜひ覗いてみましょう(小惑星探査機「はやぶさ2」の目指す小惑星1999 JU3の名称決定について)。

◇◇◇

ここまで読み進んでも「やっぱり投稿ネタが浮かばない!」と嘆いているSNS運用担当者のみなさんのために、ネタ探しのヒントをさらに紹介します。

「社内の常識、世間の非常識(いい意味で)」を探す

あるユーザーの投稿、そしてテレビ番組がきっかけとなり、SNSで一気に話題となった「井村屋のあずきバーをレンジで溶かせばぜんざいになる」という簡単レシピをご存じでしょうか。あまりの反響の大きさに、井村屋のTwitter公式アカウントも反応し、YouTubeでレシピを公開するまでにいたりました。

この一件に関して、Twitterでいろいろな発言がありましたが、SNS運用担当者のみなさんに特に注目していただきたいのは、次のツイートです。

井村屋の社員にとって「あずきバーを溶かすとおしるこ(ぜんざい)になる」のは「ごく当然のこと」だったのでしょう。それが、まさかここまで話題になるとは、驚きだったに違いありません。

社歴が長くなると、いろいろなことに「慣れてしまう」ものです。新入社員や社歴の短い社員の意見を聞くなどして、ファンを「おっ!」と驚かせるようなネタを探してみましょう

ファンから質問を募集する

ファンを喜ばせる・楽しませる投稿ネタがどうしても見つからない、思いつかない、という時には、匿名質問箱を使ってみるのも手です。

具体的には、匿名メッセージアプリ「Sarahah」や匿名質問箱「Peing」などが有名です。「知りたいこと」「要望」など、投稿ネタになりそうなアイデアをファン・フォロワーから募集してみましょう。特にPeingは、質問画像に回答をつけてTwitterやInstagramに投稿できる点が好評で、大手企業での活用例も増えてきています。

6月は投稿ネタがない……。そんな心配は不要です! 祝日・記念日がなければ、探し出したり、新たに作ったりしてもいいのです。

また、「衣替え」「ジューンブライド」「夏のボーナス」「2018 FIFAワールドカップ」など、今回は紹介しませんでしたが、実は意外とネタはあるものです。

日ごろから情報感度を高くして、投稿ネタを見つけたり思いついたりした時には、こまめにメモをとる癖をつけましょう。

オリジナル記事はこちら:6月のTwitter・Facebook・Instagramの投稿事例&アイデア、父の日・祝日ゼロ・梅雨に盛り上がるネタとは?(2018/04/05)

◎この記事は、姉妹サイト「Web担当者Forum」で公開された記事を転載したものです。

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