後藤真理恵 2018/6/8 8:00

祝日ゼロの6月から一転、7月は「海開き・山開き」「七夕」「海の日」「土用の丑」「花火大会」、さらに2018年はサッカーワールドカップ決勝もあり、イベントネタに困りません。

当連載は、「投稿ネタが思いつかない……」そんなSNS運用担当者のみなさんに向けてお届けしていますが、「投稿ネタがありすぎる」月がテーマだと、読者も減るのでは……と内心ドキドキしています。

ただし、メジャーなイベントが多いということは、ネタかぶりや情報が埋もれてしまうおそれがあるため、工夫も必要です。今回のテーマはそんな7月のシーズンに参考にしたいSNS投稿事例とアイデアを紹介します。また、記事の最後では多すぎるネタの管理に役立つ「コンテンツカレンダー」の活用法も解説しています。

その前に5月・6月の投稿案に困っている方は、ぜひ前回までの記事を参考にしてくださいね。

7月のSNS投稿に役立つネタ
  • 七夕
  • 花火大会
  • 7月の投稿ネタ(一例)
    芥川賞・直木賞の選考会
    スポーツの祭典
    フジロック
    皆既月食

七夕祭り・花火大会など、夏定番のイベントを要チェック

7月といえば気分はもう「夏」です。七夕に花火大会、スポーツ大会や音楽系のイベントなども多く、バラエティ豊かな投稿がSNSを彩ります。なかでも「七夕」「花火大会」のように、毎年恒例かつSNSトレンド入りが間違いないイベントはぜひ投稿したいところですが、各社似たり寄ったりな投稿内容になってしまう懸念もあります。

7月のネタを仕込むときは、押さえるべき定番ネタは押さえつつも、「“2018年の7月”ならではの投稿ネタ」や「自社ならではの投稿ネタ」を加えて、他社との差別化を狙いましょう。

それでは今回も、2017年の投稿事例から見ていきます。今回は、定番の「七夕」「花火大会」の事例を用意しました。

Twitter
トレンド間違いなしの短冊ツイートは、内容・センスこそが重要

7月7日の「七夕の日」にTwitterで毎年盛り上がるのが「短冊」ツイートです。今年もトレンド化するのはほぼ間違いないと思いますので、チャレンジするなら今からネタを考えはじめましょう。

次の投稿は、2017年の「短冊」ツイートのなかでも、いろいろな点で「うまさ」を感じさせたASUS JAPANの投稿です。

台湾に本社を置く、PC・スマートフォンなどのメーカー「ASUS JAPAN」が投稿した「願いごと」は、「ASUSの正しい読み方が浸透するように」というものでした。

もともと「ASUS」の読み方は統一されておらず、「エイサス」「アスース」「アサス」など諸説あったのですが、2012年10月に「エイスース」に統一することが正式に発表されました(その後も、ファンの一部は親しみをこめて、自分のお気に入りの読み方を続けています)。

このツイートは、「七夕」というトレンドにうまく乗りながら自社ブランド名の知名度向上・正しい読み方の拡散にも成功している、実に巧みな事例だといえるでしょう。

チェックポイント!

あえて自分が好きな読み方にこだわり続けるファンたちに対して、ASUS JAPAN公式アカウントがすねたり喜んだり、時にはユーモアを交えながら丁寧に対応するやりとりにも注目です。

これまでも「ASUSの読み方」ネタはたびたび盛り上がっており、「ファンがわざと間違った読み方をする」→「ASUS公式がすねる&感謝する」の流れはまさに予定調和。ファンたちがASUS JAPAN公式アカウントとのじゃれあいにも似たコミュニケーションを楽しんでいる様子がうかがえます。

Facebook
「イタリアの高級スーパーカー」と「日本の伝統行事」の共通点?

次は、前述の短冊の事例と同じく、2017年の七夕にランボルギーニが行った投稿です。

牛のエンブレムが印象的なイタリアのスーパーカーブランド「ランボルギーニ」が7月7日に投稿した画像は、一見、七夕とは無縁に思える真っ赤なスーパーカーでした。しかし、実は「彦星が牛車に乗って、織姫に逢いに行く」という七夕の逸話を「牛のエンブレム」と絡めて、スーパーカーを牛車になぞらえていたのです。

現代版の彦星を描いた投稿内容に、ファンからは「うまい」「彦星カッコ良すぎ」と、賞賛にも近いコメントが寄せられています。

チェックポイント!

七夕にまつわる逸話やトリビアには、面白い投稿ネタになりそうなものがたくさんあります。いくつか例を挙げますので、興味をひかれるものがあればぜひ詳細を調べて、投稿ネタに使ってみましょう。

  • 「織姫と彦星は恋人?夫婦?」
  • 「織姫と彦星の距離は、実際には何km?」
  • 七夕の前日に降る雨 = 「洗車雨(せんしゃう)」
  • 七夕に降る雨 = 「催涙雨(さいるいう)」「酒涙雨(さいるいう)」

Instagram
まるで絵画のようなクオリティ、花火大会の一瞬を捉えた一コマ

続いては、7月から始まる花火大会シーズンにあわせた投稿例です。

2017年8月7日に関西電力がInstagramに投稿したのは、まるで絵画のような、高い芸術性を感じさせる美しい花火の画像でした。そして、添えられたテキストは、26個の厳選されたハッシュタグのみ。画像のすばらしさと適切なハッシュタグの選択によって、多数の「いいね!」が集まっています。

チェックポイント!

