キャッシュレス決済で5%還元に「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」が参戦へ。出店者のメリット&参加条件まとめ
2019年10月の消費税10%への引き上げと同時に、キャッシュレス決済を行った場合に最大5%のポイントを還元する政府のキャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)に、楽天の「楽天市場」、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」が参加する。ポイント還元事業の対象となる中小・小規模事業者の出店者は、国の施策による買い物客へのポイント還元に加え、クレジットカード決済手数料の負担減といった恩恵を受けることができるようになる。大手モールの参画によって、ポイント還元による消費喚起がネット通販でも活発化しそうだ。
キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)とは
EC事業向けの「キャッシュレス・消費者還元事業 登録決済事業者」として、楽天とヤフーが6月24日までに登録された。KDDIグループのECモール「Wowma!」が導入している決済代行サービスの提供会社であるペイジェントも登録されているが、「(「Wowma!」の参加については)現在、検討中」(auコマース&ライフ広報)と言う。
キャッシュレス・消費者還元事業とは、消費税率引上げ後の一定期間、中小・小規模事業者が提供するキャッシュレス手段を使った買い物に対して、ポイント還元・割引を支援するというもの。事業予算として2798億円を投じる予定。支援内容は次の通り。
- 実施期間:2019年10月からの9か月間、2020年6月まで
- 支援内容(一般の中小・小規模事業者の場合):消費者還元5%のポイント付与。加盟店手数料率3.25%以下への引下げを条件とし、加盟店手数料の1/3を国が補助。中小企業の負担ゼロで端末導入(1/3を決済事業者、残り2/3を国が補助)
- 支援内容(フランチャイズなどの場合):消費者還元2%(端末費用及び加盟店手数料の補助はなし)
通販・EC事業者がこの事業に参加するメリットは、購入額5%分のポイント還元がキャッシュレス決済事業者から行われること。そして、クレジットカード決済などキャッシュレス決済の手数料3.25%以下への引き下げを条件として、決済手数料の1/3を国が補助されること。
事業に参加する通販・EC事業者にとって、決済手数料の負担が減少。加えて、国の予算を通じたポイント還元を通じ、消費者へのポイント訴求によって新規獲得などにつなげるチャンスとなる。
「楽天市場」の場合
消費者が「楽天市場」で商品を購入する際、クレジットカードで決済した場合に購入金額の5%分のポイントを還元。楽天カードで決済した場合は楽天ポイントが5%付与される。
決済手数料率の引き下げ上限は3.25%。手数料率が3.26%を超過している店舗の場合(売り上げ規模など店舗ごとに異なる)、ポイント還元事業に申請し承認が下りれば3.25%まで引き下げられる。なお、通常は税抜価格に決済手数料がかかるが、ポイント還元事業に関しては税込価格にかかる仕組みとなる。
加えて、手数料率3.25%以下となった決済手数料に対し、3分の1の額が補助金として還付される。
楽天では6月27日に各店舗へアナウンスを行い、7月9日(火)から、「楽天市場」所定のフォームから申し込みできるようにする。申し込みにあたっては、法人の場合は登記簿謄本、個人事業主の場合は納税証明書が必要になる。申し込み後、キャッシュレス・消費者還元事務局による審査が行われる。
出店者には多少の手間が発生するが、対象となる中小・小規模事業者にとってはデメリットはなく、メリットしかない。多くの店舗に申し込んで欲しい。(楽天担当者)
なお、ポイント還元事業対象商品には下記のような案内などを入れていく予定。
ヤフーの場合
クレジットカードまたはPayPay残高で支払った決済額5%に相当する「PayPayボーナス」または「PayPayボーナスミニ」を消費者に還元する。
「Yahoo!ショッピング」では、クレジットカードの手数料3.24%、ワイジェイカード発行カードの手数料は3.0%となっている。ポイント還元事業の対象店舗には、この手数料率が税込金額に対して発生する。
クレジットカードまたはPayPay残高によって決済された購入額の決済手数料の1/3を国が補助。期間中の決済手数料は実質2.16%以下になるという。
なお、PayPay残高払いの個別手数料は10月1日から期間限定で2.95%(税別)とする予定。
キャッシュレス・消費者還元事業に参加できる対象・条件とは
キャッシュレス・消費者還元事業に参加できるのは、中小・小規模事業者が対象(原則として中小企業基本法上の中小企業)。「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」に出店しており、主に以下の基準や定義にあてはまる企業が対象となる。
・中小企業・小規模事業者であること
・資本金または出資金が5億円以上の法人1社に直接、または間接に100%の株式を保有される事業者でないこと
・登録時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える事業者でないこと など
補助対象とする中小・小規模事業者について
業種分類 | 定義 |
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製造業 その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業(※) | 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |