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10月は秋本番。今年は酷暑が続きますが、例年通りならすっかり残暑も落ち着き、過ごしやすい日々が訪れます。天候も安定しているので、スポーツ系・アート系のイベントなども目白押し。夏バテからすっかり回復し、元気になった人々が活動的になるシーズンだといえるでしょう。

10月といえば、昔ながらの風習「衣替え」に始まり、すっかり日本に定着した「ハロウィン」で終わります。私たちがさまざまな変化のなかで生きていることを実感させてくれる月ともいえるかもしれません(詳しくは後述しています)。

今回のテーマはそんな秋まっさかりの10月。「体育の日」「ハロウィン」「芸術の秋」のシーズンに参考にしたいSNS投稿事例とアイデアを紹介します。

その前に8月9月の投稿案を作らなくては! という方は、前回までの記事をぜひ参考にしてください。

10月のSNS投稿に役立つネタ
  • 体育の日
  • ハロウィン
  • 10月の投稿ネタ(一例)
    • 2018年10月ならではのトレンド予測
    • 秋らしい記念日あれこれ
    • 芸術の秋
    • 10月の花火大会

「○○の秋」といえば?

10月唯一の祝日といえば「体育の日」(2018年は10月8日)ですね。昔は運動会といえば秋が多かったのですが、昨今は運動会をはじめとするスポーツ系イベントは、春に開催されることも増えました。

とはいえ、やはり秋といえば「スポーツの秋!」ということで、2017年の「体育の日」に工夫をこらしていた企業の投稿例を紹介します。

Facebook
70年以上前の広告が「体育の日」「文房具メーカー」「ファン」をつなぐ

2017年10月6日にトンボ鉛筆がFacebookに投稿したのは、1940年発行の絵本に掲載された同社の広告でした。野球を楽しむ子どもたちの姿を描いた画像の珍しさやレトロ感、右から左に読むキャッチコピー、歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)に対して、なつかしさや新鮮さを感じるファンから、好意的なコメントが寄せられています。

チェックポイント!

一見すると「体育の日」「スポーツの秋」とは、からみにくい「文房具メーカー」が、貴重で珍しい昔の広告をうまく利用することによって、みごとにSNS上のトレンドに乗ることに成功しています。

さらに、同社のコーポレート・ロゴマークのトンボが当時は下向きだった(現在は上向き)ことに気づくファンもいるなど、コアなトンボ鉛筆ファンをも楽しませることができた好例といえるでしょう。

Instagram
チェックせずにはいられない! ユニークな次世代モビリティ

続いて紹介するのは、ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」が昨年の体育の日(2017年10月9日)にInstagramへ投稿した内容です。宿泊ゲスト向けの「ペンサイクル」(1人用の電動移動機器)の無料貸し出しサービスを紹介しています。

車や自転車とも異なる「ペンサイクル」というユニークな乗り物そのものに「目新しさ」「珍しさ」があり、フォロワーの関心を集める投稿ネタとして十分な魅力があります。

さらにこの投稿では、実際に同ホテルに泊まり「ペンサイクル」を利用したゲストのInstagram投稿を紹介する形にしたことで、「共感」と「親しみやすさ」をフォロワーに感じさせることにも成功しているのが秀逸です。

チェックポイント!

この投稿は、単なるリポストではなく、画像にゲストをタグ付けし、投稿テキスト中でゲストをメンションするとともに、丁寧に謝意を伝えています。タグ付けされたゲストからも好意的な返信がされていました。

この投稿に限らず、常に日本語と英語の2本立てでテキストを投稿しており、国内・海外どちらのフォロワーにも楽しんでもらいたいという同ホテルの願いが伝わります。

ハッシュタグは、日本語と英語で少し内容が変えられている点にも、担当者のこまやかな配慮が垣間見える投稿です。

Twitter
ハロウィン一色のタイムラインに変化球的投稿を

続いては、今やすっかり日本に定着したイベント「ハロウィン」(10月31日)の投稿例をご紹介します。毎年、10月後半ごろから31日当日までの期間で、多くの企業がハロウィン関連の投稿をしています。

次に紹介するのは、他社とはちょっと異なるアプローチが光った投稿事例です。

ハロウィン前日にセメダイン【公式】がTwitterで投稿したのは、ハロウィンで仮装を計画しているユーザーに対する、瞬間接着剤の使い方の注意喚起でした。

ユーザーからの返信コメントには、セメダイン自らが、注意喚起の投稿をしたことへの謝意だけでなく、誤った使い方をして実際にやけどしかけたことがあるユーザーたちの実体験が多く寄せられています。

この投稿の反響は大きく、多くのユーザーがリツイートし、当時はYahoo!ニュースのトップページでも取り上げられました。

チェックポイント!

投稿自体は真面目で堅い内容なのですが、Twitterの定番テンプレートの1つ「(……きこえますか…きこえますか…」を使うことで親しみやすさの醸成に成功しています。

ともすれば瞬間接着剤に対する否定的な反応(例:「瞬間接着剤って危険! 怖い!」など)が集まるリスクもある投稿内容ですが、「フォロワー目線の親しみやすさ」と「日頃から培ってきたフォロワーとの良好な関係」が奏功してか、ネガティブな返信コメントがまったくなかったのも注目すべき点でしょう。

もう1つの事例は、2017年10月31日のハロウィン当日にキリンビールがTwitterで投稿した内容です。「なぜか今日はカボチャを買ってしまった…」という方におすすめする、おつまみレシピでした。

ハロウィン感ゼロの画像を使いながらも、投稿の最後にさりげなくハッシュタグ「#ハッピーハロウィン 🎃」を付けて、当日のSNSトレンドに乗っかることも忘れていません。フォロワーからの返信コメントは好意的なものばかりでしたが、ハロウィンにふれていないものがほとんどだったのが印象的です。

チェックポイント!

日々のSNSアカウント運用を続けていくうちに、「自社のSNSアカウントのファン・フォロワーにはどんな属性・趣向の人たちが多いか」が見えてくるものです。キリンビールのこの投稿は、「ハロウィンで仮装なんて、恥ずかしくてできない」「“ハッピーハロウィン!”なんて言えない」「そもそもハロウィンにはあまり興味がない」――そんな大人なフォロワー達を意識した内容だったのかもしれません。

また、ハロウィン当日のSNSといえば、ジャック・オー・ランタンや仮装姿の画像がずらりと並ぶのが常。そのなかにおいて、おいしそうなカボチャの画像は、かえってTwitterユーザーたちの目を引いたことでしょう。

10月の投稿ネタ(一例)
「2018年10月ならではのトレンド予測」「秋らしい記念日あれこれ」「芸術の秋」「10月の花火大会」

ここまで、10月の記念日などに絡めた投稿事例を紹介してきました。ここからは、その他のイベントやニュースネタをいくつか紹介します。

もはや呪文のように繰り返していますが、「ファンを楽しませる投稿」=「ネタ」×「自社情報」です。

今回も、みなさんの企業アカウントの「投稿ネタ」として使えそうなものがないか、考えながらお読みください。

2018年10月ならではのトレンド予測

豊洲市場開業(2018年10月11日)

築地市場の豊洲移転問題が世間を騒がせていたのも今は昔。豊洲市場の開業日が2018年10月11日に決定しました。なお、築地市場の解体工事も同日に着手予定とのこと。

豊洲市場オープンに向けて世間の注目が高まり、SNSでも話題になりそうです。最新情報は常にキャッチアップしておきましょう。

国内で作られるワインの表示ルールが厳格化(2018年10月30日)

国産ブドウのみを原料として国内製造された果実酒が「日本ワイン」と定義されるようになります。

その他の国内製造ワインや輸入ワインなどと明確に区別されるとともに、国内のどこの産地で採れたブドウで造られたものか、どんな品種が使われているか、どの年に収穫されたブドウが使われているか、などの情報を表示します。

お酒そのものを扱う投稿だけでなく、ワインに合うおつまみ、料理の紹介や、グラスをはじめとするワイングッズの紹介、日本ワイン用のブドウの産地や品種の紹介など、いろいろな切り口の投稿が考えられそうです。

秋らしい記念日あれこれ

衣替え(10月1日)

日本古来の風習「衣替え」。その由来や歴史、昔と今の違い、豆知識などを調べてネタにしてみてはどうでしょう。衣替えに役立つ「洗濯方法」「畳み方」「防虫方法」などを、自社商品の紹介とからめて投稿するといいかもしれません。

糖質ゼロの日(10月4日)

2008年に日本酒で初めて糖質ゼロの商品を発売した「月桂冠株式会社」が制定した記念日です。日付は「糖(とう=10)質(し=4・つ)」と読む語呂合わせから。秋といえば「食欲の秋」。ダイエットにも関心が高まるシーズンですので、健康や美容関連の投稿ネタに使えそうです。

海外旅行の日(10月19日)

「遠(10)くへ行く(19)」の語呂合わせから制定された記念日です。夏休みを避けて秋に海外旅行を楽しむユーザーに向けて、「海外旅行に持っていくといいもの」「オススメの服装」「この時期こそオススメの海外旅行先」などを紹介してはどうでしょう。

また、海外旅行に行きたくても行けないユーザーをターゲットに「国内にいながらにして海外気分を楽しめるスポット・食べ物」などを投稿ネタにする手もありますね。

バーゲンの日(10月19日)

1895年10月19日、東京の大丸呉服店が開催した冬物衣料の大売り出しが、日本初のバーゲンセールといわれています。夏や冬に比べると規模は小さめながらも、秋にもバーゲンを実施する企業であれば、ぜひ意識しておきたい記念日ですね。

文字・活字文化の日(10月27日)

公益社団法人読書推進運動協議会が毎年主催している「読書週間」の初日が「文字・活字文化の日」です。広い意味でいえば、SNSも文字文化の1つ。「読書の秋」にもふさわしいこの記念日に、はまる投稿案をぜひ考えてみてください。

初恋の日(10月30日)

1896年10月30日、島崎藤村が雑誌『文学界』に『こひぐさ』の一編として、初恋の詩を発表したことから制定されました。一説には、「秋は恋の季節」ともいわれます。ファン・フォロワーから初恋に関するアンケートをとってみたり、「なつかしさ」「甘酸っぱい思い出」を想起させるような投稿をしてみたりしては、いかがでしょう。

引き続き芸術の秋、大規模な美術展が目白押し

9月編)の芸術の秋は「映画」がメインでしたが、10月は「絵画」。特に今年は大規模な美術展が目白押しです。有名画家の展示会が多いうえに初来日する名作もあるなど、SNSでも話題になる可能性は高いと思われます。

  • フェルメール展(東京展)

    2018年10月5日~2019年2月3日(上野の森美術館)。現存する作品全35点のうち8点が来日するのは過去最大規模。

  • ルーベンス展―バロックの誕生

    2018年10月16日~2019年1月20日(国立西洋美術館)。ルーベンス展は日本で何度か開かれていますが、今回はイタリア・バロック美術との関係を解き明かします。

  • ムンク展―共鳴する魂の叫び

    2018年10月27日~2019年1月20日(東京都美術館)。複数あるムンクの「叫び」のうち、テンペラ・油彩画が初来日。

意外と多い! 10月の花火大会

「花火大会といえば夏の風物詩」――そんな時代は終わりつつあるのかもしれません。ここ数年問題となっている地球温暖化の影響からか、8月は天候が不安定な日が多く、ゲリラ豪雨や落雷の影響で花火大会が中止となるケースがちらほら発生しています。

「こうした荒天での中止を避けるため」だけが理由ではありませんが、ここ数年、天候が安定していて空気も澄んでいる10月に開催される花火大会が増えてきているのです。

花火大会とはいえ、さすがに浴衣で出かけるのは難しい時季です。何を着ていけばいいか悩んでいるユーザーに対して、オススメのファッションやグッズを提案する投稿は喜ばれそうです。

◇◇◇

日々の生活を送るなかでは気づきにくいですが、確実に、私たちはさまざまな「変化」のなかにいます。たとえば10月の記念日として「衣替え」をご紹介しましたが、今ではまったくしない人も増えています。

また、前述のように「花火大会は夏の風物詩」というかつての常識もじわじわ崩れはじめているのかもしれません。

もっと身近な例でいえば、10月はテレビの連続ドラマの新クールが始まる月、番組表のラインナップががらりと「変化」する月です。

こうした実生活や環境における変化の影響を受けて、SNS上でのトレンドもスピーディーに変化していくことでしょう。

企業・団体のSNS運用担当者のみなさんには、こうした「変化」を楽しめる柔軟性と、「変化」をしっかりキャッチアップしていけるスピード感を、ぜひ身につけていただくことをお勧めします。当連載もその一助になれるように努めていきますので、次回もどうぞお楽しみに。

オリジナル記事はこちら:10月は体育の日・ハロウィン・芸術の秋などネタが盛りだくさん ~Twitter・Facebook・Instagramの投稿事例&アイデア【10月編】(2018/08/02)

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後藤真理恵

株式会社コムニコ/一般社団法人SNSエキスパート協会

株式会社コムニコ
カスタマーサクセス局 コミュニティマネジメントチーム マネージャー

一般社団法人SNSエキスパート協会 代表理事

東京大学 文学部卒・中学高校教諭第一免許状(国語)取得。日本オラクル(株)にて、技術者向け研修の開発~実施、講師育成、技術者向け資格試験の問題開発などを担当。その後はマーケティング、パートナービジネス部門などを歴任。

2013年にコムニコに入社。自らも数多くの企業のSNSマーケティングを支援するとともに、9名のコンテンツクリエイターからなるチームをマネージャーとして率いる。同チームが作り出すSNS投稿案は、毎月約1,000本。

2016年11月、一般社団法人SNSエキスパート協会代表理事に就任。「SNSエキスパート検定(初級・上級)」講座/認定試験の実施を通して、SNSマーケティングの正しい知識を持つ人材育成にも努めている。

著書に『ファンを獲得! Facebook投稿ノウハウ』(翔泳社・共著)。

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