夏の行事・イベントで「インスタ映え No.1」といえば、花火大会ではないでしょうか。企業公式アカウントとして花火大会の画像を投稿するのであれば、ぜひ撮影機材やテクニックにもこだわり、妥協なき画像・動画を用意したいところです。

また、Instagramの投稿で重要なのがハッシュタグです。「#琵琶湖花火大会」のように狭い範囲を指すものから、「#花火」「#夏」などの定番ハッシュタグ、そして「#夜景ら部」のようにInstagramならではの人気ハッシュタグまで、バランスよく付けるよう工夫してみましょう。ちなみに、Instagramのハッシュタグの上限は「30個」です。

7月の投稿ネタ(一例)
「芥川賞・直木賞の選考会」「スポーツの祭典」「フジロック」「皆既月食」

ここまで、7月の記念日などに絡めた投稿事例を紹介してきました。ここからは、その他のイベントやニュースネタをいくつか紹介します。

「ファンを楽しませる投稿」=「ネタ」×「自社情報」、この方程式はもう覚えましたよね?

第159回芥川賞・直木賞の選考会(2018年7月18日)

7月18日には、第159回芥川賞・直木賞の選考会が予定されています。ノミネート作品のタイトルや内容、著者のプロフィールなども調べて、自社情報と絡められることがないか考えてみましょう。

芥川賞・直木賞関連のトリビアも、まだ意外と知られていないものが多いので、ネタとして使えるものがあるかもしれません。

スポーツの祭典が目白押し

2018年7月には、有名なスポーツイベントが多数開催されます。開催地や出場選手などを研究して、企業活動や商品サービスと絡められる情報がないか考えてみましょう。各スポーツや大会自体のトリビアを紹介する投稿も、ファンに「驚き」を与えることができそうです。ぜひ事前に準備して、タイムリーな投稿を狙いましょう。

2018年7月に予定されているスポーツ関連イベント

FUJI ROCK FESTIVAL '18(2018年7月27日~29日)

7月27日~29日には、1997年夏に誕生した国内最大級の野外ロック・フェスティバル「フジロック」が開催されます。2018年は苗場で20回目の開催となる節目の年とあって、SNSで話題になる可能性が高いと思われます。音楽やフェスにまったく関係がない企業であっても、発想を広げて投稿ネタに含めてみましょう。

たとえば、フジロック参加者におすすめのグッズや衣類などをリスト化して紹介しているWebページが多くあります。自社の商品でおすすめできるものがないか、ぜひリストを研究して探してみましょう。社内で野外フェスの参加経験者を探して、リアルな意見を取り入れるのもおすすめです。

他にも、アウトドア関連企業なら「テント泊を快適にするコツ・注意点」を紹介したり、地元企業や旅行関連企業などであれば「現地の天候・気温予想と注意点」、防犯関連企業なら「防犯グッズ、危険回避の方法」を紹介したりするなど、専門性を生かすことができれば、ファンに喜ばれる投稿案が浮かぶでしょう。

皆既月食(2018年7月28日明け方)

7月28日明け方には、2018年2回目の皆既月食が起こります。月食観察にあると便利な「双眼鏡」や「望遠鏡」「カメラ」、スケッチするための「画材」などをおすすめするチャンスですね。眠気防止の食品・飲料・グッズの紹介も喜ばれそうです。

また、「皆既月食中の月はどんな色になる?」など、意外と知られていない豆知識をクイズにするのも面白そうです(国立天文台のサイトで答えを確認する)。

◇◇◇

7月は行事やイベントも盛りだくさんの月です。記事で紹介しきれないほどのイベントがあり、SNS運用担当者としては「投稿ネタがありすぎて、どれを投稿すべきか」悩むかもしれません。

そんな時におすすめなのが「コンテンツカレンダー」の作成です。市販のカレンダーやエクセルの表などを利用して、次の2つを順番に記入していきます。

  1. 企業が伝えたい情報(マーケティング系コンテンツ)

    新商品の発表、キャンペーン情報、イベント情報など、必ず投稿したいものを記入します。投稿予定日を(発表日や発売日の関係上)動かせない出来事から優先的にスケジューリングしていきます。

    ただし、SNSは企業の宣伝の場ではありません。たとえ宣伝や販促が目的だとしても、「企業が伝えたい(書きたい)こと」だけを一方的に押し付けるような投稿にならないよう気をつけましょう。

    可能な限り「ファンを楽しませる投稿」=「ネタ」×「自社情報」を意識して、SNSという場に違和感なく、ファンにも喜ばれる投稿を目指すのがおすすめです。

  2. ファン・フォロワーを楽しませる情報(企画系コンテンツ)

    マーケティング系コンテンツのスケジュールを埋めたら、次にファンを楽しませる投稿ネタを考えて、カレンダーを埋めていきます。

    トリビアやお役立ち情報など、楽しんでもらったり、便利だと感じてもらえたりするような投稿ネタを考えてみましょう。

コンテンツカレンダーを作ることで、日々の投稿内容を関係者で検討・共有することができますし、「計画的な投稿」を継続しやすくなります。「担当者が忙しすぎて、つい“時間のある時だけ投稿”」になりがちという企業にこそ、コンテンツカレンダーの活用をおすすめします。

たとえば、筆者所属のコムニコでは、次のようなコンテンツカレンダーを使っています(無料テンプレートも提供しています)。その他にも、新聞社や小売業などが提供する「販促カレンダー」(検索するといくつも見つかります)を応用するのもいいでしょう。

2018年7月を例にしたコンテンツカレンダー
コンテンツカレンダーのサンプル(架空のお菓子メーカー)

オリジナル記事はこちら:7月は七夕・花火大会・音楽フェスなどネタが盛りだくさん ~Twitter・Facebook・Instagramの投稿事例&アイデア【7月編】~(2018/05/09)

◎この記事は、姉妹サイト「Web担当者Forum」で公開された記事を転載したものです。

